TwitterやFacebookなどソーシャルメディアの免責を制限する「セクション230改正案」が議会に提出される
アメリカの民主党上院議員3名が、「SNSや掲示板などの運営企業はユーザーが掲載したコンテンツに対して法的責任を負わない」と定める「通信品位法230条(セクション230)」の適用範囲を制限する改正法案を連邦議会に提出しました。この法案が可決されれば、TwitterやFacebookなどのSNSの運営が大きな影響を受けるとみられます。
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(PDFファイル)https://www.warner.senate.gov/public/_cache/files/4/f/4fa9c9ba-2b34-4854-8c19-59a0a9676a31/66DECFBC0D6E6958C2520C3A6A69EAF6.safe-tech-act---final.pdf
U.S. senators propose limiting liability shield for social media platforms | Reuters
https://www.reuters.com/article/us-usa-tech-section-230-idUSKBN2A5233
This is the Democrats’ plan to limit Section 230 - Protocol — The people, power and politics of tech
https://www.protocol.com/democrats-plan-section-230
Democrats' proposed Section 230 reform may not be as helpful as it looks
https://mashable.com/article/section-230-safe-tech-act-reform/
改正法案を提出したのは、マーク・ワーナー上院議員、マジー・ヒロノ上院議員、エイミー・クロブシャー上院議員の3名。この法案では、アメリカのソーシャルメディア運営企業が「ソーシャルメディア上でのサイバーストーキングや嫌がらせ、差別」に対する法的責任を負うようにするものとなっています。
1996年に制定されたセクション230では、「ソーシャルメディアの運営企業はユーザーの投稿したコンテンツに対して法的責任を負わなくて良い」と定められています。このセクション230を改正しようという動きを後押ししたのは、2021年1月6日に起こった連邦議会議事堂襲撃事件です。この連邦議会議事堂襲撃事件を起こしたドナルド・トランプ前大統領の支持者層はFacebookで組織化されていたと報じられており、ソーシャルメディアの法的責任を追求すべきという声も挙がっていました。
The Capitol at dusk. Photo by @LeahMillis pic.twitter.com/MSzdmTKnMs
— corinne_perkins (@corinne_perkins) January 6, 2021
クロブシャー上院議員は「私たちはより多くのことをビッグテック企業に求める必要があります。ソーシャルメディアのプラットフォームに現実世界に危害を及ぼす可能性のある広告やコンテンツの説明責任を負わせることが重要であり、この法案はまさにそれを可能にするものです」と述べました。
また、ワーナー議員は「セクション230は詐欺師や嫌がらせをする者、暴力的な過激派がソーシャルメディアを利用してケガ人や損害を生み出しているにもかかわらず、ソーシャルメディアの運営企業に『脱獄』のカードを提供するものです」「私たちの法案は言論の自由を妨げるものではありません。ソーシャルメディアによって可能になった有害な犯罪行為の責任を、ソーシャルメディア自体が負うことを可能にするものです」と述べています。
こうしたセクション230を改正しようという動きは、トランプ前大統領の頃から存在しました。トランプ前大統領は「ソーシャルメディアの運営企業は選択的検閲を行い、言論の自由を侵害している」と主張し、新聞社や出版社と同じように法的責任を問われるべきだとして、2020年5月にセクション230の見直しを含めた大統領令に署名を行っています。
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一方で、2020年10月に開かれた公聴会ではセクション230が議題に上がり、Googleのサンダー・ピチャイCEO、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEO、Twitterのジャック・ドーシーCEOが招へいに応じて出席。各CEOはセクション230に対して「インターネット上での表現の自由には法律が不可欠」という見解を示し、「セクション230は言論の自由の維持とコンテンツのモデレートのバランスをとるために必要な存在だ」と述べました。
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IT系ニュースメディアのMashableは、「ロヒンギャへの弾圧がFacebook上で行われていたことを例に取ると、ロヒンギャの虐殺についてアメリカの裁判所でFacebookを訴えることができるようになります」「法案は紙の上では素晴らしいものに聞こえるかもしれませんが、セクション230の改正は将来的にインターネットに悲惨な影響を与える可能性があります」と述べ、セクション230の改正法案に対して懐疑的な姿勢を見せています。
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