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46億円支払ってFacebookにアカウント停止されたという記録


15年で約46億円の広告費をFacebook広告に費やし、かつてはFacebookの担当者とも良好な関係を築けていたというメディア運営企業が、ある日突然、何の説明も弁明の余地もなくFacebookのアカウントを停止されたとという事態についてつづっています。中小企業を支援していると主張するFacebookですが、ボタン1つで中小企業のビジネスを破壊しようとしていると指摘されています。

After spending over $57 million on Facebook ads, they kicked me and my pages off without warning or explanation | by Jordan Nabigon | Dec, 2020 | Medium
https://jordan-shared.medium.com/after-spending-over-57-million-on-facebook-ads-they-kicked-me-and-my-pages-off-without-warning-c6d7e611b01c

「shared.com」「life.shared.com」「fun.shared.com」といった複数のインターネットメディアを運営するジョーダン・ナゴビン氏は、過去15年にわたって5700万カナダドル(約46億円)をFacebook広告に費やしてきたとのこと。そのかいあって、これらのニュースサイトには2500万人以上のファンがついており、日々Sharedのライターは記事を更新し続けていました。Facebookアカウントの管理画面では自分のアカウントにポリシー違反がないかチェックすることが可能ですが、いずれのページでも違反が起こった形跡はなく、「Your Page had no restrictions or violations」(あなたのページに制限や違反はありません)と表示されていたそうです。


またSharedはFreebiesというプロモーションビジネスも運営しています。SharedがFacebookに支払った広告費のほとんどは、無料サンプルやクーポンを配布するFreebiesに関するものだったとナゴビン氏は述べています。

ナゴビン氏は過去にFacebookのポリシーチームと面会し、ランディングページに問題が全くないことを確認してきました。またFacebookのオフィスで代表者同士が会ったこともあり、非常によい関係を築けているとナゴビン氏は考えていたとのこと。


しかし、この数年間でSharedとFacebookとの関係は大きく変化し、コミュニケーションを取る相手が信頼できるFacebookの担当者ではなく、サードパーティの請負業者に変わっていきました。これら請負業者はSharedのビジネスや目標を理解しておらず、SharedがFacebookのポリシーを理解しようとすることにも関心を示さなかったそうです。

「2006年から2020年まで、私が所有し運営するビジネスグループは合計で5726万3553カナダドル(約46億円)をFacebook広告に費やしました。他のプラットフォームにもお金を払いましたが、Facebookが主たるものでした。Facebookが『中小企業を気にかけている』と言ったとき、私たちはFacebookを信じていました」とナゴビン氏は述べています。


ナゴビン氏の運営するウェブサイトのうち特にFreebiesは、出会い系サイトではなく出会い系サイトの広告を掲載しているわけでもありませんでしたが、「出会い系広告のポリシーに違反している」と警告され続けるという謎の被害に遭ったそうです。FreebiesのCEOであるマイク・デビュート氏は、この謎の挙動によりFreebiesがポリシー違反と判断され収益に打撃を受けたと述べており、Facebookに何度も「何かの間違いである」と訴えたことを明かしています。しかし、その試みはすべて無駄に終わっており、Freebiesも「Facebookでビジネスを行う上でのコスト」と考えるようになったそうです。

しかし2020年10月26日、ナゴビン氏は運営する企業の多くのFacebookページと、個人のFacebookページが非公開になってしまったことを知ります。合計で2100万人のファンが存在していたページが非公開となり、ナゴビン氏個人に対しては「私たちはあなたがFacebookを利用する資格はないと判断しました。これは最終決定です。残念ですが、安全性とセキュリティの理由から、なぜアカウントが停止されたのかという追加情報は提供できません。私たちのポリシーについてさらなる情報を得るにはFacebookの利用規約を確認してください」と通知が送られてきたとのこと。

その後、Facebookの広告アカウントと、2年以上使っていないページでポリシー違反が通知されました。Facebookの利用規約は内容が曖昧で何がポリシー違反かわかりにくいことで有名ですが、SharedやFreebiesの場合はポリシー違反ではないことが明確だったため、ナゴビン氏は通知がFacebookのAIが誤検知したものと考えたそうです。実際に、ナゴビン氏が通知を受け取ってから数日のあいだ、Google検索結果には同じようにポリシーに違反していないにもかかわらずポリシー違反が理由でFacebookアカウントを停止されてしまった人々が多くみられたとのこと。


数多くあったページのうち3つだけがアカウント停止を免れたので、Sharedはこれらのページを運営しながら、何とかしてFacebookに連絡を取ろうと考えうる手段でコンタクトを試みました。アカウント停止から45日後、Sharedのエマ・クレイグ氏がFacebook Business Managerのチャットサポートを通じてプロセスを迅速化できないかと尋ねましたが、直後に「ページ違反が繰り返されたため、収益化の対象となるページに投稿できません」という通知を受け取っただけでした。しかし、この状態でもFacebook Business Managerの「ページ品質」タブでは、いずれのページも「違反無し」になっていたとのこと。

2020年12月の時点でも問題は解決しておらず、アカウントが停止された理由についてナゴビン氏は「システム上の問題で人間が評価していないために起こった」のか、あるいは「Facebook関係者がSharedのページに好みではない、理解できないものを見つけて、説明や訂正の機会を与えずに停止した」かのいずれかだと考えています。

15年で46億円も支払ったにもかかわらず、何の説明も弁明の余地もなしに、スイッチ1つ押すだけでFacebookが中小企業のビジネスを破壊しようとしているとナゴビン氏は指摘。Facebookのポリシーに違反しないコンテンツやビジネスを今後構築することは可能ですが、1つのプラットフォームがそのポリシーによってビジネス運営自体を左右してしまう恐ろしさをナゴビン氏は示しました。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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