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iPhoneの部品工場で「収容所送りか強制労働か」の選択を迫られたウイグル人が働かせられているとの報告


中国は新疆ウイグル自治区に住むイスラム系のウイグル人を厳しく弾圧しており、強制収容所では激しい拷問や洗脳が行われています。新たに、ワシントン・ポストが人権団体のTech Transparency Projectによる情報提供を受けて、「Appleの主要なサプライチェーンである中国藍思科技(レンズ・テクノロジー)の工場で『収容所送りか強制労働か』の選択を迫られたウイグル人が労働させられている」と報告しました。

Apple supplier Lens Technology used forced Uighur laborers - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2020/12/29/lens-technology-apple-uighur/

iPhone workers: forced labor or detention centers, says report - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2020/12/29/iphone-workers-forced-labor/

中国はウイグル人を厳しく弾圧しており、ウイグル人の強制収容施設が急速に拡大していることがわかっているほか、Huaweiアリババが「ウイグル人を識別する顔認識システム」を開発していたことも報じられています。こうした中国の行動は世界的な非難を招いており、アメリカ商務省は「中国政府によるウイグル人弾圧に関与した」として多くの企業や団体を禁輸措置リストに追加しています。

アメリカが中国の監視カメラや顔認証技術企業を根こそぎブラックリストに追加、その理由とは? - GIGAZINE


ワシントン・ポストは、ウイグル人は収容所に送られて厳しい洗脳などを強いられるだけでなく、さまざまな工場での労働も強制されていると報じています。中国から逃れたウイグル人によると、常にというわけではないものの、ウイグル人はしばしば新疆ウイグル自治区から離れた工場での労働を迫られているそうです。

コロラド大学ボルダー校でウイグル人の移民について研究するダレン・バイラー氏は、「新疆ウイグル自治区では裁判外で拘束される脅威が非常に大きいため、十分な説明や納得を与える方法はありません」と述べています。バイラー氏によると、中国当局によるウイグル人の強制労働は以前から行われていたものの、2017年に取り締まりが強化されて以降はさらに増加しているとのこと。


ウイグル人に労働を強制することは各国で問題視されており、アメリカでは人権侵害を防ぐことを目的に「ウイグル人強制労働防止法」の制定が進められています。この法案は、強制労働により製造された新疆ウイグル自治区の物品の輸入を制限するものですが、Appleのロビイストが法案に反対するロビー活動を国会で行っていることが報じられています。

Appleは「ウイグル人強制労働防止法」に反対するロビー活動を展開している - GIGAZINE


今回話題となっているレンズ・テクノロジーはAppleの主要なサプライチェーンの一つであり、スマートフォンやタブレットの画面を保護するカバーガラスの生産を手がけています。レンズ・テクノロジーの創業者である周群飛氏は、農村の貧困家庭に生まれながらも起業して中国でも有数の成功を収めた女性として有名です。周氏の純資産はおよそ165億ドル(約1兆7000億円)と見積もられており、世界で最も裕福な女性の一人といわれています。

今回、Tech Transparency Projectがワシントン・ポストと共有した文書には、数千人ものウイグル人労働者が新疆ウイグル自治区からレンズ・テクノロジーに派遣された方法が説明されています。中国政府は新疆ウイグル自治区のウイグル人を工場労働者として中国全土に移送する試みを、「国の中央指導部が主導する貧困緩和努力の一環」として支援しているとのこと。中国内の報道でも、「ウイグル人労働者が新疆ウイグル自治区から各地の工場へ向かった」という記述はあるものの、いずれも「ウイグル人が貧困から抜け出すために出稼ぎしている」という内容であり、無理に労働を強いられたとは記していないそうです。

ウイグル人の移送は、準政府機関としての機能を持つ地域の商工会議所や労働者の派遣企業により組織されています。人権団体と接触した一部のウイグル人は、「遠く離れた工場で仕事をするか、拘置所に送られるか」の選択を迫られた結果、強制労働を受け入れざるを得ない状況に追い込まれていると語りました。強制労働を受け入れた場合でも、ウイグル人は厳重に警備された寮に住むこととなり、シフトが終了した後は「共産主義のプロパガンダを植え付けるレッスン」を受けさせられているとのこと。

by Craig Nagy

Tech TransparencyProjectのディレクターであるケイティ・ポール氏は、Appleが認めていないサプライチェーンにおける強制労働の採用が存在すると主張しています。ワシントン・ポストによれば中国の外務省はウイグル人の強制労働は存在しないと反論し、否定的な思惑で強制労働を「作り出した」人々を非難。なお、レンズ・テクノロジーはワシントン・ポストにコメントしませんでした。

Appleの広報担当者であるジョシュ・ローゼンストック氏はワシントン・ポストに対し、「レンズ・テクノロジーが新疆ウイグル自治区から強制移転させられたウイグル人労働者を受け入れていないことを確認しました」「Appleは強制労働を一切容認していません」と述べ、サプライヤーの評価において強制労働の有無を調査していると主張。2019年には49カ国に存在する1142のサプライヤーを調査しており、良好な労働条件が維持されていることを確認したと語っています。

なお、Appleのサプライチェーンにおける労働慣行が問題視されるのは、今回が初めてではありません。2020年12月にはインドの工場で給料の未払いによる工場労働者の暴動が起きたほか、11月には中国におけるAppleのサプライチェーンでは学生インターンが違法に労働させられていたことが報じられました。また、2020年12月には「Appleのサプライチェーンが運営する工場では、派遣労働者の割合が多すぎて中国の労働法に違反している」という問題について、Appleが積極的な解決に動くのではなく「問題を無視した」として非難されています。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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