批評から効率的に学ぶ方法とは?
現代ではインターネットを通じて個人作品を手軽に発表することが可能ですが、そうした発表には「批評」がつきものです。批評を受ける際に重要となる「批評を受けるテクニック」について、プロデザイナー協会のAIGAが解説しています。
How to Survive a Critique: A Guide to Giving and Receiving Feedback
https://www.aiga.org/how-to-survive-a-critique
デザインは数値などの尺度で測れない取り組みであるため、デザインを教える現場では「講評」と呼ばれる教員や学生同士による批評が重視されています。AIGAが解説しているのは、デザイン教室で実施される講評から学ぶことができる、批評を受ける際に重要となるポイントです。
◆1:事前準備を怠った場合は素直に謝る
一般的に、準備不足な人のことを教員や学生は悪く思うことが多いとされています。例外的に、「これで授業が早く終わるぞ!」と言う教員もいるとのことですが、そのような教員は良き指導者として関係を育みたい教員ではありません。AIGAは、「仮に作品がなくても、講評会に顔を出してフィードバックを共有し、よく見聞きして人から学ぶのが一番です」と述べています。
準備不足な場合にAIGAが推奨しているのが、手の込んだ言い訳をせずに素直に謝罪すること。泣いたりおびえたりせずに、二度と起こらないように相手に謝罪して自分の非をキッパリと認め、気持ちを切り替えて他人の作品に集中するようにAIGAは勧めています。
◆2:自分の作品について解説する準備をする
デザインとは通常は「見ればわかる」ものであるため、批評タイムが始まった場合には批評者側から何かしら意見が飛んでくるはずですが、ときには教室が完全なる静寂に包まれてしまうこともあります。みんなが黙ってしまった場合は、問題の作品が「一切理解できない」か「出来がひどすぎる」かのいずれかであるとして、AIGAは「作成時に何を考えていたか」を解説すべきだと勧めました。
AIGAによると、作成時に何を考えていたかを解説すると、作品のコンセプトが上手く表現されているかどうかなどに話が広がるとのこと。なお、出来がひどすぎた場合には批評はすぐに終わるので問題はないそうです。
◆3:厳しい批評が出るように促す
こうした批評授業において、ほとんどの学生は気後れする傾向があり、ネガティブな意見を出すことを控えてしまう傾向があるとAIGAは指摘。本当に自分の利益を考えるならば、「私の作品で最もダメな部分はどこでしょうか?」「ダメな理由は何だと思いますか?」「どのようにすれば改善できると思われますか?」といった質問で批評者を誘導して、あえて厳しい意見が出るように促すことが重要とのことです。
◆4:しっかりと耳を傾ける
否定的な意見を聞くのは誰にとっても苦痛ですが、批評されている際に最も重要になるのは「耳を傾けること」だというのがAIGAの意見です。自分とは異なる意見に耳を傾けて「なぜ他人はそういう反応をするのか」を理解することが、より良い作品のために重要とのこと。
批評の最中に防御的な返答をすると自分を正当化しているように見えるため、グッと抑えることをAIGAは推奨。必要ならば帰宅した後に呪いの人形に針を刺してストレスを解消するように勧めています。
◆5:作品への批評を自分への批評だと思い込まない
否定的な批評が特に多い場合には、そうした批評を「個人批判」だと思わないようにすることが重要です。AIGAは「意地悪な人はいるものですが、通常は教員や学生は助けようとしているだけです」と述べつつも、「しかし、現実は必ずしもそうではありません」と語っています。
◆6:メモを取る
AIGAによると、受け取った批評を書き留める習慣を身につけることが大切とのこと。批評が次々と出てくる上に、授業中に知ることができたアイデアなどは忘れがちです。また、AIGAは「教員は批評を書き留めることのできる人を好みます」ともコメントしています。
◆7:どの批評を採用するかを決める
複数人が批評を担当した場合には、「この部分を大きくすべき」「いや、小さくすべき」と人によって逆の意見が出ることもあり得ます。AIGAはこうした際に、「矛盾する批評が出てきた理由を考える」ことが重要だと指摘。こうした理由を十分に考慮してから意見を取り入れるべきだと促しています。
また、AIGAは教員向けの「批評を行うテクニック」にも少しだけ触れて、「ユーモアを取り入れたり前向きな態度を見せたりして怖がられることを避ける」「最初に建設的な意見を述べてから否定的な意見を入れて、最後は建設的な意見でシメる」「ダメだと感じた場合には、特定の要素に原因があるのか、要素同士の組み合わせ方に原因があるのかを考えてから伝える」「具体的な例を挙げる」といった点を重視すべきだと語りました。
・関連記事
建設的な議論を行うための初歩的なテクニックとは? - GIGAZINE
感情的になりがちな議論で冷静さを保つための4つの戦略とは? - GIGAZINE
議論の質を高めるために重要な3つの要素とは? - GIGAZINE
議論で「負け」が運命付けられている思考方法30パターン - GIGAZINE
相手の機嫌を損ねずにうまく「反対意見」を伝えるコツとは? - GIGAZINE
・関連コンテンツ