サイエンス

「海氷が生まれる海域」で海水が凍らないという史上初の事態が発生


北極海に存在する海氷の主な供給源であり「海氷が生まれる海域」とも呼ばれるラプテフ海で、例年ならば必ず結氷が始まっていた10月中旬でも結氷が始まらないという観測史上初の事態が発生しました。世界の報道機関が、地球温暖化の1つの結果だとして報じています。

Daily chart - More bad news for the Arctic: the Laptev Sea hasn’t frozen | Graphic detail | The Economist
https://www.economist.com/graphic-detail/2020/10/28/more-bad-news-for-the-arctic-the-laptev-sea-hasnt-frozen

Arctic sea ice goes through 'historic' loss in 2020 | Live Science
https://www.livescience.com/north-pole-ice-loss-2020.html

Winter Ice is Late in the Laptev Sea | Earth.Org - Past | Present | Future
https://earth.org/data_visualization/winter-ice-is-late-in-the-laptev-sea/

Alarm as Arctic sea ice not yet freezing at latest date on record | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2020/oct/22/alarm-as-arctic-sea-ice-not-yet-freezing-at-latest-date-on-record

シベリアやタイミル半島、セヴェルナヤ・ゼムリャ諸島、ノヴォシビルスク諸島に囲まれた海域であるラプテフ海は、北極圏に存在する海氷の多くを生み出していることから「海氷が生まれる海域」として知られています。そんなラプテフ海は、毎年9・10月に結氷が始まり、5・6月に解氷が始まるため、航行可能なのは8・9月のみという、氷に閉ざされた海域です。

しかし、そんなラプテフ海が10月中旬ですら凍り付かないという観測史上初の事態が発生しました。コロラド州立大学で気候科学について研究しているZack Labe氏がアメリカ海洋大気庁の観測データを元に、「ラプテフ海の海氷量」を視覚化したグラフが以下。2020年のグラフは10月20日までのデータが反映されています。他の年度では結氷が始まっている時期ですが、2020年度は結氷が始まっていないことが一目瞭然。


2020年10月29日までのデータを反映したグラフが以下。10月下旬にようやく2020年度の結氷が始まりましたが、例年ならばすでに海氷量が最大値に達しているはずの時期。


ラプテフ海の結氷の遅れは、近年の温暖化が原因だと考えられています。シベリア近郊における気温の推移を表した以下のグラフを見ると、年々気温が上昇してきていることがわかります。


2020年の結氷が特筆すべき遅さだったことについて、2020年5・6月にシベリア近郊で記録された異常な高気温が海水に閉じ込められて、大気中に放熱されたことが原因だと専門家は指摘。結氷が遅れることで海氷が薄くなり、海氷によって運ばれて北極圏のプランクトンに届くはずの栄養素が少なくなることから、海洋の食物連鎖が打撃を受ける可能性が指摘されています。

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in サイエンス, Posted by log1k_iy