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「言語を操る能力」は約3000万年前のサルとの共通祖先までさかのぼることが可能


人間を他の動物から区別する最大の特長として、しばしば「言語を操ること」が挙げられます。言語を理解できる能力がどのように進化してきたかという歴史はほとんど解明されていませんが、ウォーリック大学が2020年10月21日に公開した論文では、その能力がサルや類人猿との共通祖先に起源を持ち、3000万~4000万年前までさかのぼると発表されました。

Nonadjacent dependency processing in monkeys, apes, and humans | Science Advances
https://advances.sciencemag.org/content/6/43/eabb0725

UZH -Cognitive Elements of Language
https://www.media.uzh.ch/en/Press-Releases/2020/language-evolution.html

Building blocks of language evolved 30-40 million years ago
https://phys.org/news/2020-10-blocks-language-evolved-million.html

人類が言語を操ることができるのは、複雑な発音を行う能力だけではなく、他の種が行わない「複雑な単語の組み合わせ」を行い、それを理解する能力に基づいています。ウォーリック大学のサイモン・タウンセンド教授が率いる研究では、文中の単語同士の関係を理解する能力である「非隣接依存性処理」について、人間とチンパンジーなどを比較しながら分析しています。


「非隣接依存」とは、隣り合っていない単語同士の関係を読み解く能力のこと。例えば、日本語で「イヌはネコに引っかかれて逃げた」と言う場合、「逃げる」という動作は「ネコ」という単語に続いているものの、動作の主は文の中で距離が遠い「イヌ」によるものです。このように、離れたフレーズの関係を処理できる能力は人間特有であると考えられています。

同研究に携わったチューリッヒ大学のスチュアート・ワトソン博士は、この研究について「ほとんどの動物はコミュニケーションシステムにおいて非隣接依存の処理を行いませんが、彼らがどれだけその非隣接依存について理解可能なのかを知りたかったのです」と説明しています。


研究では、単語ではなく無意味な音で構成される一連の「人工文法」を作成することで、共通の言語を共有していない動物たちの「音の関係を処理する能力」について調べるアプローチが行われました。実験は、コモンマーモセット(ブラジルのサル)、チンパンジー、そして人間を対象に実施されています。

実験対象のヒトやサルはまず、特定の音が他の特定の音に続くという法則を教えられます。例えば、「B」の音は必ず「A」の音に続くようなルールを把握し、Aの次に「X」の音が挟まれる場合でも「B」の音がその後に続くということを理解します。これは、まず主語があったら必ず述語が後に続くはず、と予測されるような人類の言語のルールと一致します。

その後の段階では、研究者たちは既にヒトやサルが学んだ法則に反する音の組みあわせを演奏しました。このとき、コモンマーモセットとチンパンジーは「これまでの2倍ほどの長さの間、音の出るスピーカーを見る」というような行動の変化を見せました。研究者はこれを、「文法上の誤り」に気づいたことによる「驚き」の兆候であると述べています。


研究の結果、3つの種すべてが隣接依存、非隣接依存どちらの音の関係も容易に処理できることを発見できたと結論づけられています。したがって、言語を操る能力の根幹にあるこの「非隣接依存性処理」は、霊長類に広く行き渡っているものだと考えられ、タウンゼント教授は「これは、言語の重要な特徴が霊長類の祖先にすでに存在し、言語自体の進化より前となる3000万年~4000万年までさかのぼって存在を認めることができる発見です」と研究の重要さを強調しています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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