「ブドウにソフトウェア使用許諾契約がついている」という画像が話題に
真空管やビンテージコンピューターを愛するTwitterアカウント・Tube Timeは2020年10月10日にスーパーマーケットで売られているブドウの画像を投稿しました。このブドウのパッケージに「EULA(ソフトウェア使用許諾契約)のようなものが書かれている」と話題になっています。
これがその画像。「このパッケージに含まれている作物の受取人は、種・茎・組織・果物を含めてこの作物の繁殖や生産を行わないことに同意することになります」と書かれています。
all right, this is a new one. a EULA on...fruit?!
— Tube Time (@TubeTimeUS) October 9, 2020
'the recipient of the produce contained in this package agrees not to propagate or reproduce any portion of this produce, including "but not limited to" seeds, stems, tissue, and fruit.' pic.twitter.com/4dgiuCZato
さらにTube Timeは「私がウソをついていると考えている人がいますが、本当です。裏側にはフランス語で書かれていました」と画像を投稿。
some folks think I faked it. it's real. it's even printed in French on the other side pic.twitter.com/CHmc12b9A7
— Tube Time (@TubeTimeUS) October 9, 2020
ソフトウェアは多くの場合使用や複製、譲渡などについて購入者に禁止事項を設けていますが、ブドウにも同様の制限がついていることについて「ばかげている」と一蹴する人も。
The mere concept of having legal restrictions on how you can use your fruit is absurd. Any justification seems like it would be an exercise in mental gymnastics.
— David Bradbury ???????? (@DavidBradbury) October 9, 2020
またIan Farquharというユーザーも「これはうまく行かないと思います。私はブドウのライセンスを購入したわけではなく、ブドウを購入しました。確認のステップもなければ適切な開示もありません。私が見た中でもっとも愚かなものです」とコメント。
Nope. Won’t fly. I’m not purchasing a license for grapes, I’m purchasing grapes. Nor is there a confirmation step, nor adequate disclosure. This is probably the stupidest thing I’ve ever seen.
— Ian Farquhar (@ianbfarquhar) October 9, 2020
実はTube Timeが投稿した画像のブドウは「Cotton Candy grapes」という、糖度が18%もある、非常に甘い品種。Cotton Candy grapesは2001年に果物遺伝学者であるデビッド・カイン氏が展示会でライセンスを購入した甘いが崩れやすいConcord grapeを丈夫なブドウと交配して開発したもので、特許を取得しています。このため繁殖についての制限がパッケージに書かれていたわけです。
US20130055476P1 - Grapevine 'ifg seven' - Google Patents
https://patents.google.com/patent/US20130055476P1/en
ハッカーニュースでもこのTwitter投稿は話題となり、多くの意見が寄せられました。vikramkrというユーザーによると、Cotton Candy grapesのような品種は開発が非常に難しく、「20年の法的保護は妥当なもの」とのこと。農業という分野では物事はゆっくりとしか進まないので、作物が市場で広まる頃には権利保護が切れており、特許による収入はわずかなものですが、最初の何年かにいくらかのお金をもたらすことは可能だとvikramkr氏は語ります。
一方でこのような植物に対する権利は「農業が発明されてから人々が持つ自然権の侵害だ」という意見も。このような考えから、オープンソースソフトウェアのように種子を独占せず共有することで公正で持続可能な農業の基盤を作るオープンソース種子イニシアチブという運動も起こっています。
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