サイエンス

肥満は新型コロナの死亡リスクを50%高めるという研究結果


新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した合計40万人の患者を対象とした75件の調査をメタアナリシス分析した結果、「肥満の患者は入院する可能性が2倍高く、死亡する確率も1.5倍になる」と判明しました。

Individuals with obesity and COVID‐19: A global perspective on the epidemiology and biological relationships - Popkin - - Obesity Reviews - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/obr.13128

Obesity doubles the risk of COVID-19 hospitalization
https://www.zmescience.com/science/news-science/obesity-risk-covid-19-045238/

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は全世界で96万人を超える死者を出していますが、感染者全てが死ぬという病気ではありません。死亡するほど症状が悪化する人もいる一方で、感染しても症状が現れない「無症状感染者」は非常に多く、その割合は40~45%と見積もられています。

新型コロナウイルスに感染した人の40~45%が無症状感染者の可能性があるという研究結果 - GIGAZINE


COVID-19の重病化に大きく関係していると考えられてきたのが、「年齢」と「基礎疾患の有無」です。中国・武漢でCOVID-19が大流行した際に行われた研究では、COVID-19は高齢者や高血圧・循環器疾患・呼吸器疾患・がんなど持病のある患者の場合に特に重病化しやすいという結果が得られており、その後の研究においてもこの傾向は一貫していると確認されています。

ノースカロライナ大学の研究チームが2020年8月26日に発表した研究は、COVID-19と「肥満」の関係性について調べるというもの。これまでに実施された合計39万9461人の感染者に関する75件の調査をメタアナリシス分析したところ、肥満の患者はCOVID-19に感染するリスクが46%、入院するリスクが113%、集中治療室入りするリスクが74%、死亡するリスクが48%高いと判明しました。

研究チームによると、この結果は、肥満がCOVID-19の重病化リスクを高める基礎疾患である糖尿病と高血圧に密接に関連しているという点に加えて、新型コロナウイルスが増殖する理想的な場所とみられている「マクロファージ」を活性化させる「グルコース(ブドウ糖)」が肥満によって体内に蓄えられる点が主な原因とのこと。


これらの要因以外にも、肥満が体の各臓器や呼吸器にかける負担が重病化リスクを高めていると研究チームは指摘。さらに肥満の患者は自然免疫および獲得免疫に障害を抱えているケースが多いため、「肥満の人はCOVID-19のワクチンが効きにくくなる可能性がある」と研究チームは記しています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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