Facebookが「ヨーロッパから撤退する可能性」を示唆、EUの個人データ転送規制を受けて
Facebookが、EUがアメリカへのデータ転送方法に新しく規制を設けたことを受けて、ヨーロッパでのFacebookとInstagramの運用を停止する可能性があることを明らかにしました。
Facebook fears ruling may force it to pull social media platforms from EU | Business Post
https://www.businesspost.ie/legal/facebook-fears-ruling-may-force-it-to-pull-social-media-platforms-from-eu-00644da4
Facebook says it may quit Europe over ban on sharing data with US | Facebook | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2020/sep/22/facebook-says-it-may-quit-europe-over-ban-on-sharing-data-with-us
2020年7月、ヨーロッパ在住のFacebookユーザーが、アイルランドに拠点を構えるFacebookのEU法人を相手に「個人データの移転の適法性」を争って起こした訴訟で、EU司法裁判所は、ヨーロッパからアメリカへの個人データの転送に関する「プライバシーシールド」決定を無効とする判決を出しました。
この判決では「他国の法律で監視の対象となる場合であっても、個人データの移転はEU一般データ保護規則(GDPR)によって保証されるレベルでの保護の下で行われることが求められる」とされ、「アメリカの法律に基づく個人データの保護は、EUの法的保護と同等以上とは認められない」と論じられました。
EU司法裁、米国との個人データ移転に関する「プライバシー・シールド」を無効と判断(米国、EU) | ビジネス短信 - ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/07/d4dfd684421ffb4b.html
これを受けて、FacebookのGlobal Affairs and Communications(国際関係とコミュニケーション)部門ヴァイス・プレジデントを務めるニック・クレッグ氏が「国境を越えたデータ転送の長期安定性の確保」と題したブログ記事を投稿し、「グローバルなデータ転送が世界経済を支え、私たちの日常生活に欠かせないサービスの多くをサポートしています」と主張しました。
さらに、Facebookは2020年9月10日付けでアイルランドの高等裁判所に宣誓供述書を提出。その中で「Facebookがアメリカへの個人データの転送を完全に停止された場合、そのような状況下でどのようにしてヨーロッパでFacebookとInstagramのサービスを提供し続けることができるのかは不明です」とFacebookは述べており、ヨーロッパでのFacebookとInstagramの運営が難しくなる可能性を示唆しています。
Facebookの広報担当者は「Facebook、および他の多くの企業、組織、サービスが、ヨーロッパとアメリカ間での個人データ転送に依存しているという単純な現実を示しています。グローバルなデータ転送を禁止することは経済的にもダメージを与え、ヨーロッパにおけるデータ主導型ビジネスの成長を妨げます」と述べ、ヨーロッパからの撤退をちらつかせた脅迫ではないと主張しました。
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