メモ

Amazonの下請け配送業者が「配送拠点の近くの木に携帯電話をぶら下げる」理由とは?


Amazonは荷物の配送を個人事業主に委託する「Amazon Flex」というサービスを運用しており、個人が空き時間などを利用してAmazonの配送を行うことで賃金を得ています。アメリカの一部地域では、Amazonドライバーたちが「配送拠点の近くの木に携帯電話をぶら下げる」という手段を使い、配送業務の受注率を上げていると報じられています。

Amazon Drivers Are Hanging Smartphones in Trees to Get More Work - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-09-01/amazon-drivers-are-hanging-smartphones-in-trees-to-get-more-work

Why Are Amazon Drivers Hanging Phones In Trees? Workers Take Desperate Measures To Get Ahead In Gig Economy
https://www.ibtimes.com/why-are-amazon-drivers-hanging-phones-trees-workers-take-desperate-measures-get-ahead-3038456

シカゴ近郊にあるAmazonの配送ステーションや食料品チェーンであるホールフーズ・マーケットの付近では、「木に複数台の携帯電話がぶら下がっている」という奇妙な光景が見られます。これはAmazonの下請け配送業者として働く人々が、配送依頼の受注率を上げるために行っているそうです。

実際にシカゴ近郊のエバンストンにあるホールフーズ・マーケットのすぐ近くで撮影された、「木に携帯電話がぶら下げられている」様子がこれ。携帯電話はいずれもAmazonの配送拠点となるステーションや店舗の周囲に配置されており、この作戦に参加しているドライバーたちは、自身の携帯電話と木にぶら下げた携帯電話をリンクさせているとのこと。

The bizarre reason Amazon drivers are hanging phones in trees near Whole Foods https://t.co/I4JLD84vru pic.twitter.com/kkXsu9vNy2

— Fortune Tech (@FortuneTech)


一般的なAmazon Flexドライバーは1回あたり2~4時間ほどの配送ルートを割り当てられますが、携帯電話を木にぶら下げる作戦を実行するドライバーたちは、より短い1回当たり15分~45分程度のインスタント案件を受注しようとしているとのこと。


Amazonは登録したドライバーにインスタント案件を依頼する際、「配送拠点から近い距離にいるドライバー」を携帯電話の位置情報から割り出すシステムを使用しています。携帯電話の電波が良好でWi-Fiスポットも豊富な都市部では、Amazonのシステムが携帯電話の位置情報を20フィート(約6m)以内の精度で検出することが可能。そのため、配送拠点の近くにある木に携帯電話をぶら下げておくことで、実際に配送拠点の近くにいなくてもインスタント案件を受注することができるそうです。

Amazon Flexのドライバーたちがこれほど極端な作戦を実行する背景には、パンデミックによりアメリカの失業率が急上昇しているという現実があります。Amazon Flexは空き時間に仕事ができる点もウリですが、今では多くのドライバーがAmazon Flexを主要な収入源としているため、配送受注を少しでも増やすことが重要になっているとBloombergは指摘。固定給の正社員と違い、ドライバーは配送を行わなければ収入を得られないため、その前段階として「配送の受注を勝ち取る」ことが重要となっています。


もちろん「携帯電話を配送拠点の近くにある木にぶら下げる」という手法は不正なものであり、作戦に参加していないドライバーからは不満の声が挙がっています。Amazonはこの不正行為について調査を行っているとのことですが、調査結果の公表はできないと述べています。

実際にこの作戦を実行するドライバーを観察した人物によると、木にぶら下げられた携帯電話は特定の個人とのみリンクしているのではなく、作戦に参加する複数のドライバーに配送を割り当てる「親機」として機能しているとのこと。携帯電話をぶら下げている個人や団体がAmazonとドライバーの仲介者として暗躍し、配送受注を作戦に参加するドライバーに割り当てる代わりに、ドライバーから手数料を徴収するシステムがあるのではないかと見られています。

ワイヤレス業界のコンサルタントであるChetan Sharma氏は、犯人はおそらく複数のAmazon Flexアカウントを所有しているのだろうと指摘。配送の受注を複数のアカウントに分散させることで、不正検知システムを回避している可能性があるそうです。

また、Amazon Flexのドライバーがこの作戦に参加する理由は、単に受注率を上げることだけが目的ではないかもしれません。この作戦で使われるAmazon Flexアカウントは実際のドライバーと別人のものであるため、「アメリカ国内で有効な免許証を持っていない、あるいは就労許可がない人物」が下請けのドライバーとして働くことが可能となります。匿名の情報提供者はBloombergに対し、アカウントの所有者が18ドル(約1900円)の配送を受注し、実際のドライバーに10ドル(約1060円)で配送を行わせるケースがあると述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「Amazonは下請け配送業者が起こした事故の責任を回避している」という指摘 - GIGAZINE

Amazonが配達スピードアップのためにドライバー数を増やして独自配送ネットワークを構築中 - GIGAZINE

Amazonがサードパーティ業者に対してFedExの配送サービスの利用禁止を通知 - GIGAZINE

Amazonが他社と競合している配送サービスを一時停止へ - GIGAZINE

Amazonで最初にCFOを務めた功労者がAmazonの配達車にひかれて死亡していたことが明らかに - GIGAZINE

Amazonの配達員が荷物をポイポイ投げまくり - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.