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ビル・ゲイツが「アメリカの新型コロナウイルス検査はほとんどがゴミ」と語る

by Claudio Toledo

「Microsoftの創業者」として知られるビル・ゲイツ氏は、MicrosoftのCEO職を退いてからは妻のメリンダ氏と創設した慈善基金団体ビル&メリンダ・ゲイツ財団の活動を重視しており、世界で大流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についてもワクチンや治療薬、検査キットの開発などを精力的に支援しています。そんなゲイツ氏がIT系ニュースサイトWIREDの取材に対して、現状の問題点を厳しく指摘しました。

Bill Gates on Covid: Most US Tests Are ‘Completely Garbage’ | WIRED
https://www.wired.com/story/bill-gates-on-covid-most-us-tests-are-completely-garbage/

Bill Gates on COVID-19: Most US tests are “completely garbage” | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/08/bill-gates-on-covid-19-most-tests-are/

ゲイツ氏は長年にわたって「世界的なパンデミックが発生する可能性」について言及しており、その中でパンデミック対策の改善を訴えてきました。

ビル・ゲイツが「もし次の疫病大流行が来たら」を語る2015年公開のムービー - GIGAZINE


新型コロナウイルスの流行により、まさにゲイツ氏が訴えてきた世界的なパンデミックが現実のものとなりました。これまでも、2015年以降の世界は感染症対策として「すべきこと」をしてこなかったと述べてきたゲイツ氏ですが、新たな取材で改めて「アメリカのパンデミック対策には失望しました」と語っています。

ゲイツ氏によると、COVID-19パンデミックが発生する以前の2015年頃に診断・治療・ワクチン開発のプラットフォームを構築できていれば、状況は劇的に改善したはずとのこと。また、COVID-19パンデミックが発生した直後の数カ月間には治験などの商業的な試験が承認を受けることが難しかった点や、さらにその後の数カ月間におけるマスク着用に関する重要性の理解や、マスクを着用するように訴えるリーダーシップの不足などが、自身の失望につながったと明かしました。


アメリカにおけるCOVID-19の感染者は2020年8月11日の段階で500万人を突破し、犠牲者も16万人に達しています。ゲイツ氏は、アメリカにおける感染症対策を主導する組織であるアメリカ疾病予防管理センター(CDC)に対して、「疫学について世界で最も賢い人々が多数所属する施設ですから、もっと上手くやると思っていました」とコメント。「彼らは感染症に向き合っていません。彼らは、人々がパニックにならないように、しかし、物事を深刻に捉えるように伝える訓練を受けているはずなのに」「CDCは最初から情報を漏らさないように口封じを受けていました。私はCDCに何度も電話をしましたが、彼らは何度も『ホワイトハウスと話す必要がある』と述べました」「彼らはシステムを大幅に改善させうる最も単純なことについても欠点があると感じています。つまり、興味がないんでしょう」と語りました。

このようなアメリカにおけるパンデミックの主な責任は、ホワイトハウスにあるとゲイツ氏は指摘。CDCはロックダウンの緩和を行うべきではなく、マスク着用のモデルとなるリーダーシップが必要だと訴えてきたものの、ホワイトハウスはCDCの提言に反する政策を実施してきたと述べました。


また、アメリカで広く行われている新型コロナウイルス検査について、ゲイツ氏は「時代遅れ」と語っています。現行のほとんどの検査は「綿棒を鼻の奥深くまで押し込んで、採取されたサンプルを冷蔵して輸送する」というものです。この検査法は患者の痛みを伴い、くしゃみを誘発して検査員に新型コロナウイルスを含む飛まつを吹きかける上に、冷蔵のための手間がかかります。一方でゲイツ氏は「鼻の奥深くまで押し込まなくても、十分な精度のサンプルが採れる」「冷蔵しなくても保存状態が良好に保てる」という研究結果に基づいて、「自分で鼻に綿棒を入れて、採取されたサンプルをビニール袋に入れて送付する」という検査に資金を投じています。ゲイツ氏はアメリカ国内で実施されている新型コロナウイルス検査の結果が到着するまでにかかる時間が長いことに触れて、「アメリカの検査のほとんどは完全にゴミで、無駄になっています」と語っています。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団が資金を投じているワクチンの開発状況について、ゲイツ氏は「COVID-19パンデミック以前は、Modernaが開発した『mRNA-1273』のようなメッセンジャーRNAを用いたワクチンに大きな可能性を感じていましたが、大量生産における問題があるため、これらのワクチンは先進国のみに役立つと考えられます」と述べて、発展途上国を含む世界全体に配布できるワクチンとしては適していないと言及。「規制当局が実施する安全性に関する審査を経ていないワクチンが、世界のどこかで配布されると思っています」とゲイツ氏は語り、アメリカ食品医薬品局が有効性と副作用の証明を再三求めていることを称賛しました。

こういった状況について、ゲイツ氏は「現状は楽観的」だと語っています。数兆ドル(数百兆円)もの経済的損失などがあったものの、診断の拡大、治療法開発やワクチン開発におけるイノベーションは非常に素晴らしいとのこと。先進国においては2021年末までに新型コロナウイルス問題は収束し、発展途上国を含む世界全体においては2022年末までに収束すると語りました。

新型コロナの死亡率は2020年末までに減少するとビル・ゲイツ氏が語る - GIGAZINE


また、ゲイツ氏はFacebookやTikTokなどの問題についても回答しています。フェイクニュース対策を実施しているFacebookについては「私はマーク(ザッカーバーグ)が好きで、彼はとても良い価値観を持っていると思いますが、トレードオフの問題に関しては意見が合いません。Facebookはフェイクニュースを広めるようなコンテンツへのリンクを削除せず、検索からも除外しませんでした。彼らは『ああ、今はありませんよ』と主張していましたが、誰でも見に行けました」とコメント。

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MicrosoftがTikTokの買収に名乗りを上げているという一件については、「何が起こるのかわからない、毒杯のようなものです」と語って、かなり異常な事態であると強調しました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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