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オンラインプラットフォームは「著作権侵害者のメールアドレスやIPアドレス」を著作権者に開示する必要はないというと最高裁判決が下る


現地時間2020年7月9日、EUにおける最高裁判所に相当する欧州司法裁判所が「YouTubeなどのオンラインプラットフォームは、著作権侵害の申し立てを受けた場合に、著作権侵害者のメールアドレス、IPアドレス、電話番号などを開示する義務はない」と判決を下しました。

When a film is unlawfully uploaded onto an online platform, such as YouTube, the rightholder may, under the directive on the enforcement of intellectual property rights, require the operator to provide only the postal address of the user concerned, but not his or her email, IP address or telephone number - cp200088en.pdf
(PDFファイル)https://curia.europa.eu/jcms/upload/docs/application/pdf/2020-07/cp200088en.pdf

CURIA - Documents
http://curia.europa.eu/juris/document/document.jsf;jsessionid=0DE19E1407BB5152A948F0D2F60C6C2D?text=&docid=228366&pageIndex=0&doclang=EN&mode=req&dir=&occ=first&part=1&cid=8636258

EU Court: YouTube Not Required to Share Email and IP-Addresses of Movie Pirates * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/eu-court-youtube-not-required-to-share-email-and-ip-addresses-of-movie-pirates-200709/

EU Court: Nope, YouTube doesn't have to reveal pirates' IPs and emails
https://thenextweb.com/insider/2020/07/09/youtube-pirates-email-google-eu-court/

この判決は、2013年と2014年に3名のYouTubeユーザーが映画「最終絶叫計画5」と「PARKER/パーカー」を違法アップロードした一件について下されたもの。


ドイツにおける「最終絶叫計画5」と「PARKER/パーカー」の独占的利用許諾を有するConstantin Filmは違法アップロードされた映画2本が何千回も視聴されたことを受けて、YouTubeに対し、違法アップロード者3名のメールアドレス、IPアドレス、電話番号などの個人情報を要求しました。しかし、YouTubeがこの要求を拒否したため、Constantin Filmは法的措置に乗り出しました。

ドイツのフランクフルト地方裁判所で行われた第一審では、Constantin Filmの要求は却下されましたが、第二審では一転して「メールアドレスの開示のみ認められる」という、Constantin Filmの要求を一部認めた判決が下りました。しかし、この第二審判決はConstantin Film、YouTubeの双方に受け入れられず、審理はドイツ連邦司法裁判所に送られ、さらに審理の焦点となった「Address(アドレス、住所)」という用語の解釈が、欧州司法裁判所に求められることとなりました。


2004年4月29日に規定された「知的財産権の執行」に関する補遺では、知的財産権を侵害した人物の「Address」の開示を定めていますが、この「Address」がどのような意味を指すのかについては言及されていませんでした。今回の審理においては補遺の目的にのっとり、この「Address」は「物理的な住所」に限られるものとし、メールアドレス・IPアドレスなどの「『Address』の語が含まれるが、住所ではないもの」は無関係だと欧州司法裁判所は判断しました。

今回の欧州司法裁判所の判決に基づいて、ドイツ連邦司法裁判所は今回の審理の最終決定を下す予定です。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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