メモ

EUが通称「リンク税」などを含む著作権法改正案を可決


EUの欧州議会がEU著作権指令の修正指令案を可決、承認しました。これで、2019年1月に行われる最終投票によって通称「リンク税」を認める改正著作権指令が成立する公算が高まりました。

Parliament adopts its position on digital copyright rules | News | European Parliament
http://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20180906IPR12103/parliament-adopts-its-position-on-digital-copyright-rules

欧州議会は、2018年6月に提案された改正著作権指令の修正案について決議し、賛成438、反対226、棄権39で法案を可決し、改正著作権指令案が正式に採択されました。

Plenary adopts it’s negotiating position on copyright rules for the digital single market. Negotiations with Council will begin soon. pic.twitter.com/hJOhClrZyf

— JURI Committee Press (@EP_Legal)


これで、改正著作権指令は2019年1月に行われる議会での最終投票を経て加盟国による承認を得たのち正式に成立し、改正著作権法がEU加盟国で施行される見込みになりました。


EUの改正著作権法で大きな議論に挙がっているEU著作権指令11条と13条については微修正が加えられたものの、その骨子にブレはなく、改正著作権法の成立によってGoogleやFacebook、YouTubeなどのアメリカの大手ハイテク企業に大きな負担が課される内容になっています。

◆11条(リンク税)
改正著作権指令第11条は、「加盟国は、加盟国のパブリッシャーに対し、情報社会サービスプロバイダによる報道出版物のオンライン利用に対して、情報社会指令第2条及び第3条第2項に定める権利を付与しなければいけない」と規定しています。これは、外部のウェブページ上にリンクを貼る行為を複製権や公衆送信権の対象にすることで、ウェブ上のコンテンツの権利者に著作権料の請求権を認めるものです。リンクを貼る行為に対して使用料が請求される可能性があることから「リンク税」という呼び名で広く知られるようになったこの条文ですが、著作権料を請求できるのは出版社などのコンテンツ制作者(権利者)でありEU加盟国(行政)ではないので「税」ではありません。より正確には「被リンク利用料請求権」のような内容ですが、一般には「リンク税」と呼ばれています。


EU著作権指令に基づく著作権法の実際の運用はEU加盟国ごとに異なるため、具体的にどのような行為について著作権使用料が請求されることになるのか現時点でははっきりしませんが、11条第1項には「第1段落の権利(リンク税)は、報道出版物の重要でない部分の利用には適用されない」という但書きがあるため、「単なる文字列としてのリンク」の貼り付け行為に対して利用料が請求されるというものではなさそうです。もっとも、欧州議会は改正著作権指令の趣旨について「ハイテク巨人はアーティストやジャーナリストに対価を支払わねばならない」と述べ、具体例として検索結果表示における「スニペット」が挙げられており、Google検索のようなサービスが捕捉されるのは確実といえそうです。

◆13条
改正著作権指令13条は、SNSなどのコンテンツ・プラットフォームの提供者に対して、プラットフォーム内のコンテンツが著作権法に反していないようチェックし対応する義務を課すもの。具体的には、YouTubeで違法なムービーがアップロードされないようYouTubeにチェックを義務づけ、仮に違法ムービーがアップロードされ視聴された場合にYouTubeに対して責任を求めるというものです。

改正著作権指令13条がターゲットとしているのはYouTubeなどのムービー提供者やFacebookのようなSNSプロバイダーで、違法な著作物を共有するユーザーの利用を停止する義務がサービス提供者に要求されることになります。

アメリカの大手ネット企業を狙い撃ちするかのようなEUの改正著作権指令ですが、2019年1月に正式に可決・成立し、EU加盟各国に改正著作権法として導入されれば、Google・Facebook・YouTubeなどは対応が避けられず、サービスの内容に制約が課せられることになりそうです。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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