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18年前に開発された幻のシミュレーションゲーム「SimRefinery」がインターネットアーカイブに公開中、ブラウザからインストール不要でプレイ可能


かつて石油会社大手のシェブロンが、都市経営シミュレーションゲームの「シムシティ」シリーズを開発するマクシスに依頼して制作された研修用シミュレーションゲームが「SimRefinery」です。このSimRefineryはさまざまな文献にのみ登場する幻のゲームでしたが、18年越しにゲーム本体が収録されたフロッピーディスクが発掘され、インターネットアーカイブに公開されました。

A lost Maxis “Sim” game has been discovered by an Ars reader, uploaded for all | Ars Technica
https://arstechnica.com/gaming/2020/06/a-lost-maxis-sim-game-has-been-discovered-by-an-ars-reader-uploaded-for-all/


A close look at SimRefinery | The Obscuritory
https://obscuritory.com/sim/simrefinery-analysis/


SimRefineryは、レトロゲーム収集家のフィル・サルバトーレ氏がブログメディアのThe Obscuritoryへ2020年5月19日に掲載した記事がきっかけで話題になりました。「SimRefinery」がどういう経緯で開発されたのかは、以下の記事を読むとよくわかります。

「シムシティ」の成功で生まれた幻のシミュレーションゲームとは? - GIGAZINE


そして、IT系ニュースメディアのArs TechnicaがSimRefineryを紹介した記事を5月20日に掲載したところ、「postbebop」と名乗る読者の1人が「この記事について、かつてシェブロンで働いていた化学技術者の友人に何か知っているかを聞いてみました。彼が見つけたものがコレです」というコメントとともに、SimRefineryの3.5インチのフロッピーディスクの画像、そしてフロッピーディスクのデータをアップロードしたインターネットアーカイブのリンクを投稿しました。


公開されたSimRefineryのアーカイブが以下。無料かつインストール不要で、ウェブブラウザ上でプレイすることが可能です。

SimRefinery : Maxis Business Simulations : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive
https://archive.org/details/simrefinery

SimRefineryをブラウザ上で遊ぶには、フロッピーディスクの画像上に表示された電源アイコンをクリックします。


ゲームデータがダウンロードされ、MS-DOS環境エミュレーターであるDOSBoxが起動。


「simref」とコマンドを入力すれば……


SimRefineryが起動します。


サルバトーレ氏は、インターネットアーカイブで初めて公開されたこのSimRefineryはシェブロンが研修で使えるかを内部でテストした際に使われたプロトタイプ版であり、ゲームとしては未完成な部分も多いと評価しています。以下の画像のうち、左が公開されたSimRefineryのタイトル画面で、右が1993年当時にマクシスが公開したプロトタイプ版のスクリーンショット(右)です。


またサルバトーレ氏は、SimRefineryは1993年にマクシスがリリースした「シムファーム」や「シムシティ」から一部のグラフィックを使い回している部分があると指摘。例えば、SimRefineryのマップに映る小屋(左)は、シムファームに登場する農場小屋(右)と並べてみると、グラフィックを流用して色を変えただけだとわかります。サルバトーレ氏は、このSimRefineryはおそらく最終バージョンのもので、7万5000ドル(当時のレートで約900万円)という低予算で作られたため、全体的に作りが雑なのだろうと推測しました。


以下はSimRefineryに搭乗するマップの全体図。このマップはカリフォルニア州リッチモンドにあるシェブロンの製油施設を基に設計されている模様。ただし、SimRefineryの説明書には「特定の製油施設を表現するものではありません」と明記されているとのこと。また、シムシティではおなじみの災害イベントとして、SimRefineryでは「高温の石油火災」「落雷」「非毒性の物質による汚染」などが発生するそうです。


グラフィックの流用などから一見雑に作られているように思われるSimRefineryですが、シムシティと明確に違う点の1つが、以下の画像のように「分子量の異なる炭化水素を独自に混合できる」という精油施設シミュレーションならではのシステム。「企業の研修用という側面もあるSimRefineryは、石油化学の知識がなければ満足にプレイできないでしょう」とサルバトーレ氏は述べています。


サルバトーレ氏は、マクシスが最終バージョンとなるプロトタイプをシェブロンに渡してからSimRefineryの開発を進めていなかったとする一方で、シェブロンがマクシスとは無関係にSimRefineryの開発を続行した可能性を指摘しています。「本格的な製油施設シミュレーションをプレイしたい人にとっては、ゲームが未完成であることにがっかりするかもしれません。しかし、今回公開されたSimRefineryを見れば、当時のゲーム開発について多くの学びが得られます」と語りました。

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in ゲーム, Posted by log1i_yk

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