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SpaceXが宇宙にインターネットを構築する「Starlink」用の人工衛星を新たに60基打ち上げ、すでにインターネットに接続する準備も整う


民間企業初の有人宇宙飛行船の打ち上げに成功したばかりのSpaceXが、宇宙空間にインターネットを構築するプロジェクト「Starlink」用の人工衛星を新たに60基打ち上げることに成功しました。すでにインターネット接続に必要な「AS番号」も付与されており、インターネットのプロバイダ同士を中継するインターネットエクスチェンジ(IX)として稼働する準備が進んでいます。

SpaceX Starlink is now its own ASN and present at the Seattle Internet Exchange | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=23409063

PeeringDB
https://www.peeringdb.com/net/18747

実際にSpaceXが人工衛星を打ち上げる様子を記録したムービーが以下。

Starlink Mission - YouTube


「Starlink」プロジェクトは、高度1150kmの低軌道に約1万2000基の人工衛星を打ち上げ、地球上のほとんど全ての地域に安価かつ高性能な衛星インターネットアクセスを提供するという計画。低遅延で検閲のないインターネット環境が地球上のどこでも利用できるため、世界中に大きな影響を与えると考えられています。

世界の隅々まで高速なインターネット環境を提供する「Starlink計画」はどのように世界を変えるのか? - GIGAZINE


最初にStarlinkの人工衛星が打ち上げられたのは2019年5月23日で、SpaceX製の再利用可能ロケット「Falcon 9」が使用されました。打ち上げの様子やStarlinkの通信の仕組みについては、以下の記事にまとめられています。

SpaceXが人工衛星を用いてインターネット環境を構築するStarlinkプロジェクト用の最初の衛星60基を打ち上げ - GIGAZINE


2020年4月22日には7度目の打ち上げに成功。過去7度の打ち上げでFalcon 9が地上への帰還に失敗するトラブルなどはありましたが、「衛星を周回軌道上に載せる」という目的は達成し続けています。

SpaceXが人工衛星でインターネット環境を構築する「Starlink」プロジェクト用衛星を新たに60基打ち上げることに成功 - GIGAZINE


2020年6月4日、試験を除いて8回目の打ち上げが行われました。今回打ち上げられた人工衛星は60基で、人工衛星を太陽光から守るバイザーを備えた新型とのこと。これまでで合計480基の人工衛星が地球の周回軌道上に投入されたことになります。

SpaceX - Updates
https://www.spacex.com/updates/starlink-update-04-28-2020/



Starlinkは高密度なユーザーの利用をサポートしていないため、プロバイダの代替にはなりませんが、高速な回線がない地方やモバイル分野では重要な宇宙のIXとしての役割を果たします。現在の衛星のバージョンである「Starlink v1」では衛星間の通信はできませんが、「Starlink v2」は衛星間通信をサポートする予定。光の伝達速度が光ファイバーよりも30%速い真空中の通信を行えるため、さらに高速な通信が可能になるそうです。また、通信がネットワーク機器を中継した回数を指すホップの減少もStarlinkのメリットとして指摘されています。

すでに2019年には、Starlinkはインターネットプロバイダ同士が通信を行うのに必要なAS番号も付与され、上流のIXにも接続が完了している状況。2020年内にはStarlinkによるサービスが開始される予定です。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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