乗り物

SpaceXが「国際宇宙ステーションよりもっと遠く」まで行ける民間向けの宇宙旅行プランを発表

by Kevin Gill

イーロン・マスク氏がCEOを務める宇宙開発企業のSpaceXは2020年2月18日、アメリカ・バージニア州に本拠を置く宇宙旅行会社のスペース・アドベンチャーズと提携して、2021年後半から2022年初頭を目標に民間人を宇宙空間に打ち上げると発表しました。宇宙旅行を体験できるのは最大で4人の一般市民だそうで、到達する高度は国際宇宙ステーションが周回する高度の2倍~3倍に達する予定です。

Space Adventures Announces Agreement with SpaceX to Launch Private Citizens on the Crew Dragon Spacecraft - Space Adventures
https://spaceadventures.com/space-adventures-announces-agreement-with-spacex-to-launch-private-citizens-on-the-crew-dragon-spacecraft/

SpaceX will launch private citizens into orbit - The Verge
https://www.theverge.com/2020/2/18/21142137/spacex-tourism-orbit-earth-private-citizens-dragon-space-flight

SpaceX and a new partner announce space tourism launches on Dragon starting as early as 2021 | TechCrunch
https://techcrunch.com/2020/02/18/spacex-and-new-partner-announce-space-tourism-launches-on-dragon-starting-as-early-as-2021/

SpaceX Just Announced They'll Send Space Tourists Deeper Into Orbit Than Ever Before
https://www.sciencealert.com/spacex-announces-partnership-to-send-four-tourists-into-deep-orbit


SpaceXは有人宇宙船の「Crew Dragon」を開発中であり、2020年1月には実際にCrew Dragonを商業用打ち上げロケットのFalcon 9で打ち上げて、緊急脱出システムのテストを実施。テストは見事成功に終わり、ソフトウェアのバグなどの問題が発生したボーイングの有人宇宙船「スターライナー」より優位に立っています。

SpaceXがロケットを実際に打ち上げて有人宇宙船の緊急脱出システムをテストし成功 - GIGAZINE


2020年5月には、実際にダグ・ハーリー宇宙飛行士とボブ・ベンケン宇宙飛行士がCrew Dragonに搭乗して、試験飛行が行われる予定となっています。そんな中、宇宙旅行会社であるスペース・アドベンチャーズとSpace Xが提携し、民間の宇宙旅行者を宇宙空間へと打ち上げる計画が発表されました。

スペース・アドベンチャーズは、過去にも民間人の宇宙旅行を実現させてきた実績を持っています。2001年にはアメリカ人のデニス・チトー氏をソユーズTM-32で国際宇宙ステーションまで輸送し、チトー氏は「世界で初めて自費で宇宙旅行をした人物」となりました。また、2009年にはシルク・ドゥ・ソレイユの創設者であるギー・ラリベルテ氏の国際宇宙ステーション滞在を実現しています。

今回発表された計画では2021年後半から2022年のどこかで、最大で4人の旅行者がCrew Dragonに搭乗し、Falcon 9による打ち上げが行われる予定です。SpaceXのグウィン・ショットウェルCOOは、「この歴史的なミッションは、宇宙飛行を夢見る全ての人々にそれを可能にする未知を築きます」とコメント。また、スペース・アドベンチャーズの共同設立者であるエリック・アンダーソン氏は、「宇宙を体験するユニークかつこれまで不可能だった機会を作り出すことが、スペース・アドベンチャーズが存在する理由です」と述べました。

by Official SpaceX Photos

民間の宇宙旅行者が搭乗したCrew Dragonは国際宇宙ステーションへ向かうのではなく、地球の軌道上を周回する旅程となっている模様。民間人であっても6カ月の訓練が必要となる国際宇宙ステーションへの滞在とは異なり、訓練期間は4週間程度で済むそうです。

また、スペース・アドベンチャーズのトム・シェリーCEOは、「私たちの目標は、国際宇宙ステーションの2倍~3倍の高度に到達することです」と述べています。国際宇宙ステーションの高度は地上から約400kmの熱圏に位置していますが、SpaceXのCrew Dragonによる宇宙旅行はさらに高度を上げた外気圏に達する予定だとのこと。実際に民間の宇宙旅行者をのせたCrew Dragonが国際宇宙ステーションを上回る高度に達すれば、民間の宇宙飛行士による到達高度の世界記録を塗り替えることとなります。

シェリーCEOは宇宙旅行にかかるコストについて尋ねられると、「安くはありません」と答えました。公開されている情報によると、Falcon 9ロケットの打ち上げにかかる費用が6200万ドル(約68億円)といわれており、新たに新品のCrew Dragonを建造すると1億ドル(約110億円)を超える可能性があります。しかしシェリーCEOは、「世界の超富裕層の多くは宇宙飛行に興味を持っていることを知っています」と述べ、料金が超高額であっても支払う顧客は存在すると主張しました。


なお、民間の宇宙旅行者たちが乗り込むこととなるCrew Dragonの内部は、以下のムービーで見ることができます。

Crew Dragon | Interior - YouTube

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
SpaceXがロケットを実際に打ち上げて有人宇宙船の緊急脱出システムをテストし成功 - GIGAZINE

100人以上を月や火星まで運ぶことを目指すSpaceXの新型宇宙船「スターシップ」はどんなロケットなのか? - GIGAZINE

「火星都市の建設にはSpaceXのスターシップ1000隻による輸送で20年かかる」ことをイーロン・マスクCEOが明らかに - GIGAZINE

「SpaceXの人工衛星が明るすぎて宇宙研究を破壊してしまう」という懸念 - GIGAZINE

SpaceXが人工衛星を用いてインターネット環境を構築するStarlinkプロジェクト用の最初の衛星60基を打ち上げ - GIGAZINE

宇宙企業SpaceXが次世代宇宙船「スターシップ」を公開、ZOZO前澤元社長らの月旅行で運用される予定 - GIGAZINE

in 乗り物,   動画, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.