白熱電球を実用化したエジソンの作ったゼネラル・エレクトリックが照明機器事業を売却
「発明王」とも呼ばれるトーマス・エジソンが設立した総合電機メーカーのゼネラル・エレクトリック(GE)が、家庭用電球などの照明事業を、スマートホーム企業のSavant Systemsに売却すると発表しました。
GE to Sell Lighting Business to Savant Systems, Inc. | GE Newsroom
https://www.genewsroom.com/press-releases/ge-sell-lighting-business-savant-systems-inc
GE is saying goodbye to its 129-year-old light bulb business - CNN
https://edition.cnn.com/2020/05/27/business/ge-light-bulbs-sale/index.html
エジソンの功績の1つが「白熱電球の商用化」です。エジソンは京都の竹を使ったフィラメントを採用することで、1000時間の連続使用が可能な電球を開発。さらにトースターや電気アイロンなどさまざまな電気製品を発明し、一般家庭への送電インフラを整えて電気の普及に大きく貢献しました。
そんなエジソンが立ち上げた実験室にルーツを持つGEの照明部門は129年の歴史を持ち、会社のアイデンティティに関わるコア事業部門でした。また、GEの照明部門は1938年に蛍光灯の商品化、1959年にハロゲンランプの発明、1962年にLED照明の発明を達成しており、人類における照明の歴史においても大きな功績を残しています。
by Wally Gobetz
しかし、GEは近年経営悪化に陥っており、大規模な事業改革を敢行。その結果、航空事業・ヘルスケア事業・電力事業・再生可能エネルギー事業という4つの産業部門に注力することとなりました。一方で、技術の発達と共に電球の買い換え頻度が下がったこともあって業績が落ち込んでいた照明事業は、他会社に売却されることが2018年に決定されました。
照明事業を購入したSavant Systemsは、AppleのHomeKitベースのスマートホームシステムを初めて提供した企業で、当初は高級住宅のみをターゲットに事業を展開していましたが、近年は一般家庭向けにもアピールしています。
取引内容には「GEブランドの長期ライセンス契約」も含まれているとのことで、129年の伝統を持つGEブランドの電球が消えてしまうことはなさそうです。事業売却は2020年半ばに完了する予定とのこと。なお、Savant Systemsは「GEの照明部門が抱える従業員700名を解雇する予定はない」と述べています。
GEの会長兼CEOであるH・ローレンス・カルプ・ジュニア氏は「今回の取引は、GEをより集中的な産業企業に変革させるためのもう1つの重要なステップです。GEの照明機器事業は、未来を照らすことへの情熱を共有するホームオートメーションの急進的なリーダーの一部となります。GEの照明部門はSavant Systemsと共にイノベーションの遺産を受け継ぎ、創立者のトーマス・エジソンのルーツに従って中核となるインフラ技術を前進させ続けます」とコメントしました。
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