新型コロナウイルス研究のために爆速資金提供を受けた研究者リスト
「通常時の科学の資金調達メカニズムでは遅すぎる」ということで、COVID-19関連プロジェクト向けに申請から48時間以内で1万ドルから50万ドル(110~5400万円)の資金提供が決定される「Fast Grants」がスタートしています。
Fast Grants
https://fastgrants.org/
Fast Grantsに申請するための3要件は以下のとおり。
・学術機関の研究グループ主催者
・今後6カ月以内にCOVID-19パンデミックの助けとなるプロジェクトにすでに取りかかかっている
・プロジェクト完遂のために資金が必要である
要件の1つに「今後6カ月以内に」とあるのは、既存の資金提供期間が長期的な研究のサポートに焦点を置いているため。一方でCOVID-19との戦いは時間勝負であることから、Fast Grantsでは逆に短期のプロジェクトに支援を行う形です。
Fast Grantsはアメリカのジョージ・メイソン大学メルカトゥスセンターが運営するプロジェクトEmergent Venturesの一部であり、助成金の決定は生物医学者のパネルがEmergent Venturesに推薦する形で行われるとのこと。推薦の際には、助成金の額が小さいことや結果がすぐに出るプロジェクトが優先されることがQ&Aで述べられています。
助成金は申請者または大学に送られ、使用用途は「COVID-19関連の研究を促進」に限ると求められていますが、決定権は助成金の受領者にあります。そして助成金を得た受領者は、以下の条件を満たす必要があります。
・COVID-19関連の研究に取り組むためにFast Grantsの助成金を使用すること。
・6カ月間、研究進度の要約を毎月送ること。この要約は1段落程度でよく、メールで送信できる。
・レポートは査読付きジャーナルへ投稿すると同時にプレプリント・リポジトリのbioRxivやarXivで公開しなければならない。ただし、このほか知的財産権についての制限は存在しない。
・(PDFファイル)ビル&メリンダ・ゲイツ財団のポリシーに従い助成金の10%を諸経費として大学側に支払うこと
なお、Fast Grantsは太平洋時間の2020年4月7日(火)12時にオープンしており、最初の助成金は12日(日)に決定し、その後の決定は申請から48時間以内に行われることになっています。
2020年4月19日時点で助成金が決定している研究者リストが以下(敬称略)。67人が助成金を受け取っており、リストに含まれない研究者も存在するとのことです。
・赤畑渉(京都大学)
・ジェフ・ビアナスキー(カルガリー大学)
・ブライアン・バード(ミシガン大学医学部)
・ジョン・アイケルブーム(マクマスター大学)
・ジュディス・フリードマン(スタンフォード大学)
・ダグラス・ゲッツ(オハイオ大学)
・シャーリー・シンジュ・メイ(オタワ病院研究所)
・パトリック・スー(カリフォルニア大学バークレー校)
・ピーター・K・ジャクソン(スタンフォード大学医学部)
・ロナルド・レヴィ(スタンフォード大学)
・ラジーブ・マルホトラ(マサチューセッツ総合病院)
・ロマン・メルニック(トロント大学小児病院)
・ミハイ・ネテア(ラドバウド大学医療センター)
・アンジェラ・ラスムッセン(コロンビア大学)
・エリカ・オルマン・サファイア(ラホーヤ免疫研究所)
・ジャクリーン・ソウ(バンクーバー総合病院)
・サチデフ・シドゥ(トロント大学)
・アリス・ティン(スタンフォード大学)
・キアン・チャン(ロックフェラー大学)
・マーク・ベイス(マサチューセッツ工科大学)
・ジム・ブーンヤラタナコンキット(フレッド・ハッチンソンがん研究センター)
・ブランドン・J・デコスキー(カンザス大学)
・スティーブン・マーク・フリードマン(トロント大学ユニバーシティ・ヘルス・ネットワーク)
・パトリック・シゲール(オタワ大学)
・ユアン・ゴリガー(マニトバ大学ユニバーシティ・ヘルス・ネットワーク)
・エヴァ・ハリス(カリフォルニア大学バークレー校)
・岩崎明子(イエール大学)
・ナフタリ・カミンスキー(イエール大学)
・マーク・R・ルーニー(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)
・アマンダ・J・マルチノット(タフツ大学カミングス獣医学部)
・アンダース・ナー(カリフォルニア大学バークレー校)
・エリザベス・L・オグバーン(ジョンズ・ホプキンズ公衆衛生大学院)
・ダビデ・F・ロビアーニ(ロックフェラー大学)
・アンスマン・サタシー(スタンフォード大学)
・ジュリア・シャレツキー(カリフォルニア大学バークレー校)
・マシュー・スピッツァー(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)
・タニア・ワッツ(トロント大学)
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