新型コロナウイルス最前線と化した医療機関の医師や看護師が「壮絶な内情」について語る
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が続く各国では医療機関の負担が増大し、現場の医師や看護師は過酷な環境での勤務を強いられています。アメリカ国内における流行の中心地となっているニューヨーク州では2020年4月7日の時点で総感染者数が13万人を超え、5000人以上が亡くなっていると報じられており、COVID-19の最前線に立つ医師や看護師らが、現場の壮絶な状況について語るムービーが公開されています。
On shift in a New York hospital overwhelmed by coronavirus patients - YouTube
ニューヨーク市のブルックリン区にあるマイモニデス医療センターでは、COVID-19の患者の病室に入る医療従事者は使い捨ての防護服の着用が必須。
病室から廊下へ出る時には、使用した防護服をごみ箱に捨てます。
その後、備え付けの消毒剤で手の消毒。院内感染を防ぐために厳重を期しているようです。
「ここは戦場です。私たちは看護師から兵士になりました」と語るのは、マイモニデス医療センターに勤務する看護師のJanett Perezさん。
COVID-19に対して恐怖を感じているのも事実だそうですが、看護師全員が患者に対して責任を負っており、一丸となって対処に当たっているとのこと。
マイモニデス医療センターにはCOVID-19の患者が続々と押し寄せており、4月1日時点で入院している600人の成人患者のうち、80%以上がCOVID-19の患者だそうです。
COVID-19に対処するため、マイモニデス医療センターでは従来のポリシーを変更し、家族を含めた見舞い客が病室へ入ることを禁止しました。
「難しい決断でしたが、患者を安全に保つために必要なことでした」とPerezさんは語っています。
普段であれば患者のベッドの周りには家族が付き添っている光景が見られますが、新型コロナウイルスの感染リスクがある状況では患者のそばに家族がいることはできません。
看護師のCheryl Martinesさんは、必要があって患者のそばに近づく時、「私はここにいます。あなたは1人ではありません」と声かけを行っているそうです。
また、医療従事者ができるだけ患者と接触しないで済むように、点滴のバッグやモニター類が廊下に運び出され、病室に入らずに患者の状態をチェックできるようにする工夫も行われています。この措置は医療従事者の安全を守るだけでなく、病室に出入りするたびに使い捨てるマスクなどの保護器具をできるだけ節約することにも役立つとのこと。
「誰もが怖がっています」と憔悴した表情で語るのは、マイモニデス医療センターに勤める感染症専門医のMonica Ghitanさん。
日々多くの患者が亡くなっていく状況の中で、Ghitanさんは無力感を覚えてしまうそうです。
感染症の医師にとっては患者を治療し、元気な状態で家に帰ってもらうことが喜びとなりますが、COVID-19の患者に対してはほとんどしてあげられることがないとのこと。
「胸が引き裂かれるようです」と、Ghitanさんは語っています。
肺疾患と救急医療に関する専門医であるOmar Tahaさんは、厳しい状況の中でも打ちのめされたり、感情的に取り乱したりする余裕はないとコメント。切迫した医療現場では看護師も医師も、まるで兵士のように対処していく必要があるとのこと。
医療従事者たちは毎朝それぞれの神に祈り、チームとして働いています。
多くのCOVID-19患者が亡くなっていきますが、生き残る患者もいます。医療従事者たちは患者の命をあきらめずに、希望を持って治療に当たっているそうです。
また、マンハッタンのマウントサイナイ病院で緊急内科医としてCOVID-19患者の治療に当たっているMatthew Baiさんも、自身が置かれた状況についてムービーで語っています。
New York City doctor: ‘The things that I see in the ER are scary’ - YouTube
カメラに向かって語りかけるBaiさんの顔は疲れた様子で、これから午前7時からの勤務シフトが始まるところだと述べています。今日も間違いなく昨日と同じかそれ以上に忙しくなるだろうと、Baiさんは予想しているとのこと。
生後17カ月の娘を持つBaiさんは、妻との話し合いの結果、家族を守るために一時的に別のアパートで生活を送ることを決めたそうです。別居生活はCOVID-19の危機的状況が終わるまで続く予定ですが、一体どれほどにわたって家族に会えない生活が続くのかはわからないとBaiさんは語っています。
病院内の更衣室らしき場所で、Baiさんは防護用のN95マスクを取り出しました。
N95マスクは息がしにくいそうですが、空気中の粒子から身を守るためにシフトの間はずっとこのマスクを装着しているそうです。
さらにBaiさんはN95マスクの上から別のマスクを装着。飛沫が付着するのを防ぐため、マスクは二重にして付けているとのこと。
最後に飛沫から目を保護するゴーグルも装着。この状態が、勤務時間中の基本装備だそうです。
人工呼吸機の装着といった感染リスクの高い作業をする際は、基本装備に加えてフルフェイスマスクなどを装着し、感染を防いでいるとBaiさんは語っています。
普段は空いているホールにも人があふれ、廊下に急きょ設置されたベッドに寝ている患者もいます。この過酷な状況の中で、医師や看護師は患者を救うためにベストを尽くしているとのことです。
シフト終了後のBaiさんは非常に疲れた様子。本来であれば17時にシフトが終了する予定でしたが、患者の対応に追われて19時まで勤務を続けたそうです。
頬にはマスクの痕がついており、マスクでこすれた鼻も赤くなっています。患者を救うためにベストを尽くしたというBaiさんは、救命救急センター(ER)の状況は恐ろしいものだと述べています。
しかし、ウィスコンシン州をはじめとするアメリカの他地域からも、ニューヨークの医療機関における危機的状況を助けるためにサポートの人員が到着しているとのこと。今後2週間はさらに厳しい状況が続き、状況は簡単ではないものの、少しでも多くの患者を救うために医療従事者たちはベストを尽くすとBaiさんは語りました。
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