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新型コロナウイルスで戦場と化した病院の実情を医師が訴えるムービーが公開中


新型コロナウイルス感染症による死者が1万人を超えたアメリカでも、ニューヨークは感染者が最大だといわれています。「東京は数週間前のニューヨークだ」と表現されていますが、2020年3月26日時点で圧迫されていたニューヨークの医療について、現場で働く医師が「多くのリーダーが『大丈夫だ』と言いましたが、私たちから見れば、何も大丈夫ではありません」と危機的状況を訴えています。

‘People Are Dying’: Battling Coronavirus Inside a N.Y.C. Hospital | NYT News - YouTube


病院内を歩く医師が「ここにいる患者は全てCOVID-19です」と語り出します。


「私たちのフラストレーションは、『足りなすぎる』『遅すぎる』と感じていることです。私たちみんな……『やって来ていた』ことを知っていました」と語るのは救急救命室の医師であるコリーン・スミス氏。


慌ただしい病院内の様子が映し出されます。スミス医師はニューヨーク市のERの内情について伝えてくれたわずかな医師の1人とのこと。


「今日1日でどんどん事態が悪化しています」


「私たちは死にゆく患者のために、遺体を保存するために冷凍トラックを用意しなければなりませんでした」


「そして、何とかして追加の人工呼吸器やCPAPを手に入れようと駆け回っています。CPAPがあればその分必要な人に人工呼吸器を回せますから」


スミス医師のいるエルムハースト病院は数時間後、他の病院から人工呼吸器を送ってもらえましたが、その数はわずか5台。1週間以内には再び供給があるとのことですが、「5台だなんて」とスミス医師は絶望の声を上げます。


ムービーが公開されたのは2020年3月26日ですが、この時点でニューヨークの公立病院の代表は「エルムハースト病院で人工呼吸器が足りていない」という事実を否定していました。「エルムハースト病院への物資や人員の供給は続けていく」「私たちの優先順位第一位は病院のシステムを保つことだ」とニューヨーク・タイムズに語ったとのこと。


「私たちには5台の人工呼吸器があります。誰かが死なない限り、1~2日後には私たちは再び人工呼吸器を求めることになるでしょう。100台の人工呼吸器があるなんてウソです。私たちは見たことがありません」


ムービーが公開された3月26日時点で、物資不足が間もなく大きな問題となると叫ばれていましたが、このとき既にエルムハースト病院では最前線で働く医師が物資不足を訴えていました。


「多くのリーダーが『大丈夫だ』と言いましたが、私たちから見れば、何も大丈夫ではありません。必要としている支援はありません。患者を診るために必要としている物資さえも。これは世界で最も恵まれた国とされるアメリカで起こっています」


「私たちの病院は収容人数が多く、通常であれば、1日200人ほどが訪れます。しかし、今では1日400人です」「私たちがやったことはまず、せきや熱のある患者を注意深く隔離することで、全ての患者に対し細心の注意を払ってはいませんでした。しかし、その後、熱はなく胸部の痛みがある人をX線やCTで検査したところ、COVID-19陽性であることが示されました」


「自動車事故が起こって患者が運び込まれてきたときにCTスキャンを行っても、COVID-19であることが示されました」


「COVID-19陽性の可能性がある患者を、そうとは気づかずに診ているのです」「多くの看護師や医師が体調を崩しています」


「このような状況で、不安はとても大きいです」


「医師は、検査を受けたくても、たとえ症状があっても、受けるのが難しい状況です」


「何度もウイルスにさらされ、本来であればすべき装備もありません」


「私はN95マスクを朝に装着します。本来であればN95マスクは一人の患者を診るごとに変えるべきなのですが、1つのマスクを1日中つけています。私が今日つけていたN95マスクは、金曜日につけたのと同じものです。誰もが常に、N95マスクが足らなくなることにおびえています」


病院はこの状況に迅速に対応していっているとのことで、病院の外には軽症状患者の為のテントが建てられていますが、それでも医療への圧迫は止まりません。


「私が怖いのは、患者の病状が悪化することです。多くの若い人が病気になっています。喫煙をしない、健康で、病歴がない人々です。彼らは30代から50代の、病気になることなんて考えないような、普通の人々でした」


アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)は多くの物資を供給することを約束していますが、スミス医師は「ERでは実現しないような約束が多い」と述べています。


「多くの人が『大丈夫だ』『状況はよくなる』と語っていますが、この状況が1カ月、2カ月、3カ月と続けば……。私たちは既に摩耗しています。必要なものを得られていません」


「取材に応じることで私が問題に巻き込まれたとしても構いません。ただ、これが悪い状況であり、人々が死んでおり、緊急救命室や病院には必要なものがないということを知って欲しいと思います」

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in 動画, Posted by darkhorse_log

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