Yahooの検索結果が身内びいきなのか検証した結果は?
検索サービスの草分け的存在であるYahooをはじめとしたVerizon Media傘下の検索サービスの検索結果に、自社や関係企業のコンテンツをより頻繁に取り上げるような偏りが生じていると指摘されています。
Yahoo!, AOL, OneSearch results biased in favor of parent company Verizon Media’s websites | Ctrl blog
https://www.ctrl.blog/entry/verizon-media-search.html
アメリカの大手電気通信事業者ベライゾン・コミュニケーションズは、2017年にYahooを買収し、かねてから子会社Verizon Mediaの傘下に収めていたポータルサイトAOLと統合しました。Verizon Mediaはさらに、2020年1月からOneSearchという検索サービスを開始しており、これによりVerizon Mediaが保有する検索サービスは合計で3つになります。
OneSearchのトップページでは、フィルタリングや偏りがない純粋な検索結果が得られることが強調されています。
IT系ニュースサイトCtrl blogのダニエル・アレクサンダーセン氏はこれらの検索サービスについて「Verizon Mediaは複数の検索サービスを所有する一方で、Engadget・TechCrunch・HuffPostなどの有名なサイトも複数運営しており、これらの間には大きな利害関係が存在します」と指摘。実際に、Yahooなどの検索サービスがVerizon Mediaの運営するサイトに有利な検索結果を表示するのかどうかを検証することにしました。
アレクサンダーセン氏の検証方法とは、Verizon Media傘下の検索サービスYahoo・AOL・OneSearchがいずれもMicrosoftの検索エンジンBingを使用していることに着目したもの。アレクサンダーセン氏はこれらの3つの「Verizon系検索サービス」と、同じくBingを使用している検索サービスMicrosoft Bing・Findx・Liloの「Bing系検索サービス」で同じ検索ワードを検索し、Engadget・TechCrunch・HuffPostなどVerizon Mediaが運営するサイトが何番目に表示されるかを記録しました。
その結果が以下。グラフは左からVerizon系検索サービス・Bing系検索サービス・参考としてGoogleの検索エンジンを採用しているStartpageで、Verizon Mediaが運営するサイトが何番目に表示されたかを表しており、縦軸の上の方ほど検索結果の上位に表示されていることを意味しています。
検証結果を数字で表すと、Verizon系検索サービスでVerizon Mediaが運営するサイトが表示される順位は平均で2.8位、中央値は1位だったのに対しBing系検索サービスでは平均で9.4位、中央値は4位だったとのこと。
検索エンジンが違うStartpageはともかく、同じ検索エンジンを使用しているはずのVerizon系検索サービスとBing系検索サービスとで検索結果が大きく違ったことについて、アレクサンダーセン氏は「今回の検証結果で際立っていたのは、Verizon Mediaが所有する検索サービスの検索結果では一貫して、Verizon Mediaが運営するサイトが上位に表示されていたことです」と述べました。
また、アレクサンダーセン氏は「Verizon Mediaが所有する検索エンジンのシェアは、2019年2月の4.1%から2020年2月には3.63%に低下しています。私は検索サービス市場で競争が行われるべきだと考えていますが、特定の企業のコンテンツを他よりも優先するようなやり方は、検索サービスのユーザーが探し求めているものではありません」と述べて、いかにシェア奪還のためとはいえ、検索結果を操作することは健全なやり方ではないと非難しました。
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