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効率よく学習するための20のルール


何かを学び、身につけることは時間がかかるものです。限られた時間の中で、効率よく多くのことを学ぶにはどうすべきかを、ポーランドの研究者で間隔を空けた反復学習法、SuperMemoの発案者であるピョートル・ウォズニアック氏が解説しています。

Effective learning: Twenty rules of formulating knowledge
https://www.supermemo.com/en/archives1990-2015/articles/20rules

◆01:分かりにくい教材で勉強しない
学習用の教材はよくできているように見えて、実際は分かりづらい内容になっているものが多くあります。「いつか役に立つだろう」と無理して自分に合わない教材で勉強するのではなく、自分の身の丈にあった教材を探す必要があります。

◆02:暗記する前に学ぶ
説明や解説をそのまま暗記するのではなく、知識の全体像を把握する必要があります。例えばエンジンについて学ぶ場合、エンジンを動かす部品の名称を1から暗記するのではなく、エンジンの原理を理解してから、各部品の役割と名称を学んでいくべきです。知識の全体像は、細部まで完全である必要はありません。逆に、全体像はシンプルな方が良く、単純なモデルの方が理解しやすいと言えます。詳しい知識は後からいつでも身につけることができます。

◆03:基本を踏まえる
基本は何よりも重要で、自明なことであっても、基本を暗記することは時間の無駄ではありません。基本的なことを忘れて学習を進めてしまうと、重要なことを理解できなくなり、再び基本をやり直すことで二度手間になる可能性があります。

◆04:知識を最小限にする
学ぼうとしている知識をシンプルで簡単なものに分割することは効果的です。例えば、死海の特徴を学ぶのであれば、「イスラエルとヨルダンの国境にある塩湖で、海岸線は地球の表面で最も低い地点にある。海抜は約ー430mで全長は約70km。海の7倍の塩分濃度で、人を浮かせることができる。細菌など一部の生物だけが死海の中で生きることができる」というように1文にまとめて覚えるのは効率的ではありません。

1文ではなく、以下のように項目ごとに分けて学ぶと効果的です。

・死海の場所:イスラエルとヨルダンの国境
・地表で最も低い地点:死海の海岸線
・死海の海抜:約-430m
・死海の全長:70km
・死海の塩分濃度:海の7倍にあたる約30%
・死海はなぜ人を浮かせることができるのか:塩分が多いため。
・死海という名前の理由:ほとんどの生物が死海の中では生きられないから。

05:穴埋め問題
穴埋め問題は、4で説明した知識の分割が難しい場合に効果的です。重要語句などを伏せて、解説から単語を連想することを反復することで早く知識を身につけることができます。例えば、AppleとIBMの合弁会社であるKaleidaの歴史を学ぶとき、「Kaleidaは、1991年にAppleとIBMから4000万ドルもの資金を調達した。Kaleidaの使命は、マルチメディアのプログラミング言語を開発することで、3年かかってScriptXと呼ばれるスクリプト言語を開発した。Kaleidaは1995年に閉鎖された」という長文では記憶が難しくなります。

以下のように穴埋め問題を作って何度も学習することで知識を身につけることが効果的です。

Q:Kaleidaは1991年に○○(会社)から4000万ドルの資金提供を受けた。
A:AppleとIBM

Q:Kaleidaの使命は○○を作成すること。
A:マルチメディアのプログラミング言語

Q:最終的に、Kaleidaは○○というスクリプト言語をを立ち上げた。
A:ScriptX

Q:ScriptXの作成には○○(時間)かかった。
A:3年

Q:Kaleidaは○○(年)に閉鎖された。
A:1995

◆07:絵や図を使用する
文章だけで覚えようとするのではなく、絵や図を用いることで解釈しやすくするのが効果的です。人間の言語処理能力は視覚処理能力に比べて非常に劣っており、文章よりも、1枚の絵の方が記録されている情報量は多いと言えます。例えば、「ケニア、ザンビア、モザンビークの間にある国は?」と文章で質問されるより、以下の地図を見せて「白く塗られている国は?」と聞かれた方が分かりやすくなります。


◆08:図形の穴埋め問題
文章の穴埋め問題と同じく、図や絵を合わせて穴埋め問題を作るのも効果的です。

◆09:セットにして覚えない
「EUに加盟している国は?」という問題の答えを覚えるために、加盟国を全て暗記するのは効率的ではありません。5つ以上の要素を含むものをセットで記憶するのは非効率的と言えます。何らかのカテゴリに分けて、要素を5つ以下にすると効果的です。例えば、EU加盟国の場合は加盟した年度に分けるなどして覚えることが勧められています。

Q:1973年に加盟した国は?
A:デンマーク・アイルランド

Q:1995年に加盟した国は?
A:オーストリア・フィンランド・スウェーデン

◆10:列挙を避ける
覚えにくい古典的な例として、列挙があります。可能な限り列挙は避けて、5の穴埋めなどで覚えるべきです。例えば、アルファベットの順番を覚えるのに「A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z」と列挙して覚えるのではなく、以下のように穴埋め問題などにして覚えるのが効果的です。

Q:A○○○E……
A:BCD


◆11:似た単語をまとめて覚えない
似たようなものを学ぶことは混乱を招きやすいです。例えば「historic」という単語と「historical」という英単語の意味を区別した上で覚えるのは難しいかもしれません。英語だけでなく、薬の最適な投与量や、数字の羅列の記憶することも難しいことです。4で説明したように、知識を最小限に分割して覚える方法が効果的です。

◆12:記憶の最適化
何かを暗記するとき、一言一句を正確に覚えるのではなく、重要な単語やポイントをピックアップして覚えるほうが効果的です。どの情報が重要であるかどうかを判断し、重要であるもののみ記憶する必要があります。重複した内容や無駄な情報は学習プロセスを遅らせるだけです。

◆13:他の知識を参照する
1つの知識を身につけるだけでなく、多くの知識を身につけておくことで、記憶の引き出しを増やすことができます。例えば4で挙げた死海について、死海のことだけを覚えるのではなく、死海が位置するイスラエルとヨルダンの地理についてを学んでおくことで、知識が関連付けされ記憶が強固なものになり、引き出しを増やすことができます。

◆14:何かに例える
記憶力を高める最も効果的な方法の1つは、身近なものとのつながりを作ることです。例えば、偉人の顔を身近な人に例えて覚えたり、語呂合わせをするなど、効果的な方法がたくさんあります。

◆15:情動状態に依存する
何かを説明するとき、衝撃的な例で説明できれば、知識と記憶をより強く結びつけることができます。特に、感情との結びつけは記憶を呼び起こしやすいとされていますが、感情によって記憶を引き出すのは本人の状態に依存してしまうため、あまり有効な手段ではありません。


◆16:表現の簡略化
4で説明したように知識は分割することが推奨されていますが、知識の解説も簡略化することで、多くの入力と多くの読み物を省くことができます。覚える内容を少なく的確にすることで、学習スピードを上げることにもつながります。

◆17:冗長性をもたせる
冗長性とは、必要以上の情報や重複した情報などです。4では知識は最小限にすべきとしましたが、分割された知識や、それに関連する情報はたくさん身につけておくということが重要です。

◆18:情報源の記録
十分に検証され、証明された知識を除いて、知識を収集する際は情報源を記録しておくことを勧めます。情報源によっては、事実や数値が異なることもあります。ある情報源が、別の情報源とは全く異なる情報を公表していることも少なくありません。

◆19:日付をつける
さまざまな分野で研究が進んでおり、新しい発見によって、学んできた知識が間違いとなってしまうこともあります。いつ出版された教材で学んだかを管理しておくことが重要です。新しい発見があった場合、ほとんどの場合、古くなった知識を上書きしなければなりません。日付をつけておくことで、知識の検証に役立ちます。

◆20:優先順位を決める
知識というものは、人間が身につけられるよりはるかに多くの存在するものです。そのため、長期的に質の高い知識を身につけるには、優先順位付けが不可欠です。優先順位を付ける方法は、知識をどのように取り込みたいかに影響します。これは学習速度にも影響します。知識を自分の力にしたいのであれば、基礎を優先的に学ぶべきです。試験に合格したいだけなら、試験の出題範囲や重要語句を優先すべきです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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