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人間に不可能な超絶ゲームプレイを再現できるロボット「TASBot」がついにNintendo Switchをプレイ可能に


2010年からアメリカで半年ごとに開催されている「Awesome Games Done Quick(AGDQ)」は、「ゲームをいかに早くクリアするか」というスピードランのチャリティーイベントです。AGDQでは、TASBotと呼ばれるロボットがゲームを爆速でクリアしたりスーパープレイを見せたりするのが恒例の人気コーナーとなっています。そんなTASBotが、レトロゲーム機だけではなくNintendo Switchもプレイできるようになったと報じられています。

Inside TASBot’s semi-secret, probably legal effort to control the Nintendo Switch | Ars Technica
https://arstechnica.com/gaming/2020/01/inside-tasbots-semi-secret-probably-legal-effort-to-control-the-nintendo-switch/


ゲームのスピードランには大まかに分けて、実機を使ってプレイする「RTA」と、エミュレーターや外部ソフトを使ってプレイする「TAS」の2種類が存在します。TASは、ツールを使うことによって「理論的には可能だが現実的に再現することは不可能」な操作が可能となるため、通常の人間には無理な最速攻略やスーパープレイも行うことができます。

2014年に開発されたTASBotは、任意のコントローラーからの入力や事前に記録された入力マクロを、任意のコンソールインターフェースの入力信号にマッピングし、ゲーム機本体に直接送信することでゲームをプレイできるロボットです。つまり、TASBotを使うことで、TASならではのプレイを実機で再現することが可能になるというわけです。


TASBotはこれまで、Atari2600やNES(海外版ファミリーコンピュータ)、SNES(海外版スーパーファミコン)、NINTENDO64、ニンテンドーDS、ゲームキューブなど、さまざまなレトロゲーム機でプレイを見せてきました。

実際にスーパーファミコンでTASBotがスーパープレイやネタプレイを見せる様子は、以下の記事を見るとよくわかります。

スーファミで「スーパーマリオ64」を起動して爆速エンディングを遂げるTASBotのプレイムービー - GIGAZINE


そして、2020年1月5日から12日にかけて開催されたAwesome Games Done Quick 2020では、Nintendo Switch専用ソフトの「スーパーマリオメーカー 2」をプレイするため、TASBotはNintendo Switchをプレイできるようにバージョンアップされました。開発スタッフによれば、最初はマイコンボードのArduinoやLinuxベースで動く信号変換ソフトを使って制御する方法が考えられたそうですが、どうしても操作にラグが発生してしまうため、断念したとのこと。

Nintendo Switchのパッチ修正不可な脆弱性を使ってラグを解消する試みも考えられたそうですが、開発者のdwangoACことアラン・セシル氏は「Nintendo Switchそのものをハッキングして修正するのは私たちの精神に反するため、実行しませんでした」とコメントしています。

最終的にAGDQ 2020でデビューしたバージョンのTASBotは、USB接続されたコントローラーに入力信号を直接送信する仕組みになりました。これまでのTASBotに関するソフトウェアはオープンソースで開発されており、すべてGitHubで公開されましたが、AGDQ 2020でスーパーマリオメーカー 2をプレイしたTASBotは、初めてGitHubで公開されないバージョンとなりました。

I am loved. #AGDQ is fun. pic.twitter.com/RtaGukQmKH

— TASBot (@MrTASBot)


実際にTASBotがスーパーマリオメーカー 2でTASBotが難関コースをプレイする様子は以下のムービーで見ることができます。

Real TAS of SMM2 on Switch: TASBot plays Super Mario Maker 2 at AGDQ 2020 - YouTube


セシル氏はNintendo SwitchをプレイできるTASBotのソースコードを公開しなかった理由について、「RTAなのかTASなのかがわからなくなってしまうことで、スピードラン界隈に大きな影響を与えてしまう可能性があるからだ」と述べています。

スーパーマリオメーカーは2019年12月のバージョンアップで、世界中のライバルとタイムを競う「ハックンタイムアタックモード」が追加されました。このツールを公開してしまうと、荒しがTASBotのツールを使ってクリアタイムを大幅に更新してしまう可能性があり、一般のゲームユーザーの楽しみを壊してしまうどころか、任天堂からの法的措置も考えられるとセシル氏は懸念しています。実際にセシル氏ら開発スタッフは、AGDQ 2020でもTASBotによるNintendo Switchのプレイを実演するかどうかを直前まで迷ったそうです。

OK Boom Boom pulls ahead after a CRAZY from behind victory!

TASbot is pleased #AGDQ2020 pic.twitter.com/Z1kJreE4NN

— Games Done Quick (@GamesDoneQuick)


セシル氏によれば、今回のTASBotで利用しているのは任天堂が定める脆弱性には相当しないとのことですが、任天堂のゲーム機を「標準に準拠しない方法」で使っていると認めています。なお、TASBotがNintendo Switchをプレイできるようにするためのソフトウェアとハードウェアはこれまでのソースを流用しておらず、すべて1から手作業で作り上げたものだそうです。

セシル氏は「私たちは、チャリティイベントでアートと考えるものを見せ続けたいと思っていますし、新しいゲーム機向けに設計されたコンテンツでも、オープン性の適切なバランスを見つけることが重要だと思っています」と語りました。

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in ハードウェア,   映画,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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