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メーカーに無料で修理することを義務付ける「修理する権利」規則をEUが採択


欧州議会が2024年4月23日に、「修理する権利」を法的に規定する指令(Directive)を賛成584票、反対3票、棄権14票の賛成多数で採択したことを発表しました。この指令は、2年の猶予期間を経て加盟各国で法制化されます。

Right to repair: Making repair easier and more appealing to consumers | News | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20240419IPR20590/right-to-repair-making-repair-easier-and-more-appealing-to-consumers


‘Right to repair': Questions & Answers
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/es/qanda_23_1795

New rules to massively strengthen EU's right to repair successfully pass through European Parliament with 584 votes for, just 3 against | PC Gamer
https://www.pcgamer.com/hardware/new-rules-to-massively-strengthen-eus-right-to-repair-successfully-pass-through-european-parliament-with-584-votes-for-just-3-against/

以前から、EUでは製品に2年の保証期間を付けることが義務付けられていましたが、修理に高価な部品や専用ソフトウェアが必要で修理費が高くなることや、修理の不便さなどから、無償修理より無償交換の方が選択されやすい傾向がありました。また、交換のために返品された製品の中には、まだ使えるのにリサイクルされることなく破棄されるものが少なくありませんでした。

新ルールの制定後では、保証期間内に壊れた製品の修理費用が交換と同等以下の場合、販売者は消費者に不便をかけることなく、合理的な期間内に無償修理することが義務付けられます。


一方メーカーには、スペアパーツや工具を適正価格で提供することが義務付けられます。また、修理を妨げるような契約条項やハードウェアもしくはソフトウェア的な技術は禁止され、独立系修理業者による中古部品または3Dプリントされたスペアパーツの使用を妨げることもできなくなります。

さらに、メーカーは経済的な事情や、過去に外部の業者などの他者が修理したことのみを理由として修理を拒否することは認められなくなります。


対象製品は家庭用洗濯、乾燥機、食器洗い機、冷蔵庫、ディスプレイ、掃除機、携帯電話、コードレス電話、タブレットなど。

加えて、保証期間が経過してもEUで修理することが義務付けられている製品のメーカーは、技術的に不可能な場合を除き、購入から5~10年間は製品の修理を受け付けることが義務化されます。

このほか、新ルールでは消費者が適切な修理サービスを見つけられるようにするためのマッチングプラットフォームの導入が予定されているほか、より質の高い修理サービスを提供する事業者を認定するための「欧州修理基準」も策定される計画です。

修理業者には、修理費、修理期間、修理中の代替品などの主要な点が記載された修理情報フォームを消費者に提供することが義務付けられ、これにより消費者はさまざまな修理サービスを簡単に比較できるようになります。


この指令が正式に承認され、EU官報に掲載されると、加盟国はそれを国内法に反映させるまで24か月の猶予が与えられます。

欧州議会議員のRené Repasi氏は、「消費者が製品を修理する権利が現実のものとなります。高価な新品を購入する代わりに、修理することがより簡単かつ安価になります。これは、気候変動との戦いに臨む消費者に力を与えるという議会のコミットメントにとって、重要な成果です。この新しい法律により、修理を選択した場合の法的保証が12カ月延長され、スペアパーツへのアクセスが改善され、修理がより簡単、安価、迅速に行えるようになります」と述べました。

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in ハードウェア, Posted by log1l_ks

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