取材

熱気あふれる現場で熱量の詰め込まれた作品が生まれている「映像研には手を出すな!」試写会&会見レポート


2016年7月から月刊!スピリッツに連載されている漫画で、着実に人気を積み上げ、TVアニメ化&実写映画化が決定している「映像研には手を出すな!」。そのTVアニメの試写&発表会が開催され、湯浅政明監督と浅草みどり役・伊藤沙莉さん、金森さやか役・田村睦心さん、水崎ツバメ役・松岡美里さんが登壇しました。

TVアニメ『映像研には手を出すな!』公式サイト
http://eizouken-anime.com/

湯浅政明監督は、アニメーターとして「ちびまる子ちゃん」「クレヨンしんちゃん」などを手がけたのち、2004年の初映画監督作品「マインド・ゲーム」と2010年のTVアニメ「四畳半神話大系」で文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞。2017年公開のオリジナル長編映画「夜明け告げるルーのうた」で、宮崎駿監督の「紅の豚」、高畑勲監督の「平成狸合戦ぽんぽこ」に続く、日本人監督として3人目のアヌシー国際アニメーション映画祭長編部門クリスタル賞(グランプリ)受賞者となった、世界に羽ばたく監督です。

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第1話の試写後、湯浅監督、伊藤さん、田村さん、松岡さんが登壇。大画面での試写を一緒に見ていたということで、興奮冷めやらぬままの質疑応答となりました。

湯浅政明監督(以下、湯浅):
第1話を見ていただいて、期待値が上がっているみたいで緊張したんですが(笑)、さらに盛り上がっていく感じになると思いますのでぜひ期待していただきたいと思います。この局でもアニメを題材にしたドラマがありましたが、実際にアニメを作っていくのがどういう作業なのかはなかなかわからないもので、「大変だけれど楽しんだぞ」というところを楽しんでいただければいいなと思って作っています。本日はよろしくお願いします。


浅草みどり役・伊藤沙莉さん(以下、伊藤):
私は声優のお仕事はまだまだ経験がなく、この作品はファンの方が多くて緊張していましたが、毎週声を録るうちに、本を読んでもそうですが、すごく熱い気持ちになり、毎回「楽しい」と心から思いながらやらせていただいています。浅草、金森、水崎と、私たち作っている側の熱い気持ちが見ている人に届くといいなと思って頑張っています。


金森さやか役・田村睦心さん(以下、田村):
多くの方に集まっていただき、すごく期待されている作品だなと実感して緊張しています。私たちも大きい画面で見せていただきましたが、「本当に面白いな」と思いました。こんな作品に関われたことを嬉しく思いますし、その興奮冷めやらぬまま登壇させてもらって、いろいろお答えできるシチュエーションが嬉しいです。


水崎ツバメ役・松岡美里さん(以下、松岡):
私も見せていただきましたが、1本映画を見終わったような感覚で、これが毎話続くということに私自身も期待してしまうような作品で、みなさんにも期待していただいていて、この期待を背負ってこれからも頑張っていけたらと思っています。この作品、魅力も熱い気持ちも詰まっていますので、本日はそれをみなさんにお伝えできるように頑張ります。


Q:
5年ぶりにTVアニメを手がけるということで、意気込みを教えてください。また、アニメーション制作を題材にしている作品ということで、アニメだからこそ気をつけた点、そして湯浅監督といえばチャレンジングな制作をしている方なので、本作でチャレンジした点があれば教えてください。

湯浅:
原作に人気がある作品で、スタッフ・キャストも頑張っていて、かなり面白い作品になりそうなので、たくさんの方に見ていただけることを期待しています。

漫画で「アニメを作る」という話を、アニメで「アニメを作る」話にするのは難しいと思ったので、どうやるか、制作ではいろいろ苦労していますし、そこがまた、見所になっているのではないかと思います。空想のシーンだとか、これから出てくる彼女たちが実際に作るアニメーションがどういうものかは最後にならないとわからないので、そこも見所なのかなと。

原作より膨らんでいるように見えるかもしれませんが、漫画は行間がいっぱいあるので、そこにあるものを想定しつつ作っています。チャレンジングかはわかりませんが(笑)、いつも映像研と同じように「楽しみながらアニメを作りたい」と思っていますし、たいがいのことはできるだろうと思っています。今までの例にとらわれることなく、思いついたことはできるだろうと。それが、映像研の浅草たちが考えているイメージが実際に映像になるところとつながっていて、本作は「想像したものができていく」という醍醐味に溢れていると思います。


Q:
勢いがあり楽しく拝見しました。女子高生たちが好きなものに邁進する、のめり込んでいく姿が魅力的だと思いますが、お三方が打ち込んでいるものあれば教えてください。

伊藤:
私はずっと昔から、浅草みたいに想像で「最強の家」を……。家は大事だと思っていて、家が大好きで、小学校のころとか、モデルルームは入れてもらえないので外から見たり、建てているところに興味のない友達を連れていって、大工さんに「どんなのできるんですか?」と話を聞いたり。人の家に行くのも好きだし、見るのも好きです。インスタとかSNSで、家の構造とかをひたすら検索して、自分の頭の中で最強の家を作り出すというのを一生やっています。

田村:
すごいのが出てきましたね(笑)。私は全然すごくないですが、ちょっと前からぬか床をやっています。最近「腸活」も流行っていますし、健康に過ごしていきたいなと。生物は腸から始まっているそうで、腸を元気にしていれば人としても元気になり、お仕事もバリバリできるんではないかと思っています。最近はパプリカとかアボカドとか、トマトとかを漬けています。ぬか床って大根とかニンジンとかを漬けることが多いですが、そういうオシャレな野菜もおいしくいただけるということで、ハマっております。

松岡:
私は、このアフレコに夢中になっております。週1なんですが、私はこのアフレコ中心に生活していて、アフレコが終わったらいったん休憩を入れて、次の日からは次回のアフレコのことを考えています。「来週、どんな話だっけ?」と漫画を読んで「ここか、じゃあこういう感じで」と気持ちを作って、台本を読んで「練習するのに、映像見るか」と、このアフレコに向けて一週間の体調管理もしています。

田村:
初めてのレギュラーなんです、彼女。

松岡:
はい。初めてアニメに大きく関わらせていただいて、自分の中でも皆さんの中でも記憶に残るものになると思ったので、頑張らなきゃという気持ちでいっぱいです。もう、1週間これを軸に生きています。


Q:
伊藤さんに質問です。女優としてのお仕事と声だけのお芝居では、どういう違いや難しさがありましたか?

伊藤:
まずは「声だけで勝負する」というところで、大きく違いますね。目の前に映像が流れていて、それを見て声を入れているのですが、正解の表情があるのに、自分で表情を作っちゃっているときがあります(笑)。誰にも届かないものですが、その表情をすることで、声に気持ちが乗っかればいいなと思って続けています。基本的に、私はふだんのお芝居では、大きめの芝居をして引いていくような「引き算のお芝居」がやりやすいのですが、声のお仕事は「大げさなんじゃないかな」というぐらいでもちょうどよかったり、絵に乗っかることで雰囲気が変わったりします。かなり足し算だなと思います。今回は「ここは寅さんっぽく」「時代劇で」と、すごくわかりやすい演出で、やりやすく演じさせていただいています。普通のお芝居と、気持ちとかでは共通する部分がありますが、アプローチは根本から違うのかなと思います。自分から発信するというより、自分なりにキャラクターに命を吹き込んでいく感じで、楽しくキャラクター作りに携わらせていただいています。

Q:
すごく疾走感があり、スピードアップしていく感じがありました。演じていて大変だったところ、工夫したところはありますか?

伊藤:
やっていると「あっつ!」となって、空調をちょっと下げてもらうぐらいに熱気がすごかったです。映像研3人で演じているときは、とにかく、引っ張られます。その世界に、演じながら入っていく感覚があります。空気に一体感があり、声を入れていて、毎回楽しいです。熱くなるのがいいですね。セリフはとにかく専門用語が多いです。「タップ穴」とか「カタパルト」とか「射出スイッチ」……今、言えてないですが(笑)、スピード感の中で早口になり過ぎちゃったりして、塩梅が難しいです。でも、楽しいと思いながらやらせてもらっています。浅草は二面性があって、アニメのことではウワーッってテンションが上がるけれど、人前だと「ううん、ワシは……」というギャップが愛おしいので、そのかわいらしさが伝わるようにと思っています。

田村:
第1話は水崎との出会いのシーンだったりして、だんだんテンポ良くなっていっている。どんどん加速していくんですよね。作りたいものを熱を込めて作っていくのでもっと激しくなって、セリフの量が増えていっています。よね!監督!

湯浅:
(笑)

田村:
尺が決まっているので、その中にどれだけ情報量を、熱量を詰め込むかというのがあるので、一言にぎゅっと凝縮されていて、本当にスゴイです。かつ、アニメの専門用語だけではなく、作っているアニメーションの中の専門用語も出てきて。「カタパルト」とか「射出スイッチ」は、アニメ現場にあるものではないと思うんですが、でも、当然のもののようにしゃべらなければいけなくて、大変ですがやりがいはあります。金森としてはそういうシーンはあまりないですが、生徒会とやり合ったり外部の人と交渉したりと、プロデューサー的な役割があるので、めちゃくちゃ個性が強い人たちにも負けずにやり合えるよう、ちょっと毒強めな感じでしゃべらせていただいています。

松岡:
3人それぞれ別の角度からこだわりを持っているんですよね。浅草は設定画、金森はお金を生み出す行為、私というか水崎ちゃんはアニメーションにこだわりがあって。私も漫画を読んで研究したんですが、水崎ちゃんはアニメーションも好きですけど、それ以前に演技のことが好きなんだろうなと思いました。それは私も一緒なのでリンクしていて、こだわりを語る場面は結構ぱっと言葉を生み出すことができました。

水崎ちゃんも浅草みたいにいろんな面を持っていますよね、カリスマ読者モデルとか。私にはそういう面はないですが、「水崎ちゃんは、この面ではこういう演技をしているんだろうな」「ここは素なんだろうな」と、方向性を出しつつ、等身大を出せるように演じました。これからどんどんと映像も役者の熱量も上がっていくので、そこも楽しんでいただければと思います。

Q:
エンディングアニメーションは原作の大童澄瞳先生も担当しているということなので、制作に関するエピソードがあれば教えてください。あと、お三方が同じピアスかイヤリングをされているようなので、その点もお話をいただければと思います。

湯浅:
大童さんがTwitterで「エンディングとか描きたいな」と書いているのを見かけたので、ぜひやってもらおうとお話をしたら、スタジオの近くに泊まり込んで3日間通っていただくことになりました。それで、エンディングはできるだけ大童さんの描いた絵で構成するようにしました。

田村:
これは、先日3人で親睦会をしたときに松岡さんが買ってきてくださったんです。


伊藤:
ちゃんとキャラクターの色も考えてくれて、浅草は黄色。

田村:
金森は紫、水崎はピンクと。映像研でアニメを描くからって鉛筆のデザインのものを。消しゴムもついています。こうして会見があるから3人でおそろいのをしませんかと。

松岡:
奮発しました。


ライター・小林治さん
作品の舞台になっている学校の構造は複雑で、動かすのが大変だと思いますが、3Dで組んだりしているのでしょうか。また第1話で、イメージボードの中でいろいろ動いていて、まさに妄想を映像化してもらったようなものになっていますが。ラフっぽいからこそ難しいところなどあれば教えてください。

湯浅:
3Dで組んでいるわけではないですが、美術設定の方に頑張っていただきました。原作もこだわって描かれていて、さらに加えるように頑張っています。アニメーションはきっちり描くことが多いので、むしろラフに描くのが難しいところはあります。ディテールがなくて立体的に見せるのが難しく、撮影の方が苦労しているみたいです。絵としては見所なので、そのあたり、注目してみていただければと思います。


最後にせっかくだからと、おそろいのイヤリングを近くで見せてもらいました。



「映像研には手を出すな!」は、2020年1月5日(日)の24時10分からNHK総合テレビで放送開始です。

TVアニメ「映像研には手を出すな!」PV 第3弾【1/5(日)24:10~NHK総合テレビにて放送開始】 - YouTube


・つづき
「映像研には手を出すな!」原作者・大童澄瞳インタビュー、アニメは「主人公3人が違っても構わないつもりだった」 - GIGAZINE


◆「映像研には手を出すな!」作品情報
・スタッフ
原作:大童澄瞳
監督:湯浅政明
脚本:木戸雄一郎
音楽:オオルタイチ
キャラクターデザイン:浅野直之
美術監督:野村正信
色彩設計:中村絢郁
撮影監督:関谷能弘
編集:齋藤朱里
音響監督:木村絵理子
アニメーション制作:サイエンスSARU

・キャスト
浅草みどり:伊藤沙莉
金森さやか:田村睦心
水崎ツバメ:松岡美里
百目鬼:花守ゆみり
さかき・ソワンデ:小松未可子
藤本先生:井上和彦
ロボ研 小野:小野友樹
ロボ研 小林:小林裕介
ロボ研 後藤:綿貫竜之介
ロボ研 関:井澤詩織

©︎2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

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in 取材,   動画,   アニメ, Posted by logc_nt

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