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Amazon・Google・Microsoftといった大手クラウドは本当に高額を支払う価値があるのか?

By Pressmaster

Amazonはクラウドサービス企業として、2019年時点では最大のシェアを誇っています。しかし、ソフトウェアエンジニアであるカル・パターソン氏は「多くの人、特に大企業はAmazon Web Services(AWS)に大きな価値があることを確信しており、代替案を検討しようとすることはないでしょう。しかし個人的には、Amazonが提供する仮想マシンやオブジェクトストレージが優れた価値を提供しているとは思えません」と指摘しており、実際に各社の仮想マシンとオブジェクトストレージの比較を行っています。

The Amazon Premium
http://calpaterson.com/amazon-premium.html

パターソン氏が比較を行ったのは、Amazon・Google・Microsoft(Azure)・DigitalOcean・Linode・OVHの6社です。なお、比較はすべて西ヨーロッパで提供されるサービスの価格を基準としています。

◆仮想マシン
以下の表は、仮想マシンについて月あたりの費用を算出したもの。仮想マシンは各社によって提供されるサービスに差がありますが、x86をベースにRAM 8GB・100 GB of local disk・2 CPU coresという条件に近いサービスを比較しています。Amazonは月額約71ドル(約7700円)でその内11ドル(約1200円)はEBSの価格となっています。Googleは月額66ドル(約7200円)でそのうち4ドル(約430円)がディスクストレージ。同様に、Microsoft Azureは月額93ドル(約1万200円)のうち約6ドル(約650円)、DigitalOceanは月額48ドル(約5300円)のうち約7.5ドル(約820円)、OVHは月額27ドル(約3000円)のうち約2ユーロ(約240円)がディスクストレージの価格となっています。Linodeは約40ドル(約4300円)でした。


パターソン氏が比較に使用したサービスは以下のようになっています。
Amazon:「Amazon EC2 "on demand" pricing 」「Amazon EBS
Google:「Belgium region, monthly pricing」「Standard Storage
Azure:「Linux Virtual Machines Pricing 」「S10 managed disk
DigitalOcean:「Standard offer
Linode:「Standard offer
OVH:「Germany region Price」「"Classic" block storage

◆ファイルストレージ
以下の表はファイルストレージについて月あたりの1テラバイト数の金額と、1ギガバイトあたりの金額を算出したもの。1カ月あたりの1テラバイトの金額は、Amazon・Googleが約23ドル(約2500円)、Microsoft・DigitalOcean・Linodeが約20ドル(約2200円)、OVHが約11ドル(約1200円)となっています。


パターソン氏が比較に使用したサービスは以下の通りです。
Amazon:「S3 Standard, Ireland region
Google:「Standard storage, Frankfurt region
Azure:「LRS storage, West Europe region
DigitalOcean:「Standard offer
Linode:「Standard offer
OVH:「Storage replicated x3

上記の比較から、大手のプロバイダーであるAmazon・Google・Microsoft Azureはかなり高額である傾向にあります。一方で、LinodeとDigitalOceanは月額約40ドル(約4300円)で、2つではなく4つのcoreを提供し、HDDではなくSSDディスクが提供されています。大手のクラウドプロバイダーは、大口の顧客に対してより低い料金で交渉する傾向があることから、上記で比較を行った小規模な仮想マシンではAmazon・Google・Microsoft Azureの高額さが顕著になっています。


パターソン氏はMicrosoft Azureや、AWSを大きなプロジェクトにはあまり使用していないとのこと。また、パターソン氏がGoogle Cloud Platformを使っていた頃、問題が発生してカスタマーサポートを利用した際、対応するエージェントが頻繁に切り替わってたらい回しにされるなどサービスの質が低く感じられ「Googleのカスタマーサービスの低さに対する評判を反映していることが確認できました」と語っています。パターソン氏自身は、記事作成時点ではDigitalOceanを利用しており「DigitalOceanのサポートは受け入れられると思っています」と述べています。

「小規模なプロバイダは、例えばAWSほどのサービスを提供していないし、おそらく提供することはないでしょう。しかし、DigitalOceanとOVHは管理データベースに適したサービスを提供するように、それぞれ重要なサービスを多く提供しています。仮想マシンとオブジェクト・ストレージのみに限定して比較を行ったのは、これら2つのサービスが小規模な競合企業にとって最も容易にまねできることから、最も競争力があると考えたためです」とパターソン氏は語っています。

By vadymvdrobot

パターソン氏によると「Amazon、Google、Microsoftのクラウドサービスを利用している多くの人が、それぞれのサービスの複雑な料金体系を理解できず使いこなせていない」とのこと。多くの企業が基本的な対策を講じないまま、1年間の契約を結んだり、使用していない仮想マシンを停止したり、単に割引を求めたりしているとパターソン氏は述べています。

企業がプロプライエタリなクラウドサービスを採用し始めると、他社の仮想マシンやオブジェクトストレージよりもコストが高い、AmazonのLambdaAPI GatewayCloudwatchDynamoDBSQSといったサービスを使用する企業が増え、企業がAmazonに支払う金額はより割高になるだろうとパターソン氏は予想しています。

「クラウドサービスのメリットは、物理的なマシンを事前に購入してセットアップする必要がなくなることです。しかし、この基本的なメリット以上に、大手ITプロバイダーの価格設定は恐ろしく複雑であり、それが多くの隠れたコストにつながっているようです。価格体系が複雑になればなるほど、クラウドプロバイダーは買い手自身が考えもしなかった、ネットワーク出力帯域幅などのコストを見つける可能性が高くなります」とパターソン氏は語っています。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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