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世界初の「人間の死体を堆肥化する施設」が2021年にオープン予定


世界初の「堆肥葬」の実現を目指すワシントン州の非営利団体Recomposeと、アメリカの建築設計事務所Olson Kundig Architectsが、2021年に全く新しい堆肥葬用の施設をオープンさせると発表しました。

The World's First Human Composting Facility Will Open in 2021
https://www.sciencealert.com/the-world-s-first-human-composting-facility-will-turn-you-into-soil-in-2021

Olson Kundig unveils Recompose facility for composting human bodies
https://www.dezeen.com/2019/11/20/recompose-seattle-human-composting-olson-kundig/

日本ではほぼ全ての死者が火葬されるほか、アメリカでは火葬に加えて伝統的な土葬も行われています。しかし、土葬には広大な土地や多額の費用を要するという問題があるほか、火葬にも大量の燃料を消費したり、遺体に含まれる汚染物質で環境や人体に影響を与えたりするという問題が指摘されています。

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そこで、土葬や火葬の問題を解決しつつ、安価かつ環境に優しい葬送方法としてRecomposeが提案しているのが「堆肥葬」です。Recomposeの働きかけにより、ワシントン州は2019年5月に「遺体を『有機還元』と『加水分解』というプロセスで処理することを認める」法案を可決。2020年5月の施行をもって、ワシントン州で堆肥葬が合法化されました。

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堆肥葬では、遺体は棺おけではなく再利用可能なモジュール式の容器に収容されます。


容器の中は木材チップで満たされており、遺体はおよそ30日間かけて微生物により分解され、堆肥に変わります。歯や骨なども含めて個人の肉体は全て土になりますが、ペースメーカーや金属製のインプラントなど、無機物や微生物が分解できない有機物は処理過程で取り除かれます。また、有害な微生物などの病原体も分解されるので、病死した人も堆肥葬にすることが可能ですが、エボラ出血熱のように非常に感染性の高い病気で亡くなった人や、原因物質が微生物で分解できると立証されていないクロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオン病で死亡した人は対象から除外されるとのことです。

Recomposeによると、1人を堆肥葬にすることで得られる堆肥はおよそ1立方ヤード(0.76立方メートル)です。「遺体を肥料にする」という発想自体は、かねてから樹木葬という形で行われてきましたが、埋葬した遺体のそばに木を植える樹木葬とは異なり、堆肥葬では遺体は肥料になるので、遺族が持ち帰ったり、緑化団体に寄付したりすることができます。


費用は1人あたり5500ドル(約60万円)と見積もられており、ワシントンでの標準的な樹木葬にかかる費用の6000ドル(約65万円)、火葬の1000~7000ドル(約11万円~76万円)、埋葬の8000ドル(約87万円)に比べて低コストに抑えられています。また、全過程に必要なエネルギーは火葬の8分の1で、土葬と違って遺体による土壌や地下水の汚染もないので、従来の葬送方法に比べて環境への負荷も最小限度になります。

最初の堆肥葬施設であるRecompose Seattleは、シアトル近郊のSODO(South of Downtown)地区に建設され、2021年春にオープンする予定です。施設ではワシントン州以外からの遺体の受け入れも行うとしており、搬入さえ可能であればアメリカ国外からの遺体も収容できるとのことです。

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