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発ガン性物質「アスベスト」が簡単に使われるようになるかもしれないとアメリカで非難の嵐

by Yury Kim

肺ガンなどの病気と関連すると考えられるアスベストは世界中の多くの国で使用が禁じられています。そんななか、アメリカでは新たに企業のアスベスト輸入や使用、加工を容易にする新しいルールが作られたとして注目を浴びています。

Under Trump’s EPA, asbestos might be making a comeback
https://www.fastcompany.com/90208948/under-trumps-epa-asbestos-might-be-making-a-comeback

EPA is now allowing asbestos back into manufacturing - Archpaper.com
https://archpaper.com/2018/08/epa-asbestos-manufacturing/


アスベストは繊維状になった蛇紋石角閃石のことで、耐熱性・絶縁性・保温性に優れていることから、かつては資材として広く使われていました。しかし、粉末の吸入が長期にわたると後に肺ガンや悪性中皮腫を発生させる危険性があることから、2018年現在は世界55カ国以上で使用が全面的に禁じられています。

アメリカでは1973年の大気浄化法改正や1989年のアスベストの禁止および段階的廃止の連邦官報などで、アスベストの使用を規制してきましたが、完全には禁じられていません。これは、一時は「奇跡の素材」としてもてはやされたアスベストを使いたがる企業の取り組みによるものとみられていますが、2018年4月に発表されたデータでは、アメリカではアスベストに関連した死者は年間4万人に上るとも発表されています。

しかし、トランプ政権下のアメリカ合衆国環境保護庁(EPA)は、2018年6月1日に化学物質の製造・輸入・使用の制限や禁止を定めるSignificant New Use Rule(SNUR)で「ケースバイケースでアスベストを含む製品の製造を認める」という新ルールを発表。またEPAは潜在的に有害とされる化学物質のリスク評価の方法を変更しており、新しい方法の中では「空中・地中・水中における化学物質の存在やその影響については考慮しない」と説明しています。専門家はこのようなEPAの姿勢について「人々の健康に対する保護を劇的に弱めるもの」だとして批判しています。

アスベストは消費者に直接的に害をなすというよりは、アスベストを採掘する作業員や資材としてのアスベストを扱う業者、輸入時に工場でアスベストを扱う従業員に危険が及ぶものと考えられています。また、建築中の建物の近隣住民や、資材が最終的に向かうゴミ捨て場の周囲でも、人々はアスベストの粉末にさらされることとなります。

by MichaelGaida

EPAがアスベストの規制を緩和したことで、人々の健康を守る役目は地方や州政府、企業に移ったといえます。また、建築家が人々の健康に基準を置いて仕事を行うことで、メーカーの生産物に影響を与えることができるかもしれない、ともみられています。

一方でEPAは「報道が不正確である」として反論。「EPAの行動は、新しいアスベストの使用について、『EPAの許可がなければ企業が行う製造・輸入・加工を禁ずる』と述べたものです」として、新ルールがあくまで「アスベストを規制する」という目的であることを主張しています

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