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「人間の遺体を堆肥にして葬る」という堆肥葬を認める法律がアメリカで初めて承認される

by Joke vander Leij

2019年5月21日、法案5001号がアメリカ・ワシントン州知事の署名を受けて成立しました。この法案は埋葬や火葬の他に「遺体を『有機還元』と『加水分解』というプロセスでも処理することを認める」というもので、2020年5月1日からアメリカのワシントン州では「堆肥葬」が合法化されることとなります。

Washington State Legislature SB 5001 - 2019-20


Washington may become first state to legalize human composting | The Seattle Times
https://www.seattletimes.com/seattle-news/washington-on-the-cusp-of-becoming-first-state-to-legalize-human-composting/


Washington state lawmakers just approved human corpse composting — Quartz
https://qz.com/1625446/washington-state-lawmakers-just-approved-human-corpse-composting/


アメリカでポピュラーな葬送方式は、埋葬か火葬です。埋葬はエンバーミング処理を施した遺体を棺に入れて墓に納めるもので、火葬は遺体を焼いた後に残る骨だけを墓に納めるもの。キリスト教文化圏では基本的に埋葬が採用されることが多いのですが、埋葬はコストがかかる上に、遺体のエンバーミング処理による土壌汚染が問題化していることもあり、近年は火葬が増えているそうです。実際、アメリカの火葬協会によると、2018年ではアメリカ全体で53.1%と、過半数のアメリカ人が伝統的な火葬を選択しているとのこと。

by JamesDeMers

しかし、火葬は斎場などの施設が必要で、密集する都市空間においては火葬場の確保が切実な問題となっています。そこで近年、「遺体を堆肥にして自然に返す」「棺の代わりにきのこの胞子を縫い込んだスーツを着せて分解する」「生分解性の凍結乾燥」など、新しい葬送方式が考案されています。例えば、2019年3月に脳卒中でこの世を去った俳優のルーク・ペリーは「きのこスーツ」で埋葬されたと、ペリーの娘がInstagramで明かしました。

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????In December I went to San Francisco with two of my best friends. One of them, had never never been to California, so we went to show him the Redwoods. I took this picture while we were there, because i thought, “damn, those mushrooms are beautiful.” Now, mushrooms hold an entirely new meaning for me. Any explanation i give will not do justice to the genius that is the mushroom burial suit, but it is essentially an eco friendly burial option via mushrooms. All i can say is that you should all look into them at coeio.com or just by googling “mushroom burial suit” . My dad discovered it, and was more excited by this than I have ever seen him. He was buried in this suit, one of his final wishes. They are truly a beautiful thing for this beautiful planet, and I want to share it with all of you.

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シアトルで「Urban Death Project」という非営利団体を立ち上げたKatrina Spade氏は、アメリカで最初の「人体用コンポスター」の設置を考えている人物です。Spade氏の考案する「堆肥葬」とは、再利用可能な六角形型のコンポスターの中で遺体を堆肥化するというもの。堆肥となって完全に土と一体になったら、遺族は土の一部を家に持ち帰って、敷地内の庭に埋めることができます。しかし、人の遺体を扱う以上、こうした新しいアイデアをサービスとして提供するためには法的な問題をクリアしなければなりません。


Spade氏はワシントン州とノースカロライナ州の科学者と共同で「人体が土壌でどのように分解されるか」の研究を行い、「人間が分解して得られた堆肥は州や国の安全基準を満たしている」という結論を得ました。そして、Spade氏は科学者・弁護士などの専門家からなる諮問委員会を組織し、2016年頃から政治家に「堆肥葬の合法化」を訴えかけていたそうです。

2018年12月、ついに遺体の堆肥化とアルカリ加水分解を認める法案が提出され、1月から審議が開始されました。その後、ワシントン州議会の下院で賛成80票・反対16票、上院では賛成36票・反対11票で可決通過となり、2019年5月21日にワシントン州知事による署名を受けて、正式に法律として成立。施行されるのは2020年5月1日からとのことです。

ワシントン州在住の元看護師であるWes McMahan氏はThe Seattle Timesの取材に対して、「私は人体の堆肥化に強く賛成します。自分の体を使い終わったら、ホルムアルデヒドなどの防腐剤で毒したいですか?私は、長い間体の中で働いてきたバクテリアたちになすがままにさせる機会を与えたいと思っていますし、可能な限り自然に従って物事が進むべきだと信じています」と答えました。

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in Posted by log1i_yk

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