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「遺体は道路の横に埋めるべき」と公衆衛生専門家が提唱

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日本では、人が亡くなった時はほとんどの遺体が火葬されますが、イギリスやアメリカでは土葬もいまだに広く行われています。そんな土葬には問題点があるため、イギリスの公衆衛生に関する専門家のジョン・アシュトン氏は「道路の横に遺体の埋葬地を設けるべき」だと主張しています。

Necropolis in crisis: housing the living is one thing, there is also a problem in housing the dead - John Ashton, 2019
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0141076819860091

Bury bodies along UK's motorways to ease burial crisis, expert suggests | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2019/jul/05/bury-bodies-along-uks-motorway-to-ease-burial-crisis-expert-suggests

UK roadsides could become burial grounds as graveyards are filling up | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2208851-uk-roadsides-could-become-burial-grounds-as-graveyards-are-filling-up/

ジョン・アシュトン氏は1986年から1988年にかけて世界保健機関(WHO)の都市健康化プロジェクトを主導し、イギリス公衆衛生協会の1つFaculty of Public Health(FPH)の会長を2013年から2016年にかけて務めた人物です。今回のアシュトン氏の主張とは、イギリス王立医学協会誌に掲載された「死者の都の危機:生者に住宅問題あらば死者にも住宅問題あり(Necropolis in crisis: housing the living is one thing, there is also a problem in housing the dead)」と題された論文で、そのメインテーマは「遺体の埋葬地問題」です。

遺体が土葬された場合、肉体を納める棺(ひつぎ)分のスペースが土中に必要となりますが、アシュトン氏によると遺体を埋葬するための地中のスペースをイギリスは5年以内に使い果たす見込みで、土葬の大きな問題になっているそうです。加えて、土葬には埋葬前に遺体に施される防腐剤と棺の残留物質が土壌を汚染するという問題や、土中の遺体がコレラなどの伝染病の原因になるという問題もあります。

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また、アシュトン氏によると、「火葬は解決策としては優れていない」とのことです。火葬にはかなりの量の燃料が必要であることや、骨壺にスペースが必要であること、さらに燃焼の際に空気を汚染してしまうことがその理由になります。さらに、宗教や文化によっては火葬は禁じられているため、「イギリスでは7割の遺体が火葬されていますが、火葬率はこれ以上増加しないでしょう」というのがアシュトン氏の予測です。

そんなアシュトン氏が提案するのが、遺体からペースメーカーなどの非分解性物を取り除いて分解性の棺などに入れて埋葬するという手法。アシュトン氏はさらに、その方式で土葬を行った後に地上に花や木を植えれば環境にも良いと主張し、高速道路や幹線道路、鉄道の脇に「埋葬路」を設けるだけでなく、汚染された土地も埋葬地として活用するべきだと語っています。アシュトン氏は「イングランドとウェールズでは年間50万人から60万人もの人が亡くなりますが、その人々を埋葬する時に上に木を植えるならば年間50万本の植林につながります。これは環境・食糧・農村地域省が主導する2年間で13万本の植林を上回る本数です」とガーディアンに述べています。

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アシュトン氏は世界人口の増加と都市化が進むため、環境に優しい土葬法が次第に受け入れられるようになるという予想する一方で、「死んだ後に植物の肥料になるのは個人的には嫌です」という正直な気持ちも語っており、埋葬にまつわる問題には個人の価値・宗教観も深く関わってくることを暗に認めています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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