「ペットの遺体を裏庭に埋めてはいけない」のには理由がある
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犬・猫・ハムスターなど、愛するペットが死んでしまったときに、その埋葬方法として「家の庭に埋める」という方法を取る人も多いはず。しかし、この方法は別のペットや、周囲の動物に害を与えてしまう危険性があると専門家が指摘しています。
Why you shouldn’t bury your pet in the backyard
https://theconversation.com/why-you-shouldnt-bury-your-pet-in-the-backyard-113375
ペットを安らかにいかせる際、多くの場合はペントバルビタールといった、高濃度の麻酔薬が使われます。しかしオーストラリア・クイーンズランド大学のRachel Allavena准教授によると、このペントバルビタールは最大1年にわたって埋められたペットの体に残り続け、周囲の生き物に害を与える可能性があるとのこと。
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実際にAllavena准教授は、死後のペットの体に残った麻酔薬が害を与える事例を見たことがあり、一家のペットだったネズミを死後に庭に埋めたところ、飼い犬が庭を堀って遺体を見つけ、食べてしまったケースも報告されています。その後、飼い犬は昏睡状態になり、1週間にわたって集中治療室で過ごすことになりました。また、2匹の牧場犬が1カ月前に安楽死した牛の骨を掘り当てた結果、1匹は死亡し、もう1匹は数日間体調を崩したという報告もあります。
また、ペットが動物や人間に感染しうる病気で死亡した場合にも「地面に埋める」という選択肢はリスクのあるものとなります。このリスクを下げるためにも、ワクチン接種によってペットのコミュニティにおいて病気が蔓延しないようにすることが大切です。
一方、ペットが死んだ時にどのような埋葬方法がよいのかというと、まず推奨されているのは火葬や墓地による埋葬。企業が提供するペットの埋葬サービスはさまざまな種類があり、値段や要望に合わせた埋葬方法を選ぶことができます。専門家による埋葬は上記のようなリスクを回避するために最適な方法といえます。
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さらに、獣医病理学者であるAllavena准教授は「科学研究のために遺体を寄付する」という方法についても説明。人間と同じく、犬にとっても癌は大きな死因の1つです。犬は人間よりも成長が速く、またがんの進行も速いとのこと。このため、より早く研究結果を得ることができる犬の研究が人間のがん研究に役立つそうです。
また人間の子どもの発達障害や珍しい遺伝子疾患の研究にも犬の研究は役立ちます。犬は品種改良が頻繁に行われた結果、意図せずに変則的な遺伝子が作りあげられることがあり、この遺伝子が非常にまれな小児疾患の遺伝子に近いことがあるそうです。病気の背後にある遺伝子変異を特定するためにも、犬を対象とした研究は重要になります。
寄贈のためには、まず獣医学科がある地元の大学に電話するか、ウェブサイトを通じて連絡をとります。多くの場合、大学はさまざまな動物の「教育」に関心があるため、ペットの寄贈は学生たちの学びに大いに役立つはずとのこと。遺体の検死が行われることもありますが、その診断結果は飼い主に対しては開示されないとのこと。愛するペットが亡くなった場合、周囲に与えるリスクを回避し、またその後の何百というペットの命を助けるためにも「寄贈」という選択肢は価値のあるものだとAllavena准教授は説いています。
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