反ワクチン接種のプロパガンダ活動を行っていた男をサモア当局が逮捕

By choreograph

麻疹(はしか)の流行を食い止めるために全国民のワクチン接種を義務づけたサモアで、「反ワクチン摂取のプロパガンダ活動」を行っていた男が逮捕されたことが報じられています。

Samoa Observer | Charged anti-vaccine activist facing up to two years
https://www.samoaobserver.ws/category/samoa/54398

Leading anti-vaxxer jailed as measles death toll rises to 63 in Samoa | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/12/leading-anti-vaxxer-jailed-as-measles-death-toll-rises-to-63-in-samoa/

サモア最大の報道機関であるサモア・オブザーバーは、サモア当局が「政府のワクチン接種命令に反する扇動を行った罪」でEdwin Tamasese容疑者を12月5日に逮捕したと発表しました。

Tamaseseはサモアで最も有名な国際的な知名度を持つ反ワクチン主義者で、予防接種の安全性に否定的で、「ビタミンAやビタミンC、コロイド状の銀粉、木炭がワクチンの代わりになる」と主張していました。Tamasese容疑者はサモアで麻疹の流行に際して、「すでに70人を治療した」とオーストラリア放送協会に対して答えていたこともわかっています。


サモア当局は麻疹の予防接種に対して緊急事態宣言を発令しており、他人に対して予防接種を反対したり、阻止したりすることは犯罪になるとされています。サモア警察は今回の逮捕について、「事前に書面で警告を与えたにも関わらず反ワクチンの主張を継続して行った」とコメントし、「再犯の可能性がある」として、保釈を認めない意向を示しました。サモア・オブザーバーは「有罪と認められれば禁錮2年の判決が下る可能性がある」と報じています。

麻疹は、ひとたび発症すれば医療が整った先進国であっても死亡する危険性がある上に、罹患者と同じ空間にいるだけで感染するという極めて感染力が強い病気です。麻疹ワクチンによる予防接種が広まって以降、麻疹による死亡率は世界で減少傾向にあったのですが、昨今、再び流行の兆しを見せており、2019年のヨーロッパにおける麻疹の感染率は前年比の倍。アフリカに至っては10倍近い増加を見せています。原因と考えられるのが、「予防接種により自閉症が引き起こされる」と信じワクチンを忌避する「反ワクチン主義」です。

「アメリカが麻疹(はしか)根絶国としての地位から転落するのは自分たちのせい」と感染症の専門家が悔やむ - GIGAZINE

by Gerd Altmann

サモアでも、2017年から2018年の間に麻疹ワクチン接種率が半分近くにまで減少しており、反ワクチン主義の影響があると考えられています。2019年10月半ばから発生したとされる問題の麻疹の流行は、12月5日時点で4357人の感染者と、63人もの死者を出したことがわかっています。死亡者のうち55人は0歳から4歳までの幼い子どもでした。

サモア政府は全国民に対して麻疹のワクチン接種を義務化し、「ワクチンをまだ摂取していない人がいる家庭は、赤い旗を立てて一目でわかるようにしてください」という勧告を出しました。

「ワクチンを接種していない人がいる家は赤い旗を立てるように」とサモア政府が勧告 - GIGAZINE

by Kevin Jarrett