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「アメリカが麻疹(はしか)根絶国としての地位から転落するのは自分たちのせい」と感染症の専門家が悔やむ

by Gerd Altmann

アメリカにおける麻疹(はしか)の再流行について、専門家らは「アメリカの恥そのもので、我々はとても悔しい思いです」と痛切な声を挙げています。

“We’re embarrassed”: US is close to losing measles-elimination status | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/08/were-embarrassed-us-health-experts-chagrined-by-measles-resurgence/

Measles: 'Reasonable chance' United States will lose elimination status - CNN
https://edition.cnn.com/2019/08/28/health/us-measles-elimination-status-in-jeopardy/index.html

アメリカでは、麻疹に対する有効なワクチンの普及と、医療関係者らのたゆまぬ努力が功を奏し、2000年には撲滅宣言がなされるほど麻疹の患者数が減少しました。しかし、近年に入り麻疹の感染は急速な拡大を見せており、2019年3月27日にはニューヨーク州のロックランドで公衆衛生上の非常事態宣言が発令されました。これに伴い、麻疹の予防接種を受けていない18歳以下の子どもによる公共の場への立ち入りが禁止されるなど、異例の措置がとられています。

麻疹(はしか)感染拡大のため予防接種を受けていない子どものパブリックスペース外出禁止令が出される - GIGAZINE


こうした事態を背景に、米疾病対策センター(CDC)の国立予防接種・呼吸器疾患センター所長であるナンシー・メッソニエ氏は「このまま麻疹の流行が沈静化しなければ、アメリカは2019年10月にも麻疹の根絶国としての地位を喪失することになります」と指摘。「安全で効果的なワクチンがあるにもかかわらず、麻疹を撲滅できていないという事実は、公衆衛生関係者の間に多大な喪失感と動揺をもたらしています」と話しました。

CDCで長年にわたりワクチン問題の顧問を務めてきたウィリアム・シャフナー氏も「根絶国としての地位喪失は、アメリカの恥そのものです」と訴えるとともに、迅速な防疫を果たせなかったことについて「恥ずかしくて、悔しいです」と率直な気持ちを述べています。


アメリカでは2019年1月1日~8月22日までの間に、30の州で合計1215件の発症例が報告されており、その大半が麻疹の予防接種を受けていない人の感染例だとCDCは述べています。シャフナー氏は「9月に入り多くの学校が新学期を迎えれば、事態はさらに悪化するでしょう」と述べて、9月30日までに麻疹の流行を食い止めて、アメリカが根絶国の地位を守ることは不可能だとの見方を示しました。

CDCが公表した以下の地図では、2019年に入ってから麻疹の発症例が報告された州が濃い青色で示されており、アメリカの多数の地域で麻疹が発生しているのが見てとれます。


麻疹が流行しているのはアメリカだけではありません。イギリスは2019年8月上旬の時点で既に麻疹根絶国の地位から転落しており、イギリス公衆衛生庁はTwitterで「我々が麻疹根絶国の地位を失ったことは、すべての人が適切にワクチン接種を受けることがいかに重要かを改めて突きつけています」との声明をツイートしました。

The @WHO has confirmed the UK has lost its ‘measles free’ status. Measles is one of the most infectious diseases known to man and lots of work is underway to combat the rise in cases. Our blog explains the current situation: https://t.co/99jBUnfJiz #ValueofVaccines @DHSCgovuk pic.twitter.com/7P1MANrle7

— Public Health England (@PHE_uk)


また、ヨーロッパ地域でも麻疹の感染例は120%近くの増加率を示しているほか、アフリカ地域に至っては900%、つまりほぼ10倍の伸び率を見せています。

麻疹が世界的に流行している背景にはさまざまな要因がありますが、そのうちの1つがワクチン忌避です。「麻疹のワクチンを含む新三種混合ワクチン(MMRワクチン)は自閉症とは無関係」だということが既に証明されていますが、誤解を解くには至っておらず、ワクチン忌避はWHOが定める「2019年の世界的な健康に対する脅威10選」のうちの1つに選ばれています。

by Fasci

WHOの広報担当者であるクリスチャン・リンドマイヤー氏は、2019年8月28日に発表した声明の中で「ワクチンに関する誤った情報は、伝染病そのものと同程度に伝染性で危険です。すべての人にワクチンがなければ、すべての人に健康はありません」と断言し、ワクチンについてのうそや臆測を拡散しないよう呼びかけています。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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