サイエンス

「触感」を伝えてくれるシート状デバイスが開発される


皮膚に貼り付けて「触感」を伝えるシート状のデバイスをノースウェスタン大学などの研究チームが発表しました。研究チームは、このデバイスは「いまだかつて経験したことのない没入感」を仮想現実(VR)拡張現実(AR)に与えてくれると述べています。

Skin-integrated wireless haptic interfaces for virtual and augmented reality | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1687-0

‘Epidermal VR’ gives technology a human touch - Northwestern Now
https://news.northwestern.edu/stories/2019/11/epidermal-vr-gives-technology-a-human-touch/

New tech gives VR a human touch - YouTube


Wearable skin could make virtual reality games unbelievably immersive | Inverse
https://www.inverse.com/article/60980-wearable-skin-could-make-virtual-reality-games-unbelievably-immersive

このデバイスは、何層も薄い層が重なったシート状のデバイスです。皮膚に接触する層は弾力を備えたゴムのような高分子層になっており、人間の皮膚にある曲面にもフィットします。皮膚と接触する層の次は、電子機器やその電子機器を固定するシリコン層。シリコン層の次は、通気性のある織物層。この織物層は電子機器を覆っており、電子機器を衝撃から保護する役割を果たしています。


実際に触感を与える層は、銅を微量に含んだポリイミド製で、薄型で弾性を持つアクチュエータが配置されています。このアクチュエータが無線信号によって振動し、「触覚」が伝達できるという仕組み。


アクチュエータの駆動にはFelicaなどの非接触型ICカードにも使われている近距離無線通信(NFC)が用いられており、ワイヤレス給電が可能で、デバイス自体にバッテリーが組み込まれていません。

研究チームはすでに大きさ15cm×15cmのシート状デバイスのプロトタイプを作成しています。シート状デバイスにタッチスクリーンインターフェイスを接続し、タッチスクリーンをなぞって「X」という形状パターンを送信したところ、タッチスクリーンをなぞる指に同期して「X」の形の刺激が伝わることを確認したとのこと。実際のプロトタイプが以下。


曲げると中に入っているアクチュエーターの存在がわかります。


「ビデオ通話している相手が画面に触れると、こちら側に触感が伝わる」「触感も伝わるVRゲーム」といった用法の他にも、「義肢が何かに触れたときに、肉体部分にその触覚が伝わる」といった用法を研究チームは考案しています。義肢を持つ人々は「義肢に込められた力がわからず、力の加減がしにくい」という問題を抱えています。このデバイスによって、義肢に加わった圧力を他の部位で感知できるようになれば、力の加減が容易になると考えられます。


研究チームは、シート状デバイスをより薄く、より軽くすることに取り組んでいるだけではなく、触覚以外にも「熱さ」などを伝達することにも将来的に取り組む予定です。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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