リアルな人工皮膚をつねったり押したりしてスマホやPCを操作できる「スキンオンインターフェイス」

ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)研究者であり、インタラクションデザイナーでもあるマーク・テシエ氏が、人工皮膚を使ってデジタル機器の機能を高めるための「スキンオンインターフェイス」を開発しています。
Marc Teyssier | Skin-On Interfaces
https://marcteyssier.com/projects/skin-on/
人工皮膚を用いたスキンオンインターフェイスの開発は、テシエ氏が同僚と共にイギリス・ブリストルの研究機関であるBristol Interaction Groupで行ったプロジェクト。既存のデバイスに人間の皮膚のように敏感かつインタラクティブな入力装置を追加することで、「完璧なヒューマンインターフェイス」を作り出すことを目標としたプロジェクトだそうです。

テシエ氏らが開発したスキンオンインターフェイスがどんなものかは以下のムービーを見ればわかります。
A mobile device covered with human skin? Skin-On Interfaces - YouTube

スキンオンインターフェイスはスマートフォンケースとして取り付けたり、ノートPCのトラックパッド代わりに使用したりすることができます。

人工皮膚がスマートフォンを覆っているので、こんな感じで手の中にメチャクチャなじみます。


トラックパッドとすれば、スワイプや……

タップといった動作だけでなく……

人工皮膚を「つねる」動作も正しく検知可能。

スマートフォンに取り付けた場合は、背面の人工皮膚をなぞる動きを検知することができます。

スマートウォッチに取り付けてもOK。

トラックパッド代わりに取り付けたスキンオンインターフェイスをひねるようにつねると、ディスプレイ上に表示した画像を9回転させることができます。


スマートフォンに取り付けた人工皮膚をつねると、感覚的に音量調節が可能に。

さらに、スマートフォンをどちらの手で持っているのかを正しく認識して、親指でタップしやすい位置にUIを表示することもできます。


スキンオンインターフェイスをロボットに搭載すれば人間同士が触れ合うようにコミュニケーションが可能に。

スキンオンインターフェイスの裏側には、センサーが検知した動作をスマートフォンやノートPCに伝達するための基板などが埋め込まれていました。


なお、スキンオンインターフェイスはオープンソースのハードウェアです。

テシエ氏はスキンオンインターフェイスに使用するための人工皮膚を作るために、人間の皮膚の視覚的・触覚的な側面を再現する方法を研究しているそうです。関連文献を参照しながら、シリコンを用いて皮膚の変形性質を模倣し、視覚的要因(色)と触覚的要因(質感と厚み)がユーザーエクスペリエンスと実際の知覚にどのように影響するかを調査しているとのこと。
スキンオンインターフェイスの人工皮膚の下にはセンサー層が存在しており、これにより人間の皮膚上で行われるような「なぞる」や「つねる」といったジェスチャーを、人工皮膚上で行っても感知できるようになる模様。

スキンオンインターフェイスの製造プロセスは非常にシンプルで、まず最初に表面の触覚レイヤー、つまりは人工皮膚を作成します。人工皮膚は肌のような触感を持つ「Dragon Skin」というシリコンとベージュ色の顔料が使用されています。次に、人工皮膚の裏側に電極を配置。テシエ氏が使用したのはDATASTRETCHという導電糸だそうです。その後、電極の上にEcoflex GELで皮下組織を追加します。皮下組織の厚みはスキンオンインターフェイスをどの程度の厚みにするかにより決まるのですが、テシエ氏は10mm程度の厚みにしている模様。その後、人工皮膚と皮下組織の間の電極をハードウェア検知プラットフォームと接続し、外観を成型すればスキンオンインターフェイスの完成だそうです。

なお、テシエ氏はスキンオンインターフェイスの製作工程をムービーで公開しています。
Skin-On Interfaces: Fabrication process - YouTube

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