WikiLeaks創始者ジュリアン・アサンジの性的暴行容疑に対する捜査が打ち切りに

数々の機密情報を公開して告発を行ってきた「WikiLeaks(ウィキリークス)」の創始者であるジュリアン・アサンジ被告にかけられていた性的暴行容疑について、スウェーデン当局が捜査を打ち切りました。

Sweden drops Julian Assange rape investigation | Media | The Guardian
https://www.theguardian.com/media/2019/nov/19/sweden-drops-julian-assange-investigation

Sweden drops rape investigation into Wikileaks founder Julian Assange
https://www.telegraph.co.uk/news/2019/11/19/sweden-drops-rape-investigation-julian-assange/

Sweden Drops Investigation of Julian Assange - Defend WikiLeaks Defend WikiLeaks
https://defend.wikileaks.org/2019/11/19/sweden-drops-investigation-of-julian-assange/

アサンジ被告は2012年、スウェーデンで行ったとされる「性行為中に避妊具に細工を行った」「相手の睡眠中に避妊せずに性行為に及んだ」という性的暴行容疑を受けて、イギリスで逮捕されました。アサンジ被告は、この容疑に対して「自分を逮捕するための口実」だと主張して、保釈中にエクアドル大使館に逃げ込んで2019年4月まで亡命生活を送りました。しかし、エクアドルとWikiLeaksの関係が悪化したことを受け、エクアドル大使館がアサンジ被告の保護を取りやめた結果、アサンジ被告は改めて逮捕されました。

アサンジ被告逮捕についての詳細は以下の記事で読むことができます。

数々の機密情報を暴露してきたWikiLeaksの創始者ジュリアン・アサンジが逮捕される - GIGAZINE

エクアドル大使館における逮捕劇でアサンジ被告が拘束された理由は、イギリスに対する「保釈条件違反」。アサンジ被告は保釈条件違反によって禁固50週が科せられ、ロンドン南東部のベルマーシュ刑務所に拘置されました。この刑期を務め終えた後、アサンジ被告はスウェーデンに移送されて問題の性暴行容疑の起訴が行われるという手はずでした。

しかし、スウェーデン当局のエヴァー・マリー・パーソン検察官は、「証人の証言を再確認した結果、起訴を提出できるほど証言がハッキリしていない」として、アサンジ被告に対する性暴行容疑への捜査を打ち切ったと発表しました。その理由について、パーソン検察官は「告訴人の証言は信頼できるものだった」と述べた上で、「事件発生から10年が経過しており、被害者の記憶が薄れてしまった」だと説明しています。

この報道を受けて、WikiLeaksはTwitter上で勝利宣言を発表しました。

アサンジ被告はイラクとアフガニスタンにおけるアメリカの軍事・外交機密を公開した容疑でアメリカ側から起訴されています。アサンジ被告のイギリスからアメリカに対する引き渡し審理は、2020年2月に開始される予定。

一連の問題に対して国際連合人権理事会のニルス・メルツァー特別報告者は、「アサンジ被告は、マスメディアの報道やソーシャルメディア上での脅迫や名誉棄損、そしてエクアドル大使館での隔離によって、心身ともに深刻なダメージを受けています。これは重大な心理的拷問といえるもので重大な人権侵害です」と指摘しています。

OHCHR | UN expert says "collective persecution" of Julian Assange must end now
https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=24665