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図書館の本の延滞者に対する罰金を廃止したら本の返却数が激増した事例

by Teresa Grau Ros

アメリカの公立図書館の多くは、貸出期限が過ぎても図書館の本を返さない人に対する罰金として延滞料を科していますが、これを廃止することでかえって本の返却率が増加したという事例が報告されました。

Book returns surge 240% after Chicago eliminates fines
https://apnews.com/052cef5655be4a928233f1d45d258056

アメリカ・シカゴの市立図書館は2019年10月1日から、「延滞料のシステムを廃止し、これまでの債務もすべて帳消しにする」と発表。その目的は、「延滞料の仕組みにより、貧しくて本が買えない人のような、本当に図書館を必要とする人を図書館から遠ざけている」という事態を打破することにありました。

シカゴ市立図書館が延滞料制度の廃止に踏み切った経緯は、以下の記事に詳しく書かれています。

図書館が延滞料のシステムを廃止し債務も全て帳消しにする取り組みをスタート - GIGAZINE

by Jessica Ruscello

シカゴ市立図書館のアンドレア・テッリ館長は、「図書館のFacebookなどのSNSには、『これはすごい、ちゃんと本を返さなきゃと思います』『延滞料のせいで、図書館から足が遠のいていました』と、利用者の皆さんから喜びの声が寄せられています」と述べて、市の決定が図書館の利用者から評価されていることを報告しました。


実際に、延滞料制度の廃止を告知したシカゴ市立図書館のFacebookの投稿には「これはすごい! 延滞料金の廃止を悪用しないようにしたいものです」「ありがとうございます。最近このことに気づいた時には、天の思し召しかと思いました」「これは本当に素晴らしい。市長と立派な図書館を称賛します。延滞料は、私の家計に重くのしかかっていました」などのコメントが付いています。


シカゴ市立図書館の発表によると、11月の本の返却数は延滞料制度廃止前に比べて3.4倍にまで増えたとのこと。シカゴ市議会の予算公聴会に出席したテッリ館長は「図書館の罰金制度を廃止することで、本と利用客の両方が返ってきました」と述べて、取り組みが功を奏したことを報告しました。

さらに、市議会でシカゴのローリ・ライトフット市長は、図書館を日曜日にも開館することを計画していると明かしました。市長が組んだ2020年の予算には、シカゴにある81カ所の図書館を日曜日に開くための諸経費として、1800万ドル(約19億円)の予算措置が盛り込まれています。また、日曜日に開館する際の図書館業務には、62人のフルタイムスタッフと115人のパートタイムスタッフを合わせて177人を増員して対応することとしています。

by NomadSoul1

テッリ館長は「私たちは、シカゴの北の端や南の端にある図書館から日曜日に開く事にするのではなく、街中の図書館が開くようにしたいと思います」と話して、シカゴの図書館を貧しい人や、仕事が忙しい人にも広く開かれた場所にしたいとの展望を語りました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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