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蔵書を一冊も持たない「紙の本を置いていない図書館」が開館


一般的な「図書館」のイメージというと、非常に多くの書籍が見渡す限りの書架に蔵書されているものになるはずなのですが、テキサス州サンアントニオ市では、蔵書を一冊も持たないという一風変わった公共の図書館がオープンしています。

BiblioTech - Bexar County Digital Library
http://bexarbibliotech.org/


Texas library offers glimpse of bookless future - New York News
http://www.myfoxny.com/Story/24356855/texas-library-offers-glimpse-of-bookless-future

一部の教育機関では既に同様のシステムを持つところはありましたが、全米の公共図書館では始めて「蔵書のデジタル化」を行ったのは、テキサス州ベア群サンアントニオ市の図書館「BiblioTech」です。


館内には約50台のiMacが閲覧用の端末として設置されているほか、「書籍」の替わりとなるデータの貸出を申請するためのiPadやノートPCなどを利用可能で、利用者はすべてスクリーン上に表示される書籍を閲覧するというシステムになっています。


BiblioTechが保管している書籍データは10万冊に及びますが、それらはすべて実際の書籍と同じ価格で購入したもの。データを購入したのに、と不思議に思う声もありますが、施設にかけるコストが大幅に減ったために最終的には数億円レベルでのコスト削減に成功しています。BiblioTechの施工にかかった費用は230万ドル(約2億4000万円)ですが、同じテキサス州のオースティンのダウンタウンにある図書館の新設にかかった費用は1億2000万ドル(約125億円)、近郊の小さな街であるKyleにある図書館でさえ、BiblioTechを約1億円上回る予算が必要でした。


図書館長のAshley Eklofさんが以前に別の図書館に勤務していた時は、行方がわからなくなったりページが破りとられた書籍や、貸し出されたまま戻ってこない備品といったことに悩まされてきましたが、BiblioTechではそのような問題は一切発生していないそうです。また、書籍を電子化したことで、蔵書に必要だったスペースとコストの削減も達成できたとのこと。


サンアントニオ市はテキサス州西部に位置する都市で、市内にめぐらされた水路による「リバー・ウォーク」と呼ばれる風景が有名な都市です。

By Stuart Seeger

人口の約半数をヒスパニック系が占め、全米でも大きな都市に分類される街ですが、住人の識字レベルのランクが全米で60位と低く、地域の住宅にはネット回線すら調っていないという状況でした。それが今では大きく改善され、オープン1年目の来館者数は10万人を超えるペースで推移しており、近辺の高校の授業が終わった時間帯になると、端末の空きを見つけるのが非常に難しくなってしまうほど。貸出用のeブックリーダーの稼働率は常に50%を超えているそうです。


しかし、利用者の中には「やっぱり紙の本の方がいいと思います。タブレットは苦手だし、目に優しくないので」と、古くからの図書館を要望する声が挙がっているのも事実と言います。デジタル技術が浸透したからこそ可能になった「本のない図書館」ですが、同様のシステムが普及するのか興味深いところです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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