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図書館が延滞料のシステムを廃止し債務も全て帳消しにする取り組みをスタート

by Jessica Ruscello

アメリカでは多くの公立図書館が本の延滞に対して延滞料を科しています。しかし、「本の延滞は責任感の有無から発生するのではなく、お金を払えるかどうかによる」ということが近年の研究から明らかになっており、延滞料の仕組みが本当に図書館を必要とする人から図書館を遠ざけているという事態を打開すべく、新たな取り組みが始まっています。

City of Chicago :: Mayor Lightfoot and Chicago Public Library Announce Elimination of Late Fees, Outstanding Debt to Increase Access to Libraries Citywide
https://www.chicago.gov/city/en/depts/mayor/press_room/press_releases/2019/september/EliminateLibraryLateFees.html

Chicago eliminates library late fees, forgives outstanding debt
https://www.illinoispolicy.org/chicago-eliminates-library-late-fees-forgives-outstanding-debt/

Are Library Late Fees Useful? Chicago Says ‘No.’ - CityLab
https://www.citylab.com/equity/2019/10/public-library-late-fees-chicago-san-francisco-equity-access/599194/

シカゴ市はこれまでの調査で、シカゴの中でも裕福な北部の地域では図書館の本を返せない人が6人に1人なのに対し、有色人種が多く貧しい南部の地域では、この割合が3人に1人にまで上がることを明らかにしました。


延滞しているカードの所有者は5人に1人が14歳以下の子どもとのこと。延滞料を科すと、貧しい人は延滞料が払えないため図書館に行きたくても行けなくなります。このため、本来ならば最も図書館を必要とする人々を図書館から遠ざける結果になっていると、シカゴ市長のローリ・ライトフット氏は語りました。ライトフット市長は「多くのシカゴ市民のように、私もまた経済的に問題を抱える家庭で育つことがどういうことかを理解しています。多額の負債がある中での1ドルの価値を理解しています」とも述べています。

このような背景から、シカゴ市は2019年9月30日に、シカゴ公立図書館から延滞料の仕組みを撤廃すると発表しました。これにより最低10ドル(約1100円)を必要としていた延滞料を今後は払う必要がなくなり、既に延滞料が発生していた34万3000人のカード所有者は債務が帳消しされます。新しいポリシーでは本を借りた人が延滞を行った場合、返却情報は15回更新された後に、本が「紛失」に分類されます。その後、借り手には買い替えの料金が請求されますが、本がちゃんと図書館に戻ってくれば、この料金は帳消しになるとのこと。

アメリカの図書館における延滞料を廃止使用とする動きは、全国的に広まっています。都市図書館議会のFine Free Mapを見ると、数十の図書館が延滞料システムを廃止していることがわかります。以下のマップにあるオレンジ色の目印は延滞料なし、灰色の目印は延滞料ありの図書館を示しています。


サンフランシスコ図書館も9月に延滞料のポリシーを改訂しましたが、これは(PDFファイル)調査によって図書館のカード所有者の3分の1が大人1人あたり平均して24ドル(約2600円)の負債を図書館に対して抱えており、その多くはアフリカ系アメリカ人コミュニティや低所得のコミュニティ、大学出身者の少ないコミュニティに所属することが明らかになったため。「延滞料は責任感のある人とない人を区別するのではなく、ちょっとしたミスのためにお金を使える人と使えない人を区別しています」と都市図書館議会のカーティス・ロジャース氏は述べています。

ロジャース氏によると、1970年代の研究では、延滞料を廃止することで人々の本を返すという責任感が低下するという懸念が示されていたそうです。1983年にカリフォルニア北部で行われた研究でも延滞料を廃止すると短期間で延滞率が増加すると示されたそうですが、後の調査で有意な差はなかったことが(PDFファイル)明らかになっています。サンフランシスコの図書館の中には、延滞料を廃止することで、逆に延滞する人の割合が9%から4%に下がるという結果もでています。

ロジャース氏は延滞料の廃止が唯一の解決法ではないことを強調しており、図書館の中には、全ての延滞料が免除される「恩赦の日」を設定しているところも。また、お金の代わりに食べ物の寄付やボランティア活動を求める図書館もあるそうです。多くの図書館にとって延滞料が運営予算を占める割合はごくごく一部であり、場合によっては延滞料回収のためにかける時間と費用を削減することで図書館の費用を節約することも可能だとロジャース氏は述べました。

by NeONBRAND

なお、日本の図書館は基本的に延滞料を科していませんが、直接法律で規制されているわけではなく、国際基督教大学図書館や慶應義塾図書館は1日1冊につき10円から延滞料が科されるようになっています。

慶應義塾図書館|学部生
http://www.mita.lib.keio.ac.jp/services/students.html

延滞本/延滞料金:国際基督教大学図書館
https://www-lib.icu.ac.jp/HowToUse/Overdue.htm

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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