取材

貸し出し前の本を読みながらカフェも楽しめる図書館「ALEC」に行ってみた


日本全国のカフェが設置された図書館をプロットしたマップ図書館カフェ全国地図(日本)では、大きな図書館から町の小さな図書館まで日本中のカフェ付き図書館を調べることができるのですが、それによると図書館に併設しているカフェのほとんどが貸し出し後の図書を持ち込むタイプであり、貸し出し前の図書がカフェスペースに持ち込めるのは日本でたった3ヶ所となっています。そのうちの一つが「本のあるカフェ」をコンセプトにしている和歌山県有田郡有田川町にある「ALEC」。広々としたスペースで本を読むだけでなく、友だちとおしゃべりしたり、ランチを食べたりすることができるという図書館ALECはどんなものなのか、実際に行ってみました。

alec
http://www.town.aridagawa.lg.jp/library/alec.html

住所は「和歌山県有田郡有田川町下津野704」、地図で見ると以下の場所にあります。

大きな地図で見る

JR藤並駅から出ている無料の観光施設巡回バスに揺られること5分、ALECに到着……ということなのですが、駅からALECに行くためのバスは1日に2本しかないので、事前に時刻表をチェックすることをオススメします。市営のバスを使うこともできるのですが、その場合バス停からALECまでさらに5分ほど歩くことになります。今回は無料バスが既に終了しており、次の市営バスまで1時間待ち……という状況だったので、やむなくタクシーで直行しました。


建物はこんな感じ。


手前には芝生が広がっています。


ガラス張りの建物の前にはテラスもあり。建物を撮影していると、ちょうどテラスで読書中の少年たちを見つけました。


ということで、早速入館します。


館内への飲食物の持ち込みは禁止ですが、カフェがあるので問題ありません。


廊下を進んで、図書スペースに到着しました。


図書スペースとカフェがシームレスにつながっている様子は、以下のムービーから見ることができます。

本を物色しながらカフェが楽しめる図書館ALEC - YouTube


こちらが図書スペース。


雑誌や小説、画集などがずらっと並ぶ様子は、本好きに至福のひとときをもたらします。


他にも有田川町のお店情報のスペースや……


一押しの本を紹介した特設スペースなども。


図書スペースの隣には漫画コーナーもあります。


ずらりと並ぶ漫画たちは、およそ3万冊がそろえてあるとのこと。


赤い棚の中の漫画は閲覧のみで、貸し出しは不可です。


棚の上にはサイン色紙が。


有田川出身の漫画家である百瀬なつさんの原稿が飾られていました。


そして、図書スペースの前にはカフェのようにずらっと並ぶテーブルが。天井が高く、壁が一面ガラス張りになので自然光を取り入れており、かなり開放的な空間となっています。


カフェスペースと図書スペースの間には一切区切りがなく、本を取ってそのままテーブルで読むことができます。


漫画スペースがあるだけのことはあり、テーブルで漫画を読んでいる人が多く、図書館というよりはのびのびした漫画喫茶のよう。


また、窓際には仕切りの付いた1人用のテーブルもアリ。


おしゃべりをすると怒られる図書館が多い中、ALECは声を出してもOKなので、中には英会話の授業を行っている人もいました。


一人用のデスクにはコンセントがついているため、パソコンで作業したい人にとっても優しい環境。


ソファーだけのスペースもあります。


部屋の隅っこには子ども用のイスも置いてありました。


ALECの奥には「ORANGE CAFE」があり、食事やドリンクが購入できるようになっているので、実際に注文してみることにしました。


注文する場所はこちら。食事やドリンクはセルフサービスです。


キャラメルマキアートにコーヒーフラペチーノやジャバチップフラペチーノ(メニュー表記ではフラペチーニ)など、公営施設の喫茶店というよりも、紛れもないカフェメニュー。


パニーニが名物ということで、ショーケースの中には3種類のパニーニが。


BLTのパニーニ


ハムとチーズのパニーニ


生ハムとモッツァレラのパニーニ


お水もセルフサービスです。なお、パニーニはその場で焼いてくれるため、番号札を持ってしばらく待ちます。


約10分後、焼きたてのパニーニが!今回は生ハムとモッツァレラのパニーニとジャバチップフラペチーノをチョイスしました。せっかくなので、食事と本棚から取ってきた本を持ってテラスへ。


お皿にはポテトチップスも添えられています。


ショーケースの中にあったふわふわの白パンにしっかり焼き目がつけられ、カリっとした仕上がり。


中身は生ハムと、コショウとバジルが振りかけられたモッツァレラチーズ。「具が少ない……」と悲しくなることもなく、できたてのパニーニは街にあるカフェで出されるものと変わらないレベルです。


こちらはコーヒーショップでおなじみのジャバチップフラペチーノ。


テラスにあるイスに座るとこんな風景が見えます。屋根が日差しを遮ってくれるので、日差しが強くともそれほど暑くなく、快適な読書タイムが過ごせます。


このテーブルを見て、図書館にいると思う人は少ないハズ。


さらに、申込用紙を提出すると、開館時間内、館内使用に限りiPadやPCを借りることもできます。


読みたい本が他の誰かの手元にあっても、電子書籍を使えば目的の本を読むことが可能というわけです。なお、貸し出しには身分証明書が必要です。


ちなみに、ALECは「有田川町地域交流センター」の略であり、図書館に至るまでの廊下には展示スペースや子どもたちが遊べる場所などもあります。

入り口には車イスが。


大きな汽車の形の遊び場には……


丸や四角の形をした積み木がぎっしり。


子どもたちが楽しそうに遊んでいます。


バイクや車の展示もありました。


ALECの建っている場所は有田川地域では最も遺跡が集中しているらしく、弥生土器の展示スペースもあります。


「1」と番号札のついた研究室では……


毎月第3土曜日にハンドメイドマーケットが開催されるとのこと。


レンタサイクルも行っています。


グランドピアノは、催し事に使用されるのでしょうか。


日が落ちてくると、テラスの階段にはライトが灯りはじめます。


おしゃべりや食事もできる図書館ということで、うるさくて本に集中できないのではないか?という疑念もあったのですが、大抵の人は本に熱中しており、またはしゃいでいる子どもは図書館スタッフがその都度優しく注意することによって、人が多かったにも関わらずとても静かで居心地のいい空間となっていました。スペースや本が汚れているといったこともなく、「施設や本が汚れる」「うるさくて本に集中できなくなる」という理由から、飲食・私語が禁止されることの多い図書館ですが、こういうスタイルの図書館が成立する様子を見ると、全ての図書館がこのスタイルだったらいいのに……と思わずにはいられませんでした。


ということで、カフェの併設された図書館ALECはそのコンセプトの通り「本の読めるカフェ」であり、涼しく、景色もよく、食事もできるというゆったりスペースであったため、時間はあっという間に過ぎてしまいました。なお、図書館カフェ全国地図によれば、貸し出し前の図書がカフェスペースに持ち込める図書館はALECの他にも武蔵野プレイス千代田区立日比谷図書文化館の2つがあることが現時点で判明しています。

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in 取材,   試食,   動画, Posted by darkhorse_log

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