インタビュー

「ターミネーター:ニュー・フェイト」で間違いなく正統続編を生み出したティム・ミラー監督にインタビュー


「ターミネーター2の正統続編」をうたう映画「ターミネーター」シリーズの最新作「ターミネーター:ニュー・フェイト」が2019年11月8日(金)から公開となりました。本作で監督を担当するのは「デッドプール」を手がけたティム・ミラー。見てみると、確かに「ターミネーター」「ターミネーター2」に連なる系譜の作品となっているのですが、なにゆえ、これほどまで「ターミネーターらしいターミネーター」を生み出すことができたのか、監督に直接質問をぶつけてきました。

日本オリジナルカット 映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』【新たな運命編60】11月8日(金)公開 - YouTube


GIGAZINE(以下、G):
「ターミネーター:ニュー・フェイト」を見たのですが、「ターミネーター2」以降のシリーズ作品と比べて、雰囲気が明らかに「ターミネーター」「ターミネーター2」に近いというのを感じました。なにがうまく運んで、雰囲気の再現に成功したのでしょうか?

ティム・ミラー監督(以下、ミラー):
まず第一に「リンダ・ハミルトンが戻ってきてくれた」ということです。サラ・コナーは彼女でなければ語れない要素があり、他の女優さんが演じてもそれは違う、というのが1つ。もう1つは、他のジェームズ・キャメロンの映画と同じペースにしたということです。


G:
ペース?

ミラー:
「最初にアクション」「それからキャラクターの物語を展開」「最後は全部てんこ盛りアクション」という進め方のことです。

G:
ペースは、キャメロン氏から指示があったのでしょうか?それとも、ミラー監督が自ら「こうするしかないだろう」と決めたものなのでしょうか?

ミラー:
まず、私とジム(ジェームズ・キャメロン)ではかなりスタイルが異なります。この作品が2本目の私がスタイルだなんて偉そうには言えませんが(笑)、ジムとは趣味もテイストも違っています。ただ、今回の作品は私も気に入っている「ターミネーター」「ターミネーター2」のスタイルをあえて模倣することにしました。「ターミネーター」シリーズの「続編」らしくしたいですから。

G:
本作の監督を担当するのはジェームズ・キャメロンからの指名だったとのこと。実際にジェームズ・キャメロンといっしょに仕事をしていく中で、これまで自分自身にはなかったけれど、新たに得られたものというのは何かありましたか?

ミラー:
「人に優しくすること」かな(笑)


G:
(笑)

ミラー:
キャラクターを話のクライマックスまで連れてくるにあたって、不自然な脚本で無理やり連れてきている映画を見かけることがありますよね。でも、ジムの映画ではその流れが自然だし、アクションシーンも自然に盛り込まれています。それが僕は好きで気に入っているので、今回、実際にジムにどうやっているのか聞くことができました。

G:
おお。どうでしたか?

ミラー:
「いや、僕は最初にアクションを決めて、そこに向けて無理やり持っていくんだよ」って(笑)


G:
(笑)

ミラー:
実際は無理やりでもそう感じさせず自然に見せている、これが手腕ということなんだなと思いました。

G:
資料によると、プロットの展開について話し合うにあたってデヴィッド・S・ゴイヤーグレッグ・ベアジョシュ・フリードマンウォーレン・エリスといった、SFやファンタジーの一流クリエイターたちを集めたということですが、このメンバーではどういったことを決めていったのですか?

ミラー:
彼らは、まったくの白紙状態というところから大きな世界観やシステムを作り上げることに長けた人たちです。過去にサラ・コナーがサイバーダイン社をつぶしたことで世界は変わり、新たな未来が訪れました。では、その「新たな未来」とは、これまでのターミネーターで描かれた世界とはどう違うのか。その点を「もしこうだったら」という仮定のもとにいろいろと話し合いました。まず詳細は置いておいて、世界の大きな部分はどうなるだろうか、ということですね。


G:
なるほど。

ミラー:
運命を抱えた人がいて、それを追うものがおり、一方で未来から守り人がやってくる、という構図は「T1」「T2」とどうしても同じものになってしまいます。ジムはすでに2本やっていて、それを解決する方法もまた似てしまうからこそ、クリエイターたちは「こういうものもある」というものを示すことが大きな使命だったんです。


G:
本作はビジュアル面もすさまじい作品となりました。CGのスタッフの方々は大変だったのではないかと思いますが、手間暇のかかったシーンや、制作が難しかったシーンというのはどのあたりなのでしょうか。

ミラー:
手間がかかって大変だったのは未来のシーンで、Rev-7と呼ばれるマシンが飛び回っているところは本当に大変でした。難しかったシーンというと……トラブルはいっぱいありましたが(笑)、オープニングのシークエンスです。ここはもうちょっと会話がいろいろとあったのですが、不自然になってしまうのでカットしました。その結果どのようなものになったのかは、ぜひみなさんの目で確かめていただければと思います。

G:
これほど世界に知られているシリーズの監督を担当するというのは、例えるなら「スター・ウォーズ」シリーズの新作を手がけるぐらいに大変だったのではないかと。

ミラー:
同じぐらい「デンジャー」ですね(笑)

G:
この話を聞いた時に「キャメロンが撮ればいいのに」とは思いませんでしたか?

ミラー:
確かに、最初は「マジか!?」と思いましたよ(笑) でも、ジムは「アバター」の続編を4本も作らないといけなくて忙しいですから。僕には、残りの人生でそこまで愛を注げる作品があるなんて、想像がつきません。


G:
本作の編集にはキャメロンも参加したという話を耳にしたのですが、共同で作業したのですか?

ミラー:
ジムは「ファイナル・カット」(最終的な編集権)を持っていたので、ときどき「ダメ出し」のメモを送ってきましたが、実際に編集室で一緒に作業したというわけではないですね。ジムは本作ではプロデューサーですが、本来は映画監督であり、「1つの作品に2人の監督」というのはあまりいいものではありませんから。


G:
なるほど、そこはきっちり分かれていたんですね。本日はお話、ありがとうございました。

「ターミネーター」シリーズをこれまで見たことがない人はもちろん、シリーズ1作目・2作目を経て「あの続きを……」と求めていた人なら「なるほど、これはターミネーター」と感じるであろう「ターミネーター:ニュー・フェイト」は2019年11月8日(金)から公開中です。

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in インタビュー,   動画,   映画, Posted by logc_nt

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