ゲーム

ゲームのキャラを香港デモの象徴にされてしまったゲーム会社がリアルイベントでも抗議活動を展開されてしまう


ディアブロ」「オーバーウォッチ」「ハースストーン」といった人気ゲームを取り扱う大手ゲームメーカーのブリザード・エンターテイメントは、ファン向けの大型イベント「BlizzCon 2019」を開催しており、この中でディアブロシリーズ最新作の「ディアブロIV」やオーバーウォッチの正式続編となる「オーバーウォッチ 2」などを発表しています。自社イベントの中で新作タイトルを華々しく発表している裏側で、ブリザードの香港デモへの対応に不満を持ったユーザーたちが集まり抗議運動を行っていると複数の海外ゲームメディアが報じています。

Hong Kong Protests Are Growing Outside Of BlizzCon [Update]
https://kotaku.com/hong-kong-protest-is-growing-outside-of-blizzcon-1839542568

Hong Kong protesters are assembling outside of BlizzCon - Polygon
https://www.polygon.com/2019/11/1/20943761/hong-kong-protests-blizzcon-2019-blitzchung

事の発端となったのは、2019年の3月頃から起こっているデモ活動の「2019年香港民主化デモ(香港デモ)」です。ブリザードが香港デモと密接にかかわることとなったのは、香港出身のプロゲーマーであるBlitzchung氏がハースストーンの公式大会に参加した際に、香港デモを支持するコメントを大会公式配信の中で行ったため。ブリザードは公式大会の中で政治に関するコメントを行うことを禁じていたため、Blitzchung氏が大会で獲得した賞金をはく奪し、公式大会への参加を禁じるという処分を下しました。

香港デモへの支持を表明したプロゲーマーが賞金はく奪&トーナメント参加禁止措置をとられてしまう - GIGAZINE


しかし、ブリザードがBlitzchung氏に対して下した処分は、香港デモの鎮静化に躍起になっている中国政府の意向に沿ったものであり、中国が海外企業に対して言論統制を強めていることの影響を受けているのではとして、ゲーマーやブリザードの従業員、さらには政治家たちからも批判を集めることとなりました。

香港デモを支持したプロゲーマーに処分を下した企業に対しファンや従業員からも批判の声 - GIGAZINE


その結果、ブリザードは一部のスポンサーを失うこととなり、ブリザードの人気コンテンツであるオーバーウォッチのキャラクターが香港デモの象徴として祭り上げられる事態にまで発展していました。

なぜオーバーウォッチのキャラクターが香港デモの象徴として急速に普及しているのか? - GIGAZINE


そんな状況で現地時間の2019年11月2日からアメリカ・カリフォルニア州でBlizzCon 2019が開催されており、会場にはブリザードの香港デモ支持者に対する処分に抗議する活動者が30人以上集まり、デモ活動を行っていると報じられています。


デモに参加しているグループの中には、オーバーウォッチのキャラクターであるメイがプリントされた「Mei with Hong Kong」というTシャツを無料で配布する人もいたそうです。海外ゲームメディアのPolygonによると、メイのコスプレをしてデモに参加していたzephronica氏は、「私の家族は香港に住んでおり、何カ月もデモ活動を見てきました。香港の人々を助けるために私にできることは本当に何もありませんでした。しかし、インターネット上でメイが香港デモの象徴として広まってきた際、私は自分にできることができたと感じました」と語ったそうです。


海外ゲームメディアのKotakuによると、抗議者たちは「Free Hong Kong(香港を解放せよ)」といった看板を掲げてデモ活動を行っているとのこと。デモに参加している香港デモ支持グループは複数存在しており、「Freedom Hong Kong(香港に自由を)」と「Fight For The Future(未来のために戦え)」という抗議者グループのほかに、海外掲示板のRedditで集められた有志たちも確認できたそうです。デモ活動はBlizzCon 2019初日の午後まで続いた模様。

デモに参加したチャールズ・ラム氏は、Kotakuに対して「中国からの圧力により、多くの人々が沈黙していることは明らかです。ゲーマーは民主主義を支持することに対して検閲を受けているようなものです。これはアメリカでは受け入れられないことです」と語り、デモ活動の重要性を主張しています。


さらに、抗議グループのひとつであるFight For The Futureの一員であるデイトン・ヤング氏は、「ブリザードやほかの多くの企業が耳を傾けるまで、抗議を続けるべきです。これは単なるブリザードだけの問題ではありません。すべてのゲームやデジタルメディアに関連する企業の抱える問題です。これらの企業が我々の声に耳を傾け、会話し、彼らの持つプラットフォームを安全かつ自由に保たれた状態にする必要があります」と語りました。

なお、BlizzCon 2019の中でブリザードのアレン・ブラック社長はBlitzchung氏への処分について、「ブリザードは約1カ月前にハースストーンのeスポーツが直面した困難な状況を現実世界と結びつける機会を得たのですが、そうすることはできませんでした。ブリザードは問題に直面した際にあまりに早急に決断してしまったため、その決断を間違えてしまったのです。もっと時間をかけてコミュニティ全体と対話すべきでした。ブリザードは自分たちに設定した高い基準を満たすことができなかったのです」と語り、正式に謝罪しました。


BlizzConでの抗議活動に参加した人の中には、プーさんの着ぐるみを着て、中国の習近平国家主席のお面をつけた人もいた模様。なぜプーさんと習近平国家主席を掛け合わせたのかというと、インターネット上では「習近平とくまのプーさんが似ている」とネタにされることがあるから。

プーさんの着ぐるみに身を包んだ抗議者は、「ブリザードの最初の反応は企業の心を真に語ったものです。それが正しいと思ったから、ブリザードは謝罪していませんでした。そして今回ブリザードがBlizzConの中で謝罪したのは、それが最終的な利益につながると考えたからです。それが本当にすべてだと思います」と厳しい指摘をしています。


中国出身の抗議者は、「ブリザードがしなければならないことはたったひとつだけで、それは理論的には単純なことです。ブリザードは『世界のどこでも民主主義と基本的人権を支持する』ということを明確に示すべきでした。しかし、実際には問題があるとしていくつかの声明を出しただけなため、我々は抗議活動を続けています」と語り、ブリザードは政治的な発言に対してもニュートラルな立場を示すべきであったと指摘しています。

ブリザードは最終的にBlitzchung氏への対処について謝罪し、BlizzConの中で香港デモについて話すことを許可しています。Kotakuがブリザードの広報担当者に問い合わせたところ「従業員は理論的に抗議に参加できる」という返答が得られたそうです。

しかし、BlizzConで行われている抗議活動の動機は参加者全員で完全に一致しているというわけではないとKotakuは記しており、話を聞いた抗議者の中には、香港デモを支持するためにデモ活動を行っているのではなく、ブリザードの近年の方針が「金儲けに寄りすぎている」ことを非難するために行っているという人もいたそうです。

BlizzConの午後にもなると抗議活動の参加者は40~50人にまで増えていました。参加者の中にはブリザードのゲームやプロダクトにお金を使うことを止め。アカウントを削除したことを報告した人もいたそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
香港デモへの支持を表明したプロゲーマーが賞金はく奪&トーナメント参加禁止措置をとられてしまう - GIGAZINE

香港デモを支持したプロゲーマーに処分を下した企業に対しファンや従業員からも批判の声 - GIGAZINE

なぜオーバーウォッチのキャラクターが香港デモの象徴として急速に普及しているのか? - GIGAZINE

生放送中に香港デモの支持を表明した大学のハースストーンチームが6カ月の出場停止処分を受ける - GIGAZINE

ブリザードが香港デモへの対処からスポンサーを失う - GIGAZINE

in ゲーム, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.