生放送中に香港デモの支持を表明した大学のハースストーンチームが6カ月の出場停止処分を受ける

2019年10月、香港のプロゲーマーであるBlitzchung氏が、人気ゲーム「ハースストーン」の大会後インタビューで香港デモを支持する発言を行いました。ハースストーンの開発元であるブリザード・エンターテイメントはこの事態を問題視し、Blitzchung氏に処分を下しましたが、新たにアメリカの大学チームがハースストーンの試合中に香港デモを支持するボードを掲げ、6カ月の出場停止処分を受けたと報じられています。

College Hearthstone Players Hold Up 'Free Hong Kong, Boycott Blizzard' Sign On Stream
https://kotaku.com/college-hearthstone-players-hold-up-free-hong-kong-bo-1838896492

Blizzard Gives 6-Month Ban To College Team That Held Up 'Free Hong Kong' Sign
https://kotaku.com/blizzard-gives-6-month-ban-to-college-team-that-held-up-1839103489

Blizzard Bans College Hearthstone Team For Six Months After Protesting For Hong Kong - IGN
https://www.ign.com/articles/blizzard-bans-college-hearthstone-team-who-supported-hong-kong-for-six-months

Blitzchung氏は香港出身のプロゲーマーであり、ハースストーンのプロトーナメントであるグランドマスターズでプレイしていた人物。ブリザードはBlitzchung氏の行為について、「『一部の人々や公衆のグループを怒らせる行為』を禁じる規定に違反した」と判断し、グランドマスターズへの参加資格と獲得賞金の剥奪、そして2019年10月5日～2020年10月5日までの1年間にわたり、ハースストーンのトーナメントに参加することを禁止する措置をとりました。

この決定に対しては、香港の人々だけでなく、多くのファン・政治家・ブリザードの従業員から批判が寄せられました。従業員らがストライキを決行したほか、ファンたちは「もうブリザードのゲームはやらない」といった表明をネット上で行っています。

香港デモを支持したプロゲーマーに処分を下した企業に対しファンや従業員からも批判の声 - GIGAZINE

これらの批判を受けて、ブリザードは後にBlitzchung氏への処分を軽減することを決定。2019年10月12日、ブリザードは「Blitzchung氏はゲームそのものは正当にプレイしていた」として賞金の剥奪を撤回したほか、出場停止期間も6カ月に減らされました。

Blitzchung氏の行為が話題を呼ぶ一方で、2019年10月8日に行われた大学のハースストーンチームによる試合中継でも、香港デモの支持を表明する人々が現れました。アメリカン大学のハースストーンチームは、ブリザード公式による生放送が行われているウースター工科大学との試合中、香港デモを支持するボードを掲げました。

実際に放送された試合の様子は以下のムービーから確認可能。アメリカン大学のチームがボードを掲げるのは、試合終盤の51分38秒付近です。

Worcester Poly vs American University / Hearthstone Collegiate 10/09/2019 - YouTube

試合前の選手紹介で手を振るアメリカン大学のハースストーンチーム。

画面上部に映っているウースター工科大学のチームとの試合が始まり、両者とも真剣な表情でプレイします。

試合終盤、何やら笑みを浮かべているアメリカン大学のメンバーたち。

画面左端のメンバーが真ん中のメンバーに何かを手渡します。

そして掲げられたのは、「FREE HONG KONG BOYCOTT BLIZZ(自由な香港、ブリザードをボイコット)」と書かれたボード。生放送中ということもあり、数秒間ほどボードが画面に表示され続ける事態となりました。

なお、この展開にはウースター工科大学のチームメンバーも思わず笑みをこぼしています。

その後すぐに画面は切り替わり、画面にはウースター工科大学のチームだけが表示されました。

生放送から1週間が経過した後、アメリカン大学のチームメンバーであるCasey Chambers氏は、チームはブリザードから6カ月間の出場停止処分を受けたことをTwitter上で報告しました。Chambers氏は「アメリカン大学のハースストーンチームが6カ月間の出場停止処分を受けたことを発表でき、うれしく思います。遅れましたが、全てのプレイヤーが平等に扱われることに、そして誰もルールを守っていないことに感謝します」と、ツイートで述べました。

なお、ブリザードに対するボイコット運動の一環として、「香港デモの象徴にオーバーウォッチのキャラクターを使う」という動きもあり、これはインターネット上だけでなく香港で実際にデモに参加する人々の間でも急速に拡大しています。

なぜオーバーウォッチのキャラクターが香港デモの象徴として急速に普及しているのか？ - GIGAZINE