メモ

約200年もの間果たされなかった先住民とアメリカ政府の「約束」が実現に向かっている

by Dyaa Eldin

アメリカ政府はアメリカの先住民であるチェロキー族を強制移動させる際、「チェロキー族の代表を連邦議会に参加させる」ことを約束しましたが、約200年間、この約束は果たされませんでした。しかし、チェロキー族の中で新しい動きがあり、議会に送りこまれる部族代表がこれまでで初めて指名されました。「アメリカ政府が約束を守る日も近い」と、チェロキー族による活発な活動が続いています。

After 184 years, Cherokees seek House delegate seat promised in treaty
https://www.rollcall.com/news/congress/184-years-cherokees-seek-house-delegate-seat-promised-treaty

Kimberly Teehee Is Poised to be Cherokee Nation’s 1st Congressional Delegate
https://www.elle.com/culture/career-politics/a29391716/kimberly-teehee-cherokee-nation-first-delegate-house-of-representatives/

Will Congress finally fulfill a 200-year-old promise to the Cherokee people? | US news | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2019/oct/15/congress-cherokee-nation-kimberly-teehee

チェロキー族は1838年にオクラホマに当たる地域に設けられたインディアン居留地に強制移動させられたという歴史を持ちます。この強制移動は途中で1万5000人いたチェロキー族のうちおよそ4000人が亡くなったことから、涙の道と呼ばれるとのこと。

この移住は、チェロキー族とアメリカ政府の間で結ばれたニューエコータ条約によって決められましたが、184年もの間、条約に含まれていたある合意が無視されてきました。この条約では、アメリカ政府がチェロキー族の代表を連邦議会の議員に指名し、故郷を奪われたチェロキー族に何らかの発言権が与えられるとされていたのです。

184年もの間忘れ去られていたこの合意が、2019年10月になり、ようやく果たされようとしています。これまでチェロキー族は議会に代議員を送ったことはなく「何のステップも取られていなかった」ということで、チェロキー族の首長であるチャック・ホスキン氏はキンバリー・ティーヒー氏という女性をチェロキー族を代表する下院議員として指名しました。ティーヒー氏はこれまでにチェロキー族のガバメント・リレーションの代表を務め、オバマ政権下でネイティブアメリカン問題のアドバイザーとしても働いていたロビイストとして知られています。

by Department of Justice

ティーヒー氏はまだ議員ではなく、連邦議会が代表として受け入れるかどうかはわかりませんが、ティーヒー氏は「議会は受け入れる準備ができていると思います。私はこれまでに『やりたくない』という声を聞いたことがなく、『どうすればできるのか?どうすれば適切か?』という議論をしてきましたから」と楽観的な見方を示しています。

ティーヒー氏が連邦議員となれば、38万人ものチェロキー族が議会で擁護されるようになるとみられています。チェロキー族は独自の政府を持ち、学校や病院、インフラのプログラムを運営していますが、財政的には連邦政府からの助成金に依存しています。助成金は政府の裁量によって決まりますが、この裁量は経済状態や、連邦議会と大統領の交渉によって左右されます。このため、チェロキー族の代表が連邦議会に入ることは、大きな意味を持つわけです。

オクラホマ大学でネイティブアメリカン法を研究するリンゼイ・ロベルトソン教授は、下院でチェロキー族の議員が席を持つことの重大さを過小評価すべきではない、と述べています。「議員は委員会に入り、委員会に投票し、法案を示し、下院で発言することができます。また、部屋の中にいるだけでもメリットがあります」「これはチェロキー族だけでなく、すべての部族にとって有益です」とロベルトソン教授はコメントしています。

by Christopher Skor Follow Message

「チェロキー族は政治的にも経済的にも、比較的強いポジションに立つようになりました。市民のウェルビーイングも高まっています。今こそ条約の条項について主張すべき時であり、議会の外から我々の要望を伝えるとともに、アメリカ政府が義務を果たすべきだと主張します。議会に入り、我々の先祖の希望を果たす時です」とホスキン氏は述べました。

なお、ティーヒー氏が議員となるためには下院だけではなく、上院や大統領の承認が必要とみられており、実現にはまだ時間がかかる模様。この点についてはティーヒー氏も認識しているところであり、「一歩ずつ進みたいと考えています。先走りしたくはありませんが、前に進むための議論や分析、プロセスを行っていきたいです。失速せず、目標に向けて動き続けていきます」と語りました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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