プラスチック製ティーバッグが100億個以上のプラスチック粒子をカップに放出していると判明

by Avital Pinnick

かつてのティーバッグは紙製のものが主流でしたが、近年では絹のような手ざわりときめ細かいメッシュを実現した、プラスチック製のティーバッグが広く使われています。研究者がプラスチック製ティーバッグについて調査したところ、紅茶を抽出する際に膨大な量のプラスチック粒子をティーカップの中に放出していることが明らかとなりました。

Plastic Teabags Release Billions of Microparticles and Nanoparticles into Tea | Environmental Science & Technology
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.est.9b02540

Some tea bags may shed billions of microplastics per cup | CBC News
https://www.cbc.ca/news/technology/tea-bags-plastic-study-mcgill-1.5295662

マギル大学の化学工学教授であるNathalie Tufenkji氏はある日の朝、コーヒーショップで注文した紅茶の中にプラスチック製ティーバッグが入っていたのを見て驚いたとのこと。「プラスチック製のティーバッグからは、きっと微細なプラスチック粒子が飲み物の中に放出されているはずだ」と考えたTufenkji氏は、大量のプラスチック製ティーバッグを購入するよう学生に頼んだそうです。

世界中で広く用いられているプラスチック製ティーバッグの中には、形がピラミッド型に広がるものもあります。ピラミッド型は内部の茶葉が広がりやすいというメリットがあるため、紅茶だけでなくハーブティーなどでも用いられています。

by amanda

まず最初に、Tufenkji氏らは集めたプラスチック製ティーバッグを切断し、中の茶葉と切断時に発生した可能性のあるプラスチック粒子を洗い流しました。その後、紅茶を作る通常の過程と同じように、95度に熱したお湯の中に茶葉なしのティーバッグを浸しました。

しばらくしてからお湯のサンプルを採取して、Tufenkji氏らが電子顕微鏡で分析したところ、サンプル中には大量のプラスチック粒子が発見されたとのこと。また、プラスチック粒子の組成がティーバッグのものと同一であったことから、微小なプラスチック粒子はティーバッグ由来であることも確認されました。さらに、茶葉を取り出すためにティーバッグを切断していない状態でもプラスチック粒子が放出されていることを確認し、プラスチック粒子放出の原因がティーバッグの切断ではないことも確かめられたそうです。

そして、カウントしたサンプル中のプラスチック粒子の数を外挿することで、1個のプラスチック製ティーバッグからカップ中に放出されるプラスチック粒子の数を推定したそうです。その結果、単一のティーバッグから116億個ものマイクロプラスチックが放出され、マイクロプラスチックよりも微細なナノプラスチックも31億個放出されていることが明らかとなりました。

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それぞれの粒子が非常に小さいため、1カップあたりのプラスチック粒子は平均して16マイクログラムに過ぎませんが、この数値は他のボトル入り飲料や食品に見られるものより多いとのこと。「人々は文字どおり、飲み物の中にプラスチックを加えています」と、Tufenkji氏は述べています。

記事作成時点では微細なプラスチック粒子が人体にどのような悪影響を与えるのか、はっきりしたことはわかっていません。しかし、世界中で多くの人がプラスチック製ティーバッグを利用している以上、潜在的な健康リスクについて調査を進めるべきだとTufenkji氏は考えています。実際にTufenkji氏が微細なプラスチック粒子が多く含まれた水にミジンコを入れてみたところ、ミジンコは「狂ったように泳いだ」とのことで、プラスチック粒子が小さな生物にとってストレスになる可能性が示唆されたと主張しています。

Tufenkji氏はプラスチック粒子がもたらす影響を、他の動物を用いてさらに研究する必要があると指摘。その一方でTufenkji氏らは、他のプラスチック製包装が食品や飲料にどれほどのプラスチック粒子を放出するのかについても、今後研究していくと述べました。

by J B