海洋のプラスチック汚染が生き物に与える影響を訴えるストップモーションムービー「THE FISH」
人間が捨てたプラスチックゴミによる海洋汚染は大きな環境問題となっており、多くの動物に被害を与えているとされています。世界的人気を誇るビールブランドのコロナはそんな海洋のプラスチック汚染を食い止めるため、海の汚染を防止するNPO団体Parley for the Oceansと協力して「プラスチックの使用を削減する」と発表しており、プラスチック汚染が生物に与える影響を描いたストップモーションムービー「THE FISH」をYouTubeで公開しました。
THE FISH by PES // Corona x Parley
砂浜の上に横たわるウミガメの骨。肉体は朽ち果てていても、体内に残されたプラスチックゴミは風化していません。どうやらウミガメはプラスチックゴミを飲み込んでしまったことが原因で死んでしまったようです。
プラスチックゴミがカタカタと動き始め、何かの形を作り始めます。
プラスチックゴミはストローやフォーク、クシやバランなど、さまざまなゴミが集まったもの。
イヤホンのイヤーピースが目となり、頭のようなものが作られ……
フォークが組み合わさって尾びれが作られました。すると、フォークが波打ってビチビチと動き始めます。
プラスチックゴミは魚の形になっており、まるで生きているかのようにビチビチと跳ね回ります。
やがて魚は跳ねながらカメの体を抜け出し……
波打ち際へとたどり着きました。海へ帰ろうとしているのでしょうか。
それを発見したアホウドリがプラスチックゴミの魚へと駆け寄り……
パクリ、とクチバシにくわえてしまいました。
プラスチックゴミの魚だと気づかずに、そのまま食べてしまおうとするアホウドリ。
今にも飲み込みそうなところで人間の手が伸びてきて……
プラスチックゴミの魚を引っ張り出してあげました。
海洋のプラスチック汚染は、実に800種を超える動物に害を与えています。
プラスチック汚染の悪影響を被っているのは海洋生物だけでなく、それを食べる人間にも及ぶとのこと。
ゴミはゴミとしてしっかりと分別して捨て、環境を汚染しないことが重要だとムービーは訴えています。
プラスチックによる海洋汚染を描いたTHE FISHを制作したのは、ストップモーションアニメの巨匠であり「PES」と名乗っているAdam Pesapane氏。Pesapane氏は、THE FISHを制作した際のメイキングムービーを公開しています。
The Making of THE FISH by PES // Corona x Parley
スタジオのドアを開けたのは……
THE FISHを制作したPesapane氏。映画制作者であり監督であり、さらにアニメーターでもあるという人物です。
Pesapane氏はオブジェクトを使い、さまざまなストップモーションアニメを制作しています。
THE FISHでも、プラスチックゴミを手作業で組み合わせて魚を作り……
アホウドリの模型にくわえさせて撮影していました。
ムービーの中で、アホウドリは見つけたプラスチックの魚を疑いもなく食べようとしています。現実世界では魚の体内に微少なプラスチックゴミが詰まっており、そんな魚をムービーと同様にアホウドリをはじめとする捕食者が食べてしまい、プラスチックゴミによる悪影響が複数の動物に波及していきます。
プラスチックゴミでできた魚が動き出すムービーはファンタジーですが、現実世界の問題を強調して伝えることに役立つとPesapane氏は述べました。
ムービー中でプラスチックゴミの魚はウミガメを殺しましたが、プラスチックゴミの魚は死なずにアホウドリまで殺そうとしています。
プラスチックゴミは分解されないため、次々と動物を殺していくとのこと。
ストップモーションアニメにはたくさんのフレームが使われていますが、全てのフレームはオブジェクトを少しずつ移動させて1枚ずつ写真を撮り、それをつなげることでムービーにしています。
Pesapane氏はムービーを通じて、世界中の人々にメッセージを発することができると述べました。
・関連記事
プラスチックごみによる環境汚染に対して人類はどう向き合うべきか? - GIGAZINE
世界の海に漂う110億個のプラスチックごみがサンゴを死に追いやっている - GIGAZINE
プラスチックによる海洋汚染がいかに激増したのかが60年分の海洋調査データから鮮明に - GIGAZINE
中国の廃棄物輸入禁止措置「ナショナルソード」のきっかけとなったのは何なのか? - GIGAZINE
中国の「プラスチックゴミ輸入禁止」が世界にどれほどの影響を与えるのかが判明 - GIGAZINE
汚染物質「マイクロプラスチック」が大西洋・中深海水層の73%の魚の胃に入っていた - GIGAZINE
12歳の少女エンジニアが海のマイクロプラスチック汚染に対抗する装置を発明 - GIGAZINE
人間が出した微小な「マイクロプラスチック」が魚の成長を妨げている可能性 - GIGAZINE
・関連コンテンツ