マクドナルドやスターバックスがプラスチック使用禁止違反で罰金を科せられる

by Usodesita

ペットボトルやレジ袋などのプラスチック製品は、今や私たちの生活になくてはならない存在です。しかし、プラスチックの多くがほとんど自然分解しないため、プラスチックごみの増加は世界的な問題となっています。その対策として、インド・マハーラーシュートラ州は2018年3月末からプラスチック製品の使用を全面的に禁止していて、地元のマクドナルドやスターバックスなどが罰金を科せられるという事態になっています。

Mumbai bans plastic bags and bottles | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2018/jun/25/mumbai-india-bans-plastic-bags-and-bottles

McDonald’s hit by plastic ban in Mumbai | World | thenews.com.pk | Karachi
https://www.thenews.com.pk/print/334113-mcdonald-s-hit-by-plastic-ban-in-mumbai

日本プラスチック工業連盟の統計によると、インドにおけるプラスチックの1人当たりの消費量は日本の12分の1で、世界的に見てもそれほど多くはありません。ただし、インドではプラスチック廃棄物が正しく処理されず不法投棄される割合が高く、プラスチックの袋やペットボトルが地面を覆う様子はインドでもよく見られる光景だといわれるほど。

by Ravi Khemka

これを受けて、インドの首都・デリーでは2017年からプラスチック製品の使用が禁止されています。

インドが使い捨てプラスチック容器・食器・ビニール袋の使用を全面禁止 - GIGAZINE

インド・マハーラーシュートラ州のムンバイは、人口1800万人超を抱えるインド最大の都市です。ムンバイでも2018年3月23日から、生分解性ではないプラスチック・ポリスチレン製品の製造・使用・移動・配布・販売・保管・輸入が禁止されました。プラスチック・ポリスチレン製のビニール袋・カップ・ボトルなどを使うと初犯で5000ルピー(約8000円)から25000ルピー(約4万円)の罰金が、再犯者には最大3カ月の懲役が科せられます。また、ペットボトルに関しても、医薬品など一部例外を除いて容量が500ml以下のものを禁止、さらにデポジット制度を義務づけました。

街の中では紺色のジャケットを着た査察官約250人が、レストランや店舗でプラスチック製品が使用されていないか見回りを行っています。プラスチック禁止措置の執行するニディ・チョウダリ氏によると、これまでの調査で8000以上の企業から700kgを超えるプラスチックを押収したとのこと。さらに、6月に行われた査察では、ムンバイにあるバーガーキング・マクドナルド・スターバックスの支店を含む132の施設でプラスチック使用禁止違反がみられ、最初の3日で66万ルピー(約110万円)の罰金が徴収されました。

by Jason Langlois

規制発効直後はまだビニール袋が多く使われていましたが、4月に入るとほとんどの店でビニール袋を使わなくなりました。ムンバイに住むカムラシュ・モハン・チャウダリ氏は普段からビニール袋をバッグ代わりに使っていたそうですが、布製の袋に切り替えたとのこと。また、地元の子羊肉の売り子が、プラスチックのシートではなく新聞紙で肉を包むようになったと証言しています。「環境汚染のことを考えると規制を行うのは当然ですが、ビニール袋をよく使うムンバイ市民にとっては大きな問題です」とチャウダリ氏は語っています。

しかし、ムンバイのあるマハーラーシュートラ州はその大部分が熱帯に区分される地域で、6月から9月にかけては季節風によって月平均500mmを超えるほど雨が降ります。ムンバイの人びとはプラスチックが使用禁止になったため、袋・バッグなどを麻や布で代用していましたが、豪雨によって水が染み込んでしまい、袋やその中身がすぐにだめになってしまい、深刻な被害が出ています。また、紙袋や紙の包みはプラスチック以上にコストがかかる上、厳しい規制は査察官や役人による賄賂の温床となってしまうため、市場に混乱をもたらすだけであると現地メディアは批判しています。