「尻を見せすぎている」という理由で女子高生が水泳大会の優勝を剥奪される
By seventyfourimages
2019年9月6日、アメリカのアラスカ州で開かれた高校生の水泳地区シーズン戦において、100メートルクロール部門で優勝した女子生徒が「臀部(でんぶ)が見えすぎている」という理由で失格となり、優勝が剥奪されました。同区で水泳コーチを勤めているローレン・ラングフォードさんが「この問題の背景には差別問題がある」としてウェブ上で訴えた結果、この判定に非難が殺到。最終的にアンカレッジ学区が失格処分を取り消しました。
Alaska’s Swimsuit Scandal Unfairly Polices Young Girls’ Bodies
https://gen.medium.com/alaska-high-school-swimming-divings-inexcusable-swimsuit-scandal-33cc10f180b9
Alaska Teen Swimmer Disqualified Over Immodest "Wedgie" | Time
https://time.com/5674360/alaska-high-school-swimsuit-rules/
High-school swimmer disqualified over 'modesty rule' reinstated after backlash | Sport | The Guardian
https://www.theguardian.com/sport/2019/sep/11/alaska-high-school-swimmer-disqualifed-swimming-suit
アメリカの高校の水泳・飛び込み競技における水着の基準として、男子は尻、女子は尻と胸を隠すことが義務づけられています。以下の画像は臀部における基準の例で、赤い点線部よりも尻が見えている場合は失格とされてしまいます。
今回失格とされた女子生徒はお尻が水着からはみ出すぎており、水着の規定に違反していると宣告されました。しかし、ラングフォードさんによると、この女子生徒は学校のチームが採用している水着を着用しており、同じ水着を着用していた同じチームの女子生徒には何の罰則も与えられませんでした。加えて、問題の女子生徒は同じ水着を着用して過去に3回大会出場していましたが、そのときには何の処分もなかったとのこと。こういったことから、ラングフォードさんは「水着が原因なのではない」と異議を唱えているわけです。
ラングフォードさんが主張している「この女子生徒が失格を言い渡された理由」とは、女子生徒の体型と人種です。この女子生徒は豊満な尻と胸を持つ「Fuller-figured(ふくよか)」な体系で、暗い肌をしていたそうです。Fuller-figuredの体系イメージが以下。
By garetsworkshop
ラングフォードさんによると、この女子生徒は今回の優勝剥奪だけではなく、他校のチームの父兄によって「着ている水着がインモラルである証拠」として水着の背中側のスリットの写真を多数撮影されていたとのこと。ラングフォードさんはこの一件に対して、「彼女はまだ未成年で、この父兄は児童ポルノ撮影・流通の罪で逮捕されるべきだ」と怒りの声を上げています。
By microgen
残念ながら、豊満な体型の女子生徒がハラスメントの標的にされる事例は後を絶たないそうです。また、豊満な体型を持つ女子生徒に対し、男子生徒の母親が「男子には目の毒」だとして、「肌を隠すべき」だと話すのを耳にすることもあるとのこと。ラングフォードさんによると、アラスカ州最速を誇った女性スイマーも同じ問題を抱えていたとのことで、ラングフォードさんは水泳とは全く関係のないところで競技を諦めなければならない生徒の無念さを訴えていました。
ラングフォードさんの声明は2019年9月8日にブログサービスのMedium上で公開されたものでしたが、その後すぐにTIMEやThe Guardianなど著名ニュースメディアでも報じられました。その結果、問題を訴える声の高まりを受け、アラスカ州のアンカレッジ学区とアラスカ州学校活動協会は9月10日に今回の失格判定を正式に撤回。騒ぎを大きくしたボランティア職員の公認を取り消し、水着に関するルールを廃止しました。
A Major Victory in the Alaska Swimsuit Controversy - GEN
https://gen.medium.com/perspective-gratitude-and-hope-on-the-heels-of-a-decision-in-alaskas-swimsuit-controversy-c26492366014
ラングフォードさんは今回の顛末についてMedium上で報告し、「アスリートの外見はパフォーマンスよりも注目されるべきではありません」と述べています。以下の画像がラングフォードさんと彼女の娘。親子揃って水泳を愛しているそうです。
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