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フランスのマクロン大統領がアメリカのIT企業に課した税金の払い戻しを決定

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フランスのマクロン大統領は、2019年8月26日に開かれたアメリカとの合同会見で「国際的なIT企業を対象とするフランスのデジタル課税の取り扱いについて、アメリカと合意に達した」と発表しました。この合意により、デジタル課税は事実上廃止され、フランス政府が徴収した税金は各企業に払い戻されるとのことです。

Macron says France and U.S. reached digital tax deal - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-g7-summit-tax-macron/macron-says-france-and-u-s-reached-digital-tax-deal-idUSKCN1VG1N7

US, France reach compromise on digital tax - CNN
https://edition.cnn.com/2019/08/26/business/digital-tax-france-us/index.html

France, US reach digital tax compromise | Fox Business
https://www.foxbusiness.com/technology/france-us-reach-digital-tax-compromise

2019年7月に施行されたフランスのデジタル課税は、フランスで事業を展開している大手IT企業に対し総収益の3%相当を課税するという内容で、Google・Apple・Facebook・Amazonの頭文字を取って「Gafa税」とも呼ばれていました。

by Pete Linforth

こうした見方に対しフランスのブリュノ・ル・メール経済財務大臣は「中国をはじめとする他国の企業がフランスの税制度の対象となったため」と説明し、アメリカの特定のIT企業を標的にしたものではないことを強調。同時に、「アメリカと我が国は緊密な同盟国であり、報復は両国間の困難を解決する最善の方法ではありません」との声明を発表してアメリカによる報復をけん制しました。

しかし、アメリカの政府や産業界では「アメリカの企業を狙い撃ちにしたものだ」という見方が大勢を占めており、デジタル課税に対して激しく反発。これを受けて、トランプ大統領は「報復としてフランス産ワインなどの輸入品に追加関税を課す」と発表し、明確な対立姿勢を打ち出しました。

そんな中、フランスで開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)の閉幕後に開かれた米仏合同会見でマクロン大統領は「二国間の取り組みにより、両国の不和を解消させる方向で合意に達した」と発表し、デジタル課税をめぐるアメリカとの対立を回避したことを明らかにしました。

by Richard Revel

フランス財務省の広報によると、フランス政府は今後デジタル課税や経済協力開発機構(OECD)の枠組みにより大手IT企業から徴収した税金を、各企業に払い戻す予定だとのことです。

この決定に対し、IT企業からは歓迎の声が挙がっています。Googleの公共政策担当ヴァイスプレジデントであるKaran Bhatia氏は「国際企業が切れ目のないサービスを実現させるには、包括的な多国間アプローチが求められます。フランスのような一方的な施策は時代遅れで有害でした」とコメントしました。また、Facebookでグローバル税政策責任者を務めるアラン・リー氏も「デジタル課税はFacebookのビジネスモデルに支障をきたし、デジタル経済の成長とイノベーションを阻害するものでした」と話しています。

トランプ大統領はこの発表について具体的な言及を控えていますが、自身のTwitterアカウントではアメリカとフランスの国旗とともに「ありがとうフランス」とツイートしており、フランスとの協議がアメリカにとって実りあるものだったことを示唆しました。

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