メモ

巨額の税金逃れをしているAmazonにアメリカはどう対処するべきなのか?

by Pavel Kunitsky

ネット通販大手のAmazonは2018年に1兆円を超える利益を上げておきながら、アメリカに対し連邦税を1ドルも納めていないことで強い非難を浴びています。ドナルド・トランプ大統領バーニー・サンダース上院議員、ジョー・バイデン氏など、多くの政治家がAmazonの連邦税逃れを問題視している中で、The Vergeのライターであるラッセル・ブランドン氏は、「アメリカがAmazonの納税申告書を見るべき時が来た」と主張しています。

America needs to see Amazon’s tax returns - The Verge
https://www.theverge.com/2019/7/1/19102713/amazon-tax-returns-federal-2020-election-warren-biden-sanders

多くの政治家がAmazonの税金逃れを非難している一方で、Amazonは「アメリカおよび当社が事業を行うすべての国で、Amazonは過去3年間に26億ドル(約2900億円)の法人税と34億ドル(約3800億円)の法人所得税を納めています」と主張。さらにアメリカ国内で2700億ドル(約29兆円)もの投資を行い、2010年以来27万5000もの雇用を生み出したと述べ、企業の責任を果たしていると抗弁しています。


しかしブランドン氏は、この政治とAmazon間の論争には一つの大きな問題点があると指摘。議論の的となっているAmazonの税金逃れシステムが記載されている納税申告書は、アメリカの他の企業と同様に企業秘密として扱われており、合法的に非公開となっています。つまり、政治家もAmazonが実際にどのような税制優遇措置や抜け穴を使い、連邦税を納めずに済んでいるのか知らないそうです。

Amazonは多額の投資を行うことにより利益を相殺しているほか、税控除の仕組みを巧みに活用し、従業員の持ち株や幹部に与えたストックオプションといったものまで税逃れに利用しているとみられています。しかし、実際のところAmazonが利用する税逃れシステムは推測でしか知ることができず、政治家は現実のデータに基づいて合理的な政策決定を行うことができないとのこと。そこでブランドン氏は、「アメリカがAmazonの納税申告書を見る時が来た」と述べています。


もちろん税金逃れを行っている大企業はAmazonだけでなく、2018年にはNetflixハリバートンなど、実に60社を超える大企業が連邦税を支払っていないとのこと。たとえ納税申告書の開示が少数の大企業に限定されたとしても、衝撃的な数の抜け穴が明らかになる可能性があります。

税制・経済政策研究所のマシュー・ガードナー氏によると、理論的にはアメリカにおける法人所得に対する税率は21%であるものの、多くの企業が控除などを利用しているため、実際に支払う税率が21%である企業はほとんどないとのこと。また、その控除についても合理的な設備投資であったり、あるいは恣意的に税控除の抜け穴を突いたものだったりとさまざまです。

しかし、実際に納税申告書を見ることができるのは財務省の職員や税務委員会のメンバーのみであり、機密性の高い情報は流通しません。政策立案者やシンクタンクの職員もこれらの情報を入手できないため、法人税に関する動きも暗闇の中で行っている状態です。「もしあなたが2019年現在で政策立案者であっても、自分たちが立案したどの減税措置がAmazonの税金逃れに利用されているのか知ることはできません」と、ガードナー氏は指摘しています。

by Capri23auto

企業が納税申告書を公開しない理由の一つに、水面下で動いている現時点で公にしたくない将来的事業に対する投資や、極秘のプロジェクトに関する企業秘密が申告書により明らかになってしまう可能性があります。しかし、事実として極端な税金逃れをしている大企業は弁護士や会計士、法務などを巻き込んだグループを組織して大規模な税金逃れをしているとのこと。多くの反発が予想されるものの、既に財務省が所持している納税申告書を開示することは、意味のある改革だとブランドン氏は主張しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Amazonは1兆円以上の収益を上げるも納める税金はゼロ - GIGAZINE

Amazonの「法の抜け穴」を利用して市場を独占しようとする戦略とは? - GIGAZINE

Amazonが2017年の研究開発費に総額約2.5兆円を投資していたことが判明 - GIGAZINE

時価総額1兆ドルを突破したAmazonはどのようにして巨大企業に成長したのか? - GIGAZINE

韓国がApple・Google・AmazonなどのグローバルIT企業に対して課税する方針を打ち出す - GIGAZINE

巨大企業・富裕層がいかにタックスヘイブンなどで巨額の金を隠し持っているか暴露する「パナマ文書」が公表される - GIGAZINE

企業の租税回避によってEUでは20%の法人税収入が失われている - GIGAZINE

企業が「税金逃れ」で使うタックスヘイブン、世界で最も人気な土地はアメリカ合衆国 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.